ドライブ
僕の妻はドライブに行きたいらしい。それも僕の運転で。
一応断っておこう。僕は双極性障害II型だ。精神病で、正直運転していいか怪しい。
だが双極性障障害=運転不可とするのは短絡的だとする医師もいる。もちろん絶対ダメだという医師もいるので双極性障害でも運転していいとするのは間違いだけど、運転不可かどうかは議論の余地があるらしい。
第一、車じゃないといけない場所にかかりつけの病院がある人はそもそも運転がダメだとされるとどうしようもなくなるし、安易な判断は却って状況を悪くする。僕の医師もこの辺りには賛成なようで、僕が「運転やめた方がいいですか?」と訊くと「やめておいた方がいいかもしれないけど、そんな綺麗事ばかり言ってられない。必要な状況が来たら一緒に前向きに治療する」と言ってくれた。なので結論。僕は治療が進み、条件をつければ運転ができるかもしれない。
この「かもしれない」が妻に希望を持たせているらしく、僕は治療を進めて運転できるように「なってくれたら嬉しいなぁ」と度々言われる。しかし治療は「急ぎましょう、はいできました」とはいかない。焦ると逆に悪くなったりする。
一応、自分なりに運転が必要になった時の条件を考えてある。
まず大前提として「躁鬱の波の中でも安定しているシーズンしか運転しない」。僕は年中鬱だったり年中躁だったりしない。主に冬頃鬱になり梅雨に躁鬱乱れる。夏は安定していることが多いので、もし運転するとなったら夏限定になるだろう。
次に「午前中の運転はしない」。僕は過眠症も患っている。この症状は午前中に強く出ることが確認されている。運転中に寝落ちるなんてことがあったら
最後に「一時間以上運転しない」。双極性障害という病気は認知機能的な疲労をしやすい。疲れやすいし疲れる前にやめる必要がある。正確な制限時間を測定してはいないが、一時間と見積もるのは妥当だろう。三十分以上の時点で黄色信号くらいに思っておくのもありかもしれない。
以上のことから「夏、午後、一時間以内」の運転なら可能になるかもしれない。なるかもしれない、というより、妻のためになるようにしたい、のだが。
もし、運転ができたら。
Costcoに行ったり、IKEAに行ったり、車でしか行けない公園や、温泉地、旅行先での運転などなど、妻がやってほしいことはいっぱいあるらしい。
このエッセイはキャッチコピーに「彼女を幸せにする方程式」とあるので、ひとつ書いておこう。
妻を幸せにする方法=車の運転ができるようになる。
いつか妻をドライブに連れていけたらと思う。
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