第14話 有翼人の里

リンダルト達が魔物を倒しながら向かう先は有翼人族の里


「病気の進行がどうなってるのか考えるのが怖いわ…みんな無事だと良いのだけど…」


セリスはそう不安な気持ちを口にした


「他の種族にはその病気は見られないのかい?」


リンダルトが質問するとセリスは他の種族と接触してないのでわからないと答えた


「どうやら俺の種族は大丈夫みたいだ」


そう答えたアーノルドの元には伝書鳩ならぬ伝書鼠が手紙を届けていた


どうやらアーノルドが状況を確かめる為に伝書鼠を使っていたらしい


「これはメッセンジャーラットって言って手紙を届けてやりとりをサポートしてくれるやつだよ」


ドワーフの間では普通に使われているらしくアーノルドは懐にメッセンジャーラットを収めた


「私の種族も無事なようですね」


レックスの肩にはフクロウが乗っていた

よく見ると足に筒のようなモノが付いていた


「エルフもホビットも大丈夫そうだね〜」

そう言っているマリエルは水晶玉を眺めていた

どうやら魔法の力で通信していたらしい


「早く原因を突き止めて世界に蔓延しないように対策をしなくてはなりませんね…」


リンダルト達は野営しながら先を急ぐのだった



そして10日後…ようやく有翼人族の里にたどり着いた



リンダルト達が里に足を踏み入れるとあちこちに座り込んで唸っている有翼人族の姿があった


その様子に一同は声が出せなかった


「長老は無事なのか?詳しい話を聞きたいのだが…」


「はい…里の奥の家にいらっしゃる筈です」


リンダルト達は長老の家に向かう間に座り込んでいる有翼人族の姿を観察していた


どうやら肌の一部が変色して爛れたようになってる人もいるようだ


「皮膚病なのでしょうか?痛々しい姿ですね」


レックスは冷静にそう呟いた



長老の家に着くと見張りの男が居て事情を話すと奥へと案内してくれた


奥の部屋には長老が椅子にもたれかかるように座っていた


「長老様…リンダルト達を連れて来ました…」


リンダルト達の姿を見た長老は目を見開きリンダルトに手招きした


リンダルトが側に行くと長老は弱々しい口調でこう語り出した


「良く来てくださった…見ての通り儂は足腰が悪くなって動く事もままならん…状況を知らんとどうしようも無いじゃろう…里の人々を見たか?」


リンダルトが静かに頷くと長老は更に話を続けた


「事は3ヶ月ほど前じゃ…里の側にオークが現れてな…そいつを退治に出かけた若者が帰って来てしばらくすると皮膚の一部が変色して次第に爛れたようになっていったんじゃよ」


「オーク退治ですと?なるほど…そのオークが何らかの病原体を持ってたと考えられるのが普通でしょうね」


「若者と接触した者達に次々と同じ症状が現れ始めてな…あっという間に里の3割ほどに病気が広まってしまったのじゃ」


「3ヶ月ほどで3割に広がったとは驚異的な速さですね…」


「このままだと里全体に蔓延する恐れがある…病原体を特定して薬を開発しないと手遅れになるぞ」


「討伐したオークは何処から来たかわかりますか?」


「奴を退治した若者なら知ってると思うが…ただ彼は重症で話せるかわからんぞ」


それ以上の手がかりが無いのでリンダルト達はオークを退治した若者に会いに彼の家に向かった



若者の家に着くとベッドに横たわってぐったりしている人物が目に入った


「誰だい?僕に何か用なのか?」


よく見ると若者は皮膚が全体的に変色して翼まで色の変色が広がっていた


「こりゃひでぇな…ムウ…お前が見た感想はどうなんだよ?」


そう聞かれたムウは悲しそうな顔でこう答えた


「おそらく彼は半年持つかどうか…残念だけど既に手遅れだわ…ここまでなるとどんな治療法を用いても焼石に水ね」


そう言いながらも慣れた手つきで薬を調合し始めた


そして出来上がった薬を彼に飲むように促した


「これを飲めば少しは楽になる筈よ…何もしないよりはマシだから」


言われるままに薬を飲んだ若者は目を白黒させて小刻みに震えた


「苦ぇ〜!スッゲェ不味いなコレ」


「薬なんだから当たり前じゃ無い…これでも飲みやすくしてるんだからね」


「あ〜確かに薬が効いたのか少し楽になってきたみたいだ…ありがとう」


「貴方が退治したオークが何処から来たのかわからないかしら?」


ムウはそう聴き始めた


「あのオークかい?アイツなら東の大陸から渡って来たみたいだったけどそれがどうかしたのかい?」


「それだけ分かれば充分だわ…ありがとう。あとこれ…何日か分の薬置いていくから飲んでね」


ムウはそういうと若者に小分けにした袋をいくつか渡した



リンダルト達は家の外に出ると話をまとめる為に酒場に向かった



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