第27話 罠

リンダルトは王の間へ向かって走っていた


妙な違和感を感じながらも全力疾走する


扉を何度も掻い潜り王の間に到着するとそこには異様な光景があった


怪我をして右腕を押さえる国王とその前にディーナ姫とレイロウ


その前は父であるエルドランの姿があった


彼等を追い詰めていたのはディーナ姫の侍女であるアサシンと…


「殿下?!一体何をしておられるのですか!」


騎士剣を手にしたこの国の王子であるアルステミオが居た


「うふふふふふ…随分と遅かったわねリンダルト…母上はやられてしまったようね…まぁそれも計画の内だから問題無いけど」



え?ダイナレアが母だって?



「お前は何者だ!正体を表せ!」



リンダルトはアサシンの女に切り掛かった


女はひらりと剣をかわすと侍女の姿から黒い全身スーツ姿へと変わった



「私はガルバランダ様の直属マグダラナよ!ダイナレアと神官の間に産まれたの。宜しくね〜とは言ってもすぐに殺してあげるから意味なかったわね?」


「マグダラナだと?ずっと姫を護衛する振りをしながら機会を伺っていたのか?!」


そう言われたマグダラナは怪訝そうにこう言った


「姫の護衛はちゃんとしていたわ…あんた達の動向を知るのにはうってつけの職場だからね…」


そう言いながらリンダルトに向かって2本の短刀で切り掛かってくる


リンダルトは攻撃するが、交わされて反撃を喰らってしまった


「リンダルト!」

「リンダルト殿!」

「リンダルト様!」


受けた傷は浅かったが急に目眩に襲われた


「まさか…毒か?」


「気づくのが遅かったみたいね!安心なさい…これは遅行性だからすぐに死ぬ事は無いわ…じわじわとなぶり殺しにしてあげる」


マグダラナの猛攻に防戦一方になる


このままではやられてしまう…何か突破口は無いのか…


毒で思うように動けずリンダルトの動きが少しずつ鈍くなっていく


しかしその中でも相手の攻撃を寸前でかわすのは流石と言える


「ちぃ!往生際の悪い男ね!さっさと死んでおしまい!」


その刹那…リンダルトは力を込めて攻撃を繰り出した


「ああああああ…何ですって…まさか…これを狙って?」


リンダルトの攻撃はマグダラナの両足を切断したのだ


血飛沫が上がりリンダルトは返り血を浴びた


「これでお終いにはしない…」


マグダラナに思いっきり剣を突き刺した


しかし手応えがまるで無かった


「え?」


マグダラナの姿が霧のように消えて声だけが響き渡った


「この場は撤退するわ〜でもこれで終わりじゃ無いわ…あんたが死ぬのは決定したのよ」


「くそ…逃げられたか…」


リンダルトは急に手に震えが来ていた


「何で…毒が回って来たのか?」


するとリンダルトを罵倒する声が聞こえて来た



「化け物め!さっさと死んじまえ!」

「敵にするとヤバいから一緒に居たんだ…死んでくれて清々する」


そんな言葉がリンダルトの頭の中に響き渡っていた

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