第十三章 タッグトーナメント予選 <入社3年目夏>
第69話 新イベント発表
6月後半。
いつものように朝練を終え、事務所に入るミナミ。
営業部長の北沢が見知らぬ男を連れて社長室に入っていくのを横目にみる。
「あれ?お客さんですか?」
「そうみたい。なんだか企画コンサルらしいわよ」
「企画コンサル?」
コンサルと聞くと、稲田を思い出す。
(他のコンサルも、そもそも、そもそも、っていうのかしら?)
クスクス思い出し笑い。
「でも、コンサルって高いですよね?うち、払えるのかしら?」
すると代田も笑って答える。
「昨年は業績も良かったし、今年も好業績とはいえ、ミナミちゃんが使っちゃうからそんなに大きな余裕はないんだけどね」
「もう、代田さんまで?」
完全にいじられキャラである。
「まあ、冗談はさておき。ミナミちゃんばかり成果を上げているから、北沢さんもやる気を煽られたんじゃない?」
「私ばっかりって、そんなことないですよ。みなさんのアイデアをいただいてなんとか仕事しているだけです」
(それにしても、確かにコンサルを入れるなら悪くないタイミングかもね)
今はランキング制で大きな注目を浴びているが、すぐに話題は消えていく。
ここで一過性の話題ではなく、継続して魅力を届けられるような基盤を作るためには、いろんな仕掛けをするべきだろう。
ミナミはそう感じていた。
大沢も同じだったのだろう。
まずはお試しということで、採用企画コンサルと2ヶ月間のトライアル契約を結ぶことを許可したのだった。
そして、6月末に運命のイベントが発表される。
『第一回 真夏の夜のタッグトーナメント大会 8月11日~12日』
順位によってランキングポイントにボーナス加算。
タッグは、ベテランは若手と、中堅は中堅同士で組み合わせる。
全40選手による20チームトーナメント。
1、2回戦の全16試合は直前の2週間で実施。
そして夏休みの最大のイベントとして、2日間。
初日は準決勝、そして当日はメインイベントで決勝戦。
「すごい、これ、面白そうだね。ね、ツツジ」
「本当ね。全員参加だから、ミナミも出るんでしょ?」
「もちろん。ツツジとタッグが組めないのは残念ね」
「私たち若手はベテランとって書いてあるもんね」
「タッグ発表、いつかな、ドキドキする」
発表されたのは1週間後だった。
アキラがツツジと。
サクラがワカバと。
そして、イズミがミナミと。
いずれもこれまでのタッグ経験を踏まえた組み合わせだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます