16話 第九階層 大説教の間
・師匠の異空間
俺は今吊るされている。ボンレスハムのように縛られて。獣型じゃなかったら縛りプレイと勘違いされるな。
猫虐待は良くない。動物愛護団体に捕まっちゃうよ?
紐が食い込む!食い込んじゃいけないところまで食い込んでくる!
「それでも、今回のセナ君が取った戦い方は看過できないよ。一歩間違えたら死んでたんだよ?ちゃんと反省しなさい」
師匠は、チョンっと俺の体を押す。
揺らさないでくれ!なんか出ちゃう!
「魔石を囮にするだなんて……アホなのかな?」
師匠はさらに俺を揺らす。
その後折檻は1時間続き師匠のモフモフタイムに移行する。
「セナ君が死んだらモフれないじゃないか。モフ失調症で死んだらセナ君のせいだよ?」
モフ失調症とは?栄養失調のモフ版かな?
「あれ?セナ君。その右手につけているやつは何?」
ん?あ、コレね。
セナの右腕には銀色の腕輪が嵌められている。側面にはオリーブの葉が描かれておりどこか神秘的なオーラを放っている。
コレは、ミカエルを倒した時にドロップした遺宝だよ。その名も[正義の腕輪]。大天使ミカエルから真に認められた者に送られる伝説級の遺宝で契約を交わさず無償でいつでもミカエルを呼び出すことができるらしい
英雄召喚に引き続きなんと天使召喚までできるようになったのだ。お次は悪魔さんかな?
「ミカエルを呼び出せちゃうだなんて……異世界侵略でもするの?するんだったらこの世界をモフモフに埋め尽くそう?」
いや、しないから
それにミカエルさんはなんか知らんけど天界でやらかしたとかなんとか言ってるし絶対面倒ごとになりそうなんだよな。
それよりも、最終階層についてなんだけど……
俺は今回も師匠にはお留守番をしてもらうよう言おうとしたが師匠が食い気味に俺の言葉を遮った。
「今回は僕もいくよ」
いや、でも……
俺はそれでも断ろうと試みる。
「絶対に行くからね。ロギが倒せなかった相手だし流石にセナ君一人じゃ心配だよ。それに気になることもあるし』
気になること?
「聖竜、聖の名を冠す竜に少し心当たりがあるんだ」
心当たりって?
「説明する前に聖獣について教えようか」
俺は師匠から聖獣について詳しく教えて貰った。
曰く、聖獣とは神族と同等の存在で、ただ存在するだけで他に影響を及ぼす超越的な生き物とされる。そして、現在確認されている聖獣は四体。皆、聖獣界に存在しているらしい。
「話は戻るんだけど昔、聖竜について記されている古書を一度読んだことがあるんだよね。でも、その古書に書かれてある聖竜には現在確認されている聖獣の特徴がどれも一致しないんだ」
つまり、五体目ってこと?
「最初は半信半疑だったけど永久聖竜がその古書に書かれてある聖竜であれば五体目ってことになるのかな?」
俺は、最後に聖獣を相手するのか。格が違うと言っていたが神と同等の存在なんだろ?無理じゃね?
「ちなみに、その古書の作者は聖竜のことを[見守るもの]や[最古の聖獣]と表現していたね」
なるほど、最古の聖獣ってどれほど昔に存在していたんだ?まぁ、考えるのがバカらしくなるほどの年月を生き続けたのだろうな。永久って言われてるぐらいだし。
「だから、今回は僕も協力するね?異論は認めないよ」
……よろしくお願いします。
その後、俺は三日三晩モフられ続けられた。
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