第25話 時は迫る…邪教との防衛戦へ

話はリンダルトが修行をしてる頃まで遡る


王宮魔導士達が光や破邪の魔法を用いて中から賊の進行を防ぐ中で行動を起こしていた者がいた


「これを里に届けてくれ…早急に頼んだぞ」


レイロウは鷹を撫でながらそう呟くと窓から外へ放った


鷹は空高く飛び上がり鳥とは思えないスピードで何処かへ飛んで行った



奴等の動きが活発化しつつある…早く手を打たねば大変な事になるだろう


そうレイロウは考えていたのだ


その予感はバスクオムからの報告により現実味を帯びた



「其方がバスクオム殿か…話は伺っておる…あのラヴァーヌ様の甥っ子だとか」


「知ってたのか…なら話が早くて助かる…」



2人は話を進めているようで時折「まさか」や「そんな事が」などと聞こえてくる



「どうやらこの国に危機が迫っておるようだ…俺達が全員で協力してやらねばならないだろう」


「だと思って手なら打ってある…間に合えば良いのだが…」



いつも冷静な2人が焦りを隠せない自体が迫りつつあった



「バスクオム殿はあの方の動向を見張っていて欲しい…俺は姫の護衛を続けねばならない」



「わかった…そちらも気をつけろよ…」




そんなやり取りが行われている時…レイロウが飛ばした鷹がとある里に辿り着いた


空を見上げる若者が声を上げた


「お頭!レイロウ様の鷹が来ました!」


鷹は首領の腕に舞い降りると顔を擦り寄せた


鷹の足につけられた手紙を受け取るとすぐさま返事を書いて再び鷹を空に放った


「才蔵!牡丹!椿!」


首領が声を上げると一瞬で目の前に3人の男女が現れた


「お呼びでしょうか?」


「お前達はすぐさまにファルデアン王国へ向かえ!レイロウが助けを求めておるようだ」


「レイロウが?」


「「兄様が?!」」


首領は険しい顔でこう3人に命じた 


「急げ!邪教の進行を防ぐのだ!」


「「「御意」」」



3人は目にも止まらぬ速さで里から出てレイロウが待つファルデアン王国へ急いだ



「頼むぞ…皆…死ぬなよ」


首領は祈るようにそう呟いた




そしてディーナ姫を護衛するレイロウの元へ鷹が首領の手紙を携えて戻って来た



「あいつらが来るのか…感謝する親父殿…」


果たして忍びの里葉隠れからの援軍は間に合うのだろうか?



レイロウの想いを他所にディーナ姫はいつものようにリンダルトへの想いを募らせていた



「早く私の元へ戻って来て下さい…リンダルト様…お姿が見たいですわ」



恋する乙女は優雅にお茶とお菓子を嗜みながら物思いに耽るのだった


その後に教養を担う為の教育係からの怒涛の如くな勉強が待っているのだった


政治、経済、魔法、立ち振る舞い、美容に至るまで


その中でいつ誰に襲われるかも知れない危険を回避する為に常にレイロウが護衛をしているのだ


姿を消してそっと寄り添う


もちろん風呂や美容の時間は侍女を装ったアサシンが側に付いているのだが…



そんな日々を繰り返してとうとう王都防衛戦の日が迫るのだった


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