王都防衛戦編

第24話 邪教との死闘開始

リンダルトは王宮へ向けて走りながら町の様子を観察していた


町の人々の中に黒っぽいローブを目深に被ったガルダ教の信者が多数居たのだ


彼等は町の人々に邪神ガルバランダが如何に素晴らしいか口にしていた


それを見向きもせずにすれ違う者


嫌な顔をして睨みつける者が大半だったが中には食い入るように聞き耳を立てている者もいた 



先を急ぐリンダルトを呼び止める声がした



足を止めてその方向を見ると老人が手巻きしていた


その人物は母と交流のあった老人であった


老人はリンダルトの耳元でこう囁いた


「王宮には入る事が出来ませんよ…ガルダ教の侵攻を防ぐ為に門は閉じられていますから」


「ではどうすれば?」


「奴等に見つかりますからそっと儂について来てくだされ」


言われるままに老人について行くと彼の家に招かれた


家に入り施錠をすると老人はテーブルに地図を広げ始めた


そして指刺しながら話し始めた


「今儂らが居るのがここですじゃ…少し北に行くと水路があります…階段を降ると扉があります」


「扉ですか?」


「ここは普段は鍵がかけられていて出入りする事は出来ません…」


リンダルトは静かに老人の話に聞き入った


「この水路は城の中の水路に通じているのです」


その言葉にリンダルトはハッとした


「ではここを通る事が出来れば城の中へ入れるのですか?」


老人は静かに頷くとリンダルトに鍵を渡した


「これはもしや…」


「その扉の鍵です…リンダルト様はそこに行き鍵を開けて入り、中から鍵をかけて下され」


「奴等に見つからずに行くにはこの方法しか無いのですね?」


「はい…この家の裏口から出れば奴等には見つかる事は無いと思いますじゃ」


リンダルトは預かった鍵を握りしめて決意を新たにした


「どうか…ラヴァーヌ様の仇を取ってくだされ…頼みますよ」


リンダルトの母であるラヴァーヌはサキュバスであったが町の人々の為に悪夢を吸い取り魔力に変えていた


そのおかげで町の人々は悪夢に魘される事が無くなったのだった


そんな母を亡き者にしたのが継母であるあの女だった


そして姉であるルルアンをゴブリンの巣に追いやり死なせたのも…


姉を救おうと助けに行ったリンダルトもバーサーカーの力に目覚めていなければ殺されていたという事実


リンダルトは恐ろしい事実に震えを覚えた


そして今…その脅威は町中に…王宮にまで迫ろうとしていたのだ



リンダルトを見送った老人は祈るようにこう呟いた


「リンダルト様に神のご加護がありますように…邪神に打ち勝つ力をお与え下さい」



黄昏騎士団の面々は町中を駆け巡りガルダ教の信者を捕まえてある場所に集めていた



そこは女神フレイヤを祀る教会であった



ガルダ教の信者はもがき苦しむ



教会の中ではセリスが杖を高々と掲げて呪文を唱えている


彼女が唱えているのは浄化の魔法だった



しばらくするとキョロキョロと辺りを見回す者


足から崩れ落ちる者


立ったまま気絶してる者


邪気の強さによって反応は様々だった



リンダルトは仲間達がガルダ教の侵攻を抑えてる間に水路に急ぐのだった


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