第29話 リンダルト死す?

ディーナ姫に覆い被さるように意識を失ったリンダルトを見た一同は動揺した


「リンダルト!しっかりしろ!」


エルドランが呼びかけるも反応が無い


レイロウが慎重に背中に刺さっているナイフを調べた


「急所は外れているようだが…毒が塗られているようだ…危険だがすぐに抜かないとどんどん毒が回る」


「何だと?」


「姫様…危険なので少し離れていてもらえませんか?応急処置しないと…」


ディーナ姫は顔面蒼白でリンダルトから離れて見守った


レイロウはリンダルトに刺さったナイフを引き抜くと血が辺りに飛び立った


即座に止血を試みるレイロウの額には汗が滲む


何とか止血に成功するもリンダルトの顔色がどんどん悪くなっていく


「レイロウ!何とかしてくれ!」


「わかっています…今解毒剤を飲ませますから」


レイロウはリンダルトの口に薬を押し込んだ


何とか解毒剤を飲ませる事は出来たが余談は許さない状況だった


「複数の毒を盛られていて毒が回るのを遅らせるだけで精一杯だ…せめて他に薬の材料と薬士がいてくれれば!」



「「兄上!」」

「レイロウ」


その場に現れたのは忍び装束の男女3人だった


「才蔵!椿!牡丹!遅いぞ!」


「ガルダ教の信者に阻まれて遅れた…状況は最悪みたいだな」


才蔵と呼ばれた男がそう言うと隣にいた女性が声を荒げた


「それよりこの薬草を煎じて飲ませないと…」


椿と呼ばれた女性が何処からか道具を取り出して薬を作り始めた


「兄上…もうすぐ黄昏騎士団のメンバーも来るはずですよ!」


牡丹と呼ばれた女性がそう言った


「それは本当か?!」


「ええ…早くまずはこの薬を飲ませて」


出来上がった薬をリンダルトに飲ませた


悪くなっていた顔色がだんだん赤みを帯びていく


「あとは目を覚ましてくれれば…」



しかしリンダルトは一向に目を覚まそうとしない


「何で目を覚さないんだ?」



「これは…一時的に仮死状態になっている?!」



「ええっ!?」



そうしているうちに黄昏騎士団のメンバーも集結したのだが状況はなかなか改善する様子がない


場所を医務室へ移し国王とアルステミオ王子にも治療が施された



一向に意識が回復しないリンダルトに皆焦りの色が隠せない



「このままだと団長が死んじまう…何か手立ては無いのかよ?」



レイロウと才蔵と椿と牡丹はムウと治療方法について話し合っている


「解毒剤は効いているわ…時間はかかるだろうけど確実に毒は抜けてきている」


「ただこのまま意識が戻らないままだと…」


「そんな!打つ手無しだってのか?冗談じゃねぇぜ!」


アーノルドとレックスが声を荒げた


セリスが浄化の魔法をかけながら震える声を上げる


「諦めちゃダメよ…まだやれる事はあるはずだわ!」


「でも…どうすれば…」


みんな暗い顔つきで落ち込んでる


そこにバスクオムが現れた


「俺なら助けられるかもしれない…」


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