第12話 父からの贈り物
「皆様〜お食事の用意が整いました。こちらへどうぞ」
黄昏騎士団のメンバーはリンダルト達と共に食堂へ案内された
長いテーブルに色とりどりの料理が置いてあった
上座にはリンダルト達兄弟の父であるエルドランが座って今や遅しと待っていた
騎士団のメンバーは緊張した面持ちでそれぞれ席に着いた
「皆様この度はお集まり頂きありがとうございます。我が息子リンダルトの快気祝いを兼ねた食事会を執り行います」
エルドランがそう言い始めるとリネアが退屈そうな面持ちでこう口を挟んだ
「もう〜お父様…長くなるとせっかくのお食事が冷めてしまいますわよ?ここは無礼講で宜しくて?」
そう言われたエルドランはしまったとばかりに頭を掻きながら乾杯の音頭を取るのだった
その後は皆それぞれに食事を楽しみながら話に花が咲いた
酒好きのアーノルドとレックスは次々と酒の瓶を開けて飲み干している
そんな2人に絡まれたナーガは迷惑そうであった
マリエルとムウはエミリオとリネアに魔法の手解きをしていた
そこにセリスも加わり楽しそうに談笑ならぬ魔法教室のような感じになっていた
リンダルトのグラスにも酒が次々と注がれる
もちろんエルドランのグラスにも同様に酒が注がれほろ酔いになって息子の自慢話を始めるのだった
そしていつのまにか輪の中にディーナ姫と護衛のレイロウも加わっていた
レイロウはディーナ姫の護衛であるが時々騎士団の仕事を手伝ってくれる人物だった
レイロウは人間で遠い国の忍びと言う職業を生業とする一族である
この国の王が遠征に行った国で娘の護衛としてスカウトして来て貰ったらしい
いつもは冷静沈着なレイロウだが今日だけは無礼講が許されると知ると自分の得意技を披露したり酒を酌み交わし楽しく談笑していた
そんな中、執事が皆んなが酔い潰れる前にこう声をかけた
「皆様〜お風呂のご用意が整っております。大浴場へご案内いたしますのでこちらに男女分かれてお集まり下さい」
「え?お風呂?」
皆んな驚いた表情で互いの顔を見合わせた
「今日は皆様我が家に泊まって下さい。私も風呂に入りながら話の続きがしたいと思っていた所ですよ」
「え?父上も皆んなと一緒に入るのですか?」
「当たり前だろう!裸の付き合いは親睦を深めるのには大事だぞ?」
そう言いながら男性メンバーを連れて浴場に向かうのだった
その様子を見ていた女性メンバーも浴場に向かうのだった
浴場は男女に分かれていてそれぞれ大きな湯船に洗い場も広く10人ほど並んで身体を洗えるようになっている
「広い風呂場だなぁ〜」
「普段は執事達が使っているんだよ。女性の方はメイド用だよ。父上が王宮騎士を泊まらせる時にもここは使われるよ」
リンダルトがそう説明するとメンバーはそれぞれ身体を洗い始めた
「背中を流してくれぬかリンダルト」
父にそう声をかけられてリンダルトは父の大きな背中を洗い始めた
「こうやって父上の背中を洗うのは何年振りでしょうか?」
「そうだな…お互い忙しかったからな…かれこれ10年振りくらいか?」
「そんなに経ちますか…そうですね…家に戻っても一緒に風呂に入る機会はなかなかありませんでしたからね」
「エミリオにはたまに洗って貰ってるぞ…男同士の話をしたい時などにな」
「ああ…なるほど。そのエミリオはアーノルドとレックスと一緒みたいですね」
エミリオはアーノルドとレックスの背中を交互に洗っていた
「すっかり打ち解けたみたいで良かった…これからは頻繁に帰ることにしましょうかね」
「そうだな…エミリオも喜ぶから騎士団のメンバーも連れて来ると良いな。ただ仕事の間で良いからな?」
レイロウとナーガも背中を流し合っていた
男湯の方はこんな感じで賑やかである
女湯の方はと言うと…
リネアがマリエルとムウ、セリスとそしてディーナ姫も一緒にはしゃいでいた
リネアは女性陣の身体を羨ましそうに眺めてため息混じりにこう呟く
「私もマリエルさんみたいにボン!キュッ!ボンになりたいわ〜セリスさんはスレンダーで出る所出て素敵だしディーナ姫もけっこう着痩せするタイプなのね…ムウさんには勝ったけど…」
それを聞いたムウが悲しげな声を上げる
「うう〜それ言われると辛いんだけど…ホビットは身長は小さいから胸がある人少ないのよね。例外もいることにはいるけど…」
そう自虐しながらため息をついた
そしてディーナ姫も含めて全員がエルドランの家に泊まる事になり騎士を泊まる為の部屋を男女分けてあてがわれた
そしてリンダルトは父の部屋に呼び出されていた
「これを渡しとこうと思ってな…」
手渡されたのはディーナ姫の髪留めを上腕につけられるように加工したものだった
「新しい制御装置?魔法で壊れないように強化されてますね。ありがとうございます」
「あくまでお前の力を抑えるものだ…お前が自身の力をコントロール出来るようになるまでのな」
「そうですね…この力を制御装置無しでもコントロール出来るようにならないとですね」
「その鍵はセリスさんが握っているようだな」
「そういえばそんな事言ってましたね?仕事が終われば力をコントロール出来る方法を教えてくれるみたいでしたね」
リンダルトは食事会の時にセリスにそんな事を言われていたのだった
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