15話 第九階層 正義の礼拝堂3
自身の体を光と化し高速移動に加えてあらゆる物理攻撃を透過する。
ただし、デメリットがある。身体の負担と精神的な消耗がかなり激しいのだ。恐らく時間的には5分が限界だろう。慣れていけばもっと時間を伸ばせていけるかもしれないが今は5分が限界だ。
「ナビゲーターさん、【達人武闘】と【至高魔導】って何?」
《
『はい。まず、スキル【達人武闘】とは自身が保有する武闘系等スキルの熟練度が一定に達した時に会得するスキルです。【至高魔導】も同様で魔導系等スキルの熟練度が一定に達した時に会得するスキルです。また、全武闘系及び魔導系スキルは【達人武闘】と【至高魔導】に統合されます』
一度ステータス確認しておくか。
名前: 【セナ】
種族: 【
称号: 【転生者】 【進化を果たす者】
魔力階梯:【第八階梯】
闘力色:【白】
深淵スキル:
ユニークスキル: 【ナビゲーター】【鑑定眼】【石喰い】
スキル: 【剣術】【魔導術】 【至高魔導】【達人武闘】【超硬化】
統合スキル: 【大獣の威厳】【氷天極鎧】【火炎放射】【幻想世界】【疾風迅雷】【千変万化】【英雄召喚】【地中遊泳】
ギフト:【スキル統合】
魔法適正:【光】
なるほど、【視線誘導】に【気配感知】、【魔力感知】、【思考加速】が【至高魔導】と【達人武闘】に統合されたのか。なんか、スッキリしたなー。
『主人様、ミカエルが復活しました』
ナビゲーターさんの報告に俺は前方でダウンしていたミカエルに視線を戻す。
このまま、勝負を決めるのも良かったが彼女の深淵スキルをまだ見ていない。これじゃあ勝った気がしないだろ?
「深淵スキルはどうしたんだ?使わないのか?」
天界最強さんが使えないことはないだろう。
「ワタシの深淵スキルは少し特殊でな、咎人相手にしか発動しないんだよ。貴様は咎人ではないから使う機会はないだろう」
まさかの発動しない宣言に少し拍子抜けしてしまったセナだがミカエルの余裕綽々とした態度からまだ他にも隠し球があるのだろう。
「深淵スキルは確かに強力だがワタシにとっては付属品でしかならない。……さて、そろそろ終いにしようか」
ミカエルは空へと羽ばたき上昇を続ける。セナから見て豆粒程度の大きさにしか写らなくなった頃ミカエルは自身の持つ戦斧をさらに上空へと放り投げた。
「コレを喰らって生き残ったものはいない」
その瞬間、先程放り投げた戦斧が空を埋め尽くすほどに肥大化した。
デカい、ただただデカい。しかし、当たらなければ意味ないだろう。
俺は
何あれ?俺が移動した矢先にものすごいスピードで俺を追尾して組んだけど。
『あれは、ユニークスキル【一撃必中】と【拡大拡小】による力です』
なんそれ。必中ってことは逃げても意味ないのかな?
『そのようですね。一つの武器にのみ力が働く仕様です。タイマンでは最強の部類のスキルでしょう。加えて、ユニークスキル【拡大拡小】の組み合わせは凶悪です』
実質当たったら即死。当たる前にミカエルを仕留めなきゃダメか。しかし、近づいたらあの巨大な戦斧が俺を邪魔する。透過するのにも巨大すぎてかなり時間がかかるだろう。途中で魔法が切れたら終わりだ。《
『マスター、私に良い考えがございます』
俺はナビゲーターさんの案に乗ることにした。
◇◇◇◇◇
ふむ、血迷ったか。
セナは巨大な戦斧から逃げ続けていたが急に停止しその場を動かなくなった。恐らく逃げても無駄だということを理解したのだろう。
「やれ!」
戦斧はセナに照準を合わせるとゴォ!という音を鳴らし射出された。
数秒後にはセナに着弾する。そう思われた。
しかし、パキンッ!という効果音と共に戦斧の速度は衰えセナの目の前で停止した。
「……ふふ。まさかワタシが獣風情に遅れを取るとはなワタシも堕ちたものよ」
ミカエルの鳩尾にはセナが持つ長剣が突き刺さっていた。魔石が内包されている位置は鳩尾付近。
「お前の魔石は砕いた。時期に死ぬだろう」
俺は無慈悲にもミカエルにそう宣告した。フロアボスになったのだから殺される覚悟はできているだろう。まぁ、どうせまたリポップするだろうがな。
「教えてくれ。戦斧の追尾からどう免れた」
やっぱ聞きたい?よかろう!説明してしんぜよう。
「統合スキル【幻想世界】で俺の幻を生み出しその中に俺の魔石を《
一歩遅れたら俺の魔石が壊れていたがな。本当に賭けだった。
「イかれている。自身の命とも言われる魔石を囮にするだなんてな」
そんなジト目で見られても……まぁ勝ったんだし結果オーライでしょ?師匠には黙っておこう。いや、読心があるんだったか?コレ説教コースじゃね?
「そういえば、俺の正義について聞きたいんだよな?」
「……なんだ?」
どうやら聞きたいらしい。今回はズバッと言うぞ。
「俺の正義は理想だよ。自分と、自分が守りたい人が幸せであることが理想でありその理想を叶えるため完全なる勝利を手中に収めること、それが俺の正義だ。言わば正義とは俺にとっては過程であり理想でもある」
ミカエルは表情を変えず俺の言葉に耳を傾ける。
「ミカエルは正義の大天使だよな?俺が知る天使は人を導く存在だと聞いている。正義もまた、人を導くためになくてはならない概念だと俺は思う。まぁ、さっきも言った通り正義は何かを叶えるために必要な過程だ。ミカエルも何かを叶えたくて正義を掲げているんだろう?だったら迷う必要はないと思う。叶えたい夢のために思う存分正義を掲げると良いさ」
正義は夢と共に移り変わる。頑固な天使さんに少しは伝わったかな?
すると、ミカエルはふふっと笑う。
「……そうだな。ワタシも正義の大天使として再び羽ばたいてみるか」
そう言い残し、ミカエルは淡い光の玉に姿を変え空へ解けるように消えてしまった。
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