第68話 ランキング評価委員会
6月の第一回委員会。
各委員から評価結果を報告。
大沢が委員長として最終決定。
それを受けて、ミナミは公式HPに結果をアップした。
1位 アキラ
2位 サクラ
この二人はやはりツートップ。今回はアキラに分配が上がった。
(サクラさん、あのあと、まだ本調子じゃないのかしら……)
下っ端のくせに、一丁前にトップ選手を心配している。
ちなみにミナミは記念すべき初の最下位を記録した。試合出場数の少なさと勝ち数の少なさが足を引っ張った。
「烏山さんも、来てもらってありがとうな」
大沢はねぎらいの言葉をかける。
記者の烏山はちょくちょく取材に来ているからあまり違和感はないが、社外協力者だ。
「いや、むしろ呼んでもらえて光栄ですよ。ついでに、取材もさせてもらえるんでしょ?」
「仕方がないな。営業に言っておくよ」
烏山、さらに注文を出した。
「ではリクエスト。最下位のサザン選手に取材はできませんか?未だに謎に包まれる異次元覆面ヒール。独占インタビューさせてもらえたら話題性高いと思うんですよね」
「なるほど……じゃあ、直接聞いてみたら?」
大沢はさらっと言う。
すると、烏山は、いきなりミナミに顔を向けた。
(え?え?直接って……サザンの正体は誰にも明かしてないんですけど?)
「じゃあ、ミナミさん、許可をいただけますか?」
「え?わ、わ、私?なんで?」
(ば、バレてる?)
「そりゃ、まあ。朝練も取材してますからね。サザンの動きは間違いなくミナミさんでしょ」
ミナミは大きくうろたえて、周りを見る。
だが、ミナミ以外は誰も慌てていない。
むじろ、微笑ましく見守っている雰囲気だ。
(え?なんで?……みんな、バレてるって知ってたの?)
「まあ、そりゃ、プロの記者である烏山さんにはバレてるに決まってるだろ。もちろん、断ってもいいんだぞ。まあ、無料で委員をお願いしたということは考慮した方が良いかもしれないけどな」
そして笑う一同。
(私だけ、バレてないと思っていたなんて……恥ずかしすぎる)
ミナミは赤面して俯いた。
その後、いつものようにイズミがTV番組出演時に宣伝した効果も発揮され、このランキング制は大きな話題となった。
そして、その話題で盛り上がる雑誌の後ろの方で、ひっそりと「新人サザン・インタビュー」の記事が掲載されたのだった。
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