第十九章 全日本対抗戦(東京ドーム) <入社4年目夏>
第98話 祭典
大沢とミナミは何度も交渉を重ね、ついに4社合意を得る。
主催はドーム大会の経験があるDIVAが担当。
実際は大手プロモーターを利用し、利益は各団体にシェア。
チケット販売、物販はそれぞれ団体ごとに行う。
「東京ドーム、2日間連続で抑えられてよかったですね」
「うん、ありがとう。記者会見で告知できそうだ」
記者会見では、AIが出場選手を各団体から6名選出した結果も発表された。
トッププレイヤーだけでなく、伸び盛りの中堅や有望若手とバラエティに溢れる選出がなされ、記者たちを驚かせた。
タッグ3チームの編成や順番を決める裁量は各団体に任された。
団体ごとの戦略要素を残すところもにくい演出だ。
サポートに来ていた橋本とミナミが、袖から会見の様子を伺っていた。
「単なるランキング順じゃないのね」
「これがLLMのすごささ。仕掛け人であるおれたちにも想像つかないような、思いがけない、でもかなり的を得たアイデアが生まれてくるんだ」
「ふふふ、こうやって大事なところは橋本君がそばにいてくれるから心強いわ」
ミナミはそう言って笑うが、ふと陰りを見せる。
(でも、やはり私は6人には選ばれなかった。まだランキングは低いままだもんね……)
4月から全戦参戦し始めたが、3ヵ月ではまだ同僚たちとの累積された差は埋まらない。
「また、がんばればいいさ。いつか、あそこに並ぶ日が来る」
「……橋本君、ありがとう」
そして迎えた初日は、
・DIVA×ガルパ、SJW×OWP
・DIVA×OWP、SJW×ガルパ
のダブルヘッダー。
「SJWとOWPの大将戦すごかったわね」
「サクラとイズミのタッグが渋谷組に勝ったんだもん。金星よね」
「ガルパにも勝ち越して2勝0敗でしょ」
「DIVAは安定してるわね。大将は吉祥だもんね」
「吉祥のパートナーはツツジだって。大抜擢ね」
「DIVAも2勝0敗だから、明日は面白くなるわね」
初日を終えて観客たちの満足度も高いようだ。
二日目は、
・エキシビジョン戦
・OWP×ガルパ、DIVA×SJW
エキシビジョンは勝敗関係なしの夢の競演。
AIが選んだボーダーレスマッチングは、吉祥、アキラ、クーガーのベビーフェイストリオと、渋谷、サクラ、イズミのヒールトリオ。
(こんな豪華な試合が見られるなんて……)
ミナミは大沢と運営席に座り、時間一杯に技のやり取りを楽しむ6人マッチを羨望のまなざしで見守るのだった。
そして、運命のDIVA×SJW戦が始まる。
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