31話 黒幕の次なる計画
王都のとある豪邸。
その一室。
立派な鎧と豪華なマントを身にまとった長身で金髪の男が豪華な玉座のような椅子にどかりと座り込んでいた。
男は部下からの報告を静かに聞いている。
部下は震えながら男の返答を待っている。
男は頬杖をつきながら静かに口を開いた。
「魔法創造の魔導書も奪われ、学園生を使ったスキル発現の実験も失敗し、幹部4人が殺され、学園に潜伏していた我が手の教師連中も殺され、奥の手であるブラッディアも倒された……か」
男は下げていた視線を上げ、部下たちをにらみつけ威圧した。
「貴様らは寝ていたのか?」
「け、決してそのようなことは!!」
「暴食スキルの学園生の誘拐作戦に失敗していたことは聞き及んでいた。その上で内通者や裏切り者がいないか調査をしどこから情報が漏れたか精査せよと命じたはずだが?」
「し、しかしどこにも情報が漏れた形跡もなく裏切り者も内通者も確認できず……」
「それならばなぜ情報が漏れていたのだ!!」
椅子の肘掛に拳を振り下ろし大きな音を立てる。
それを気圧され部下たちは震えていた。
「そ、それが……、一向に分からず……」
「つまりはこういうわけか、作戦は失敗したがその原因は何一つ分かりませんと、そう言いたいのか」
「も、申し訳ございません……」
「チッ」
男は部下に渡された報告書を眺めている。
「学園で起こした実験はどのように処理したのだ」
「事件は学園長の独断として処理しました」
「ふむ。ひとまずはこちらまで疑惑が向くことはないな」
右手に刻まれた紋章をさする。
「俺のモノとなるはずだった魔魂スキルたちがいくつも排除されたというわけか……」
「も、申し訳ございません!いかなる罰でも受ける覚悟でございます!!」
「罰などどうでもよい。そんな寝言を言う暇があれば我々の計画を阻止した人間を見つけてくるのだ。次はない」
「は、はい!」
その言葉を聞き部下が下がる
そしてもう一人の部下が前に出てくる。
「しかし、真偽は分かりませんが我々を止めたとされる人間は一介の学園生だと……」
「なんだと?ふざけるな、一介の学園生が我々の全ての計画を止めたとでもいうのか?」
「証言を鵜呑みにするのであれば」
「そんなふざけた噂を鵜呑みにしている暇があれば真犯人を見つけだせ!」
「申し訳ございません」
しばしの間静寂が訪れる。
「仮に我々の計画を阻止した人間がいたとして……どこまでこちらの動向を把握していると考える?」
「暴食スキルの持ち主の誘拐を食い止め、魔法創造の魔導書を奪い、組織の幹部を潰し、血竜ブラッディアすら倒し、学生たちを正気に戻した。明らかに異常な力であると考えます」
「となると単体である可能性は低いな。その学園生が止めたという噂もこちら側を混乱させるために嘘の情報を流した可能性もある」
男は顎を右手でさすりながら報告書を険しい顔で眺める。
そして口を開く。
「その犯人は、俺が真の英雄でないこともこいつは把握しているのではないか?」
「まさか!その真相を知る者はごく一部の者のみです」
「そのごく一部の者が情報を流したか、裏切ったとは考えないのか?」
「ありえないでしょう、その者たちも皆ヒロ様に忠誠をつかえし者たちです」
男は椅子からゆっくりと立ち上がる。
「だが一つ言えることは、その者が我々、もしくは俺個人を打ち倒そうと動いているということだ」
「はい、その通りでございます」
「姿を眩ませたからといって何もしてこないとは限らん。奴がどこに消えたのか動向はつかめていないのか?」
「いえ……そこまでは……」
男は歩き回りながら考える。
(敵の立場で考えれば、俺の情報をある程度掴んでいて、潜入に向いており尚且つ俺の戦力減退が狙える地。次に行くとしたらここしかないだろう)
「ドラフルク町。ここに人間を送れ」
「冒険者ギルドがある場所ですか。了解いたしました。全ては英雄ヒロ様の御心のままに」
部下たちは胸に手を当て敬礼をする。
「何者かは知らんが、俺に挑んだことを後悔させてやる」
◇強欲の魔紋
種:魔魂スキル
能力:人間を殺すことでその人間のスキルを奪い取り自身のものにできる。
****************
※作者コメント
第1章 魔法学園で大虐殺するぞ編 は今回で終了となります!
ここまで読んでくださってありがとうございます!
もし面白いと思った方は評価の方よろしくお願いします!
第2章 冒険者ギルドを乗っ取る編 の更新日は未定ですが、
更新の目途が立ち次第、近況ノートやTwitter(X)の方で連絡をさせていただきます!
あと何話かはおまけエピソードを投稿予定です。
そちらの方も楽しんでいただければ幸いです。
これからもどうかよろしくおねがいします!!
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