22話 カガヤキノセカイ2
世界が黄金に染まる。
雲、大地、草木花々、全てが黄金の輝きに塗りつぶされる。
しかし、その輝きは決して下品な色合いではなく夕焼けの如く優しく荘厳で見るもの全てを魅了する絶対なる輝き。
点々と雲間から差す光は世界に蔓延る闇を照らす。
それは始まりの輝きにして世界を塗り潰す大いなる輝きであった。
ガイウスはそのあまりにも儚く荘厳な光景に涙し、走馬灯を見たという。
◇◇◇◇◇
【カガヤキノセカイ】
発動中は魔法、闘力、深淵スキル、ユニークスキル、スキル、ギフト、奇跡等の【全て】の能力の強制解除及び使用不可にする。そして、魂輝から三つの宝具を顕現する。※ 発動者自身も深淵スキル以外の能力が使用不可になる。
【宝具】
・輝槍テリオス
ありとあらゆるものを破壊する完全必中の不可避の槍。その槍は過去、現在、未来及び多次元宇宙を行き来することができる。※決して地上に触れさせてはならない。
・輝音 ステラ
顕現した神楽鈴を鳴らせば、ありとあらゆるものを任意で反転させる。
・輝冠 リヴィアホッブ
他者の深淵スキルを再現できる。ただし一度見たものしか再現できない。
【蘇りの輝石】
魔石から蘇生させることが可能。※魂が無ければ蘇生不可。砕かれた魔石でも魂が内包されているのであれば魔石の修復及び蘇生が可能。奇跡のオンオフは任意で可能。
……
…………
………………
ライオンだけどチーターになっちゃった。
てか、【カガヤキノセカイ】を発動すれば相手を無力化することができるんでしょ?俺も制限はかかっちゃうけど【誕生する十二の輝き】があるから別段問題ないしチートすぎない?ずっと俺のターンって感じ。
『主人様、ガイウスの深淵スキルが解けた今なら倒すことができますよ?』
そうだな、この戦いに終止符を打ちにいくか。
セナは翼をはためかせ地上へと戻る。
「随分、様変わりしたな挑戦者よ。この力、この気配、聖獣に至ったか」
ガイウスの言う通り、俺は【
「待たせたな。ちなみに6人目を名乗っても良いかな?」
「好きにすると良い。それよりも、続きを始めようか?」
「そうだな……そうしようか」
【カガヤキノセカイ】は全ての能力を強制解除し、使用不可にする。つまり今のガイウスは永久不滅でもなければ不老不死でもない。
そう、ただの翼の生えたトカゲなのである。
「ククッ!本当に出鱈目な深淵スキルだな。少し派手過ぎやしないか?」
セナから漏れ出る黄金の輝きでガイウスは目を細める。
「因みに俺も眩しい」
この世界にサングラスとかないかな?
「魔法、スキル、ギフト、奇跡までも使えんか」
「どうやって戦うんだ?」
「まだ爪があるだろう?それに牙もある。それにオレは竜だ。竜たるもの竜でなければならない。誇り高き竜でなければならないのだ!」
そうか、わかったよ。竜という生き物が、ガイウスという生き方がよくわかった。
こいつのことだ、リポップシステムは自身に適用させてないのだろう。
「終わらせてやる。誇り高きガイウス。お前に[最後の幸せ]をくれてやる」
次の瞬間、ガイウスは空へと羽ばたきセナへ向け爪を振り上げ滑降する。
「貫け!輝槍テリオス!」
黄金の輝きが収束し槍の形へと姿を変え、ガイウスへ射出される。
そして、槍がガイウスに触れた瞬間黄金の輝きが空を埋め尽くす。
その後、輝きが晴れるとそこにガイウスの姿は無かった。
◇◇◇◇◇
遠い日の記憶。
番が死んだ。
彼女は死ぬ間際にこう言った。
「私の分まで幸せに生きて」と。
しかし、その言葉は呪いとなり彼を蝕んだ。
幸せとは何か。
彼女のいない世界で自分は幸せになれるのかと。
いつしか、番の片割れは聖獣となっていた。
長い時を生き、幸せと感じる出来事は無数に体験した。
そこでふと思ってしまう。
そこに彼女がいたらなと。
それらは彼にとって幸せのような出来事でしかなかったのだ。
故に彼は生き続けねばならない。
遠い日の約束のために。
真なる幸せを得るために。
◇◇◇◇◇
「お疲れ様、ガイウス」
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