第93話 最強と最高

 質疑応答は30分を越えたところで、漸く収まった。


「では、今後の話をしましょうか」


 大沢が話題を次に進める。


(はぁ……なんとか、うまくお答えできたかしら)


 ため息をつきながら大沢を見ると、大沢は満足そうに笑顔を返す。


(よかった。うまくできたみたい)


 その後、大沢から対抗戦の構想が伝えられる。


 試合内容

 ・4団体総当たりの団体戦

 ・団体戦はそれぞれタッグ戦3試合×3団体=1団体当たり全9試合

 ・出場選手はAIが各団体から9名を選出する

 ・AIポイントでMVP団体と選手を決める


 各社は、これを吟味し、次回の会合で協議することとなり解散した。


 すると、渋谷が近づいてきた。


「以前、八王子で会いましたよね。サクラと一緒の時に」

「は、はい。あのときはお世話になりました」

「まさかあなたがヒールとはね。リングで会えるのを楽しみにしているわ」


 そう言って去っていく渋谷に対し、深々と頭を下げる。


 (なぜバレてる?……絶対、サクラさんがばらしてるんだわ。もう、サクラさん……個人情報ばらさないでよね)


 ミナミは冷汗をかいて顔を上げると、目の前にはDIVAのトッププレイヤー吉祥が立っていた。


 吉祥は日本最高女子プロレスラーと言われている。


 パワーや強さだけではない、素質、言動、好感度、貢献度、美貌、それらの総合的な魅力のすべてを備えている。だからこそ、最強をしのぐ最高の称号を持つ。

 ミナミからすると天上界の存在だった。

 その吉祥が語り掛けてくる。


「あなたがサザン……いや、ミナミさんね。どうぞよろしくお願いしますね」

「わ、わ、こ、こちらこそ、いつも拝見しております……」


 吉祥はクスッと笑う。


「SJWにはすごい可能性を秘めた娘がいるってね。ツツジから聞いているわ」

「つ、ツツジ!?……元気にしてますか?」

「ええ。まだ内緒だけど、今度私のタッグパートナーになってもらう予定なの。いずれあなたとも対戦するかもしれないわね。そのときはよろしくね」


 吉祥はニコッと笑う。


(ツツジ、すごい。あの吉祥さんのパートナーになれたんだ)


 ミナミはこれ以上ない嬉しい気持ちで満たされていた。


「あの~」


 最後に声をかけてきたのは、ガルパの代表選手、クーガーだ。


(元アイドルだけあって、圧倒的なかわいさ。しかもおっぱい大きい。何カップなんだろう……)


「対抗戦を検討するために、AIシステムをうちの興行で試してみることはできますか~?」


 前向きな打診であった。

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