第15話 奇襲?

病原体を保有していたのが国境を超えてきたオークだと判明した


リンダルトはムウとマリエルにオークの死骸からサンプルを採取して調べるように命じた


ナーガには近隣の町に異変が無いか調べるように頼んだ


リンダルトはアーノルドとレックスを率いて国境付近にやって来た


彼等はオークの足取りを探った


どんな小さな痕跡も見逃すまいと入念に調べ始めた


血の跡や足跡、排泄物に至って幅広くサンプルを採取して回った


そしてオークが食べかけたらしき動物の死骸を発見した



リンダルトが近づいて調べようとした矢先



上空から人影がリンダルトに向かって来た



咄嗟にかわすリンダルトに襲って来た男が声をかけて来た



「リンちゃ〜ん!流石だなぁ…気配は消してたつもりだったのに避けられるとはね」



リンダルトは襲って来た男の方に向き合うと静かに剣を向けて語りかけた



「久しぶりなのに乱暴な挨拶だな…どうする?やるのか?」



襲って来た男とリンダルトは知り合いなのか



アーノルドとレックスが加勢しようとした時



「手を出すな!これは僕の戦いだ…そのまま待機してろ!これは命令だ!」


強い口調でリンダルトは言うと闘気を高め始めた



「そう来なくっちゃ!じゃ…俺から行くぜ!」



リンダルトを襲ったのは人間では無いのか

よく見ると背中に小さめの蝙蝠のような翼がある



謎の男の攻撃を寸前で交わしていくリンダルトは余裕の笑みを浮かべる



「何だ…この程度なのか?お前…弱くなったんじゃ無いのか?」



男を挑発するリンダルトをアーノルドとレックスは内心ハラハラしながら見守った



「く…リンちゃん強くなりすぎじゃ無いの?俺の攻撃を全部交わすなんて…何で攻撃が当たらねぇんだよ!」



リンダルトは攻撃を素早く交わすとカウンター攻撃を繰り出した



「がはぁ!」



男は後方に攻撃によって吹き飛ばされた



そして木の幹に身体を強打してしまって動けなくなった



「まだやるか?これ以上は無駄だぞ」



リンダルトはそう言うと男の側に駆け寄り手を差し出した



男は観念してのかリンダルトの手を取り引き起こしてもらった



そして一言


「リンちゃんは相変わらず強いなぁ…負けたわ」


そう言って笑顔を見せた



「いきなり襲うなんて…バスクオム…お前は何故ここに居るんだ?」



バスクオムと呼ばれた男は照れ笑いしながらこう言った


「いや〜実は親父からリンちゃんが有翼人族に広がってる奇病の調査に出てるって聞いてさ〜手伝いに来たんだよ」


「だからと言っていきなり襲う必要は無いだろ?」


「リンちゃんの事見たら久しぶりに戦いたい衝動に駆られてね〜悪ぃ悪ぃ!」



ため息をついたリンダルトはアーノルドとレックスに声をかけた



「心配させたな…彼はバスクオムと言って僕の従兄弟に当たる奴なんだ…よろしく頼むな」



は?今なんて言った?


襲って来た悪魔らしき男がリンダルトの従兄弟だと?



戸惑うアーノルドとレックスは顔を見合わせる



「おいおい…リンちゃん…お仲間が混乱してるぜ?ちゃんと一から説明してやれよ」


呆れ顔のバスクオムはアーノルドとレックスの側に駆け寄り握手を求めた



「自己紹介が遅くなって悪ぃな…俺はバスクオム。リンちゃんのお袋さんと俺の親父が兄妹でね〜従兄弟同士になるんだわ!よろしくな」



アーノルドとレックスは戸惑いながらも握手を交わした



「状況を整理した方が良さそうだね。幸い近くに町があるからそこの酒場で飲みながら話そうか」


リンダルトの提案で近くの町ファルランドの町の酒場で休憩する事になった



「ジントニックとキューバリバーと黒ビールとミリオンダラーとあと適当につまみをくれないか?」



リンダルトはジントニック

バスクオムはキューバリバー

アーノルドは黒ビール

レックスはミリオンダラー


それぞれ好みの酒を手に乾杯した



バスクオムはインキュバスで魅力した人間の夢の中に入って正気を吸う悪魔である


リンダルトの母親はサキュバスでエルドランの正気を吸おうとした所を返り討ちにされて改心させられたらしい


そしてそのまま妻になってリンダルトの姉とリンダルトを産んだのだそうだ


しかしエルドランに取り入りろうと目論んだ女性により殺されてしまったのだ


そしてその女性はエルドランの後妻になりエミリオとリネアを授かったのだそうだ


「でもあの家にお袋さんらしき人物は居なかったみたいだが?」


アーノルドが不思議そうに聞くと恐ろしい答えが返って来た


リンダルトの母親を罠にはめて殺した事を知ったエルドランの逆鱗に触れてしまいその結果バスクオムの父親に頼んで襲わせて正気を極限まで吸ってもらい廃人になるように仕向けたそうだ。その様子をエルドランは黙って眺めていたとの事だった


リンダルトの継母は養護施設で過ごしているらしい



リンダルトの母親はエルドランと知り合ってから人間を襲わなくなったどころか仲間の夢魔達が人間を襲うのを制限させたのだそうだ



ちなみに男性の夢魔がインキュバスで女性の夢魔がサキュバスであり異性の夢の中に入り込んで正気を吸うのだそうだ



リンダルトの家の裏庭に母親の墓が建てられてるそうだ


「バスクオム…何で伯父上は僕の調査に協力するようにしてくれたんだ?」



「あの病気は俺達夢魔にとっても害があるからなんだよ」

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