　昨年（２０２２年）のM1を覚えているでしょうか。

　決勝戦の３組は全て、私にとって初めて拝見する芸人さんでした。「ウエストランド」「さや香」「ロングコートダディ」の３組です。そして３組の漫才を見たあと、確信したことがあります。

「これは新しい時代の幕開けだ」

　とある１組の優勝を確信したんです。そして思わず私は心の中で拍手をしていました、おめでとう、と。これからこの芸人さんはどんな活躍をするのだろう、と。

　しかし結果を見て愕然としました。

「え？　なんで」

　私が優勝を確信したのは「ロングコートダディ」。江戸時代にタイムスリップする練習をする、というネタでした。ストーリーの展開、テンポの良さ、途中途中挟む、ちっちゃいギャグ、どれをとっても最高でした。ところが結果は「さや香」一票、残りは全部「ウエストランド」、「ロングコートダディ」は０票。

　私は目を疑いました。どうしてこんなことに？

　よくよく考えてみると、この３組はそれぞれかなりジャンルがばらけていたといえます。ウエストランドは得意の毒舌漫才、さや香は、定番の漫才。そしてロングコートダディは漫才という形式ではありましたが、コントに近いものでした。そしていまだにM１という大きな大会にもかかわらず、「好きな芸人に入れる」という審査員の得点方式が不明瞭なため、このような結果になったと思われます。

　私の場合、創作活動をしている身であるので、話の展開などに重きを置きがちです。そのためロングコートダディが一番光っていたのですが、好き好きあり、ある人はウエストランドが良かったでしょうし、ある人はさや香がよかったのだと思います。

　優勝しなかった芸人が負けとかだめとかではなく、幸いパフォーマンスの全ては公開されているので、３組とも面白い！　と思ってくれたファンがいればその芸人さんについていくんじゃないかと思います、私のように。

　その後「聴漫才」でロングコートダディのネタを２つ聞きましたが、やはり２つとも面白い。最近のコントや漫才はレベルが高く、ある意味一つのショートドラマとして成り立つんじゃないかというほど洗練されてきています。

　というわけで、私も負けてられないので、一つコントネタ考えてみました。

　タイトル「おまえのせいで眠れんかった」