第14話 Beat laments the world - D

 新たに出現するエーテルノイドはゾノビーラという名前で、ナメクジに翼が生えたような気持ち悪い見た目をしている。特徴として、レーダーを反射する特徴があり、目視でしか確認できないだけでなく、敵を見つけると体当たりをしてきて爆発するのだ。


 また、見た目の割に表皮が硬いのに対し、レーザー武器が当たると爆発するので、第3部隊のメンバーは誰も対応できない。


 CELESTIAL NEXUS第1話では、このゾノビーラが大量発生している影響で、第3部隊は全滅しかけ、街は壊滅状態になる。


 これを防ぐには、クリプトンバグをなるべく無傷の状態で対処し、迅速にゾノビーラを補足し、対応するしかない。


「こちらスカウター。司令部、ファイアストームの援護の許可を下さい」

「こちら司令部、了解。スカウターは直ぐにファイアストームの援護にまわれ。アイスブリザードは射程圏内に入り次第、援護を。デイブレイカーも、接近し次第、攻撃を許可する」

「スカウター、了解」

「アイスブリザード、了解」

「デイブレイカー、了解」


 飛行形態のまま、私はクリプトンバグたちの裏手に向かう。燃料にかなり余裕があるし単騎で殲滅してもいいが、有効弾はゾノビーラに向けて温存しておきたい。だから、背後をつき、陽動となってクリプトンバグを引きつけ、その隙を他の3人に倒してもらう予定だ。


「こちらスカウター、これより陽動に入ります。私が引き付けているうちに、アイスブリザードは遠距離からクリプトンバグを殲滅してください。生き残ったクリプトンバグはファイアストームで対処をお願いします。デイブレイカーはアイスブリザードの元に向かうクリプトンバグの殲滅をお願いします」

「アイスブリザード、了解」

「デイブレイカー、了解」

「おい、無駄なことすんなよ!」



 フィラースがクリプトンバグと接触する前に、クリプトンバグの群れの背後から、飛行形態のまま航空機関砲を撃って戦闘を開始する。飛行形態だと、操縦はまさに戦闘機だが、使える武器は航空機関砲の身になる為、レーザー武器より火力に劣り、クリプトンバグにあまりダメージは入っていないようだ。しかし、十分に音だけで陽動になる。


 大きな青白く発光するトンボが無数に迫ってくるが、飛行形態のスカウターの速さには追い付かない。いくら高速移動ができるクリプトンバグとはいえ、マッハ2の飛行に付いていけないのだ。


 一気に加速して、かなりGがかかったが、REZ02はもっと、えぐいレベルの加速をする。乗る人を分ける機体で練習していたんだ、これくらい平気だ。


「こちらスカウター。アイスブリザード、10秒後に狙撃を頼む」

「こちらアイスブリザード、了解。カウント開始、10、9……」


 無数のクリプトンバグを引き連れて、上空に飛び上がる。これなら、撃ちやすいはずだ。


「……1、発射!」


 遠距離から飛んできた極太レーザーがクリプトンバグの群れに直撃し、20体は焼け落ちていった。しかし、まだ10体はいる。そのうち3体は柳の方に向かう。


「こちらスカウター。ファイアストーム、デイブレイカーは残りのクリプトンバグの殲滅を頼む」

「んなこと、わかってんだよ!」

「こちらデイブレイカー、了解!」


 空中で旋回し、今度はフィラースに向かって減速をしつつ飛行をする。このまま、クリプトンバグの討伐を全て彼に任せた。フィラースもその意図が伝わったようで、ブレードを構えている。


 柳の方に目を向けると、煌がクリプトンバグに近づきつつ、レーザー機関砲を構えているのが見えた。


「一撃で終わらせてやる」


 フィラースがそういった途端、フィラースのブレードのレーザー部分が一瞬伸びたと思うと、私の後ろをついてきていたクリプトンバグ7体がまとめて一の字に切り裂かれた。やっぱり、フィラースの潜在能力には叶わないと思いつつ、煌の方を見ると、そっちも全て倒しきれたようだ。


 一先ず、クリプトンバグ戦は無事終了。しかし、問題はここからだ。空中停止と同時に人型に変形する。


 アニメではそろそろ、ゾノビーラが登場するはずだ。


「こちらアイスブリザード。戦闘は終了した、直ちに帰還する」

「これで作戦終了?」

「そうだな、この程度、俺一人で問題なかったのに、余計なことを。スカウター、そんな無意味に人型になる必要が無いだろ。帰還するぞ」

「……」

「聞いているのか?」


 神経を研ぎ澄まして、辺りを見渡す。すると、右手の柳のいるあたりの雲がせりあがってきているのが見えた。


「そこだ!」


 すぐに、空対空ミサイルの照準を合わせて、そこに発射する。雲の表面にミサイルがぶつかり爆発し、煙の中から青白い滑らかな巨体が見えた。


「ちょっと蓮、何してるのよ!私に当てる気?!」

「おいおい、素人さんよ、ちょっとはしゃぎすぎじゃないか?」

「待って二人とも!あれは!?」


 ナメクジのような青白く煌めく体に、白い青い血管のようなものが見える羽、間違いなくゾノビーラだ。ここからは、気を引き締めていかなくては。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る