第67話 第二号議案

 ミナミは、最初から結論をぶつけた。


「ランキング制度を提案します。ランキング評価委員会を設定し、各選手を評価し順位付け。ランクが高い選手には特別報酬と重要大会でのメイン出場権を付与します」


 ボクシングの例を参照するならチャンピオンへの挑戦権、など考えたいところだが、SJWは人数も少ないのでチャンピオンベルトは作っていない。

 

「期間は?」

「四半期で集計し重要大会を開催。翌週からリセットします」

「評価の項目は?」

「次のページに記載しました」


 (1)試合結果  30点

 (2)試合内容  60点

 (3)試合外貢献 10点

 合計 ・・・・・100点


 それぞれの項目には、さらにどのような視点で何を見ていくのか、チェックシートが細分化されていた。


「なるほど。試合内容に重点を置くということだな」

「はい。細かい評価項目は、観客へのヒアリングと、雑誌記者へのヒアリングから抽出しました」


 大沢は納得している様子だ。


「この評価項目も公開しようと思います。審査がブラックボックスだと観客の皆さんに伝わらない気がしまして……」

「ああ、いいアイデアだな。で、委員会のメンバーは?」

「こちらが候補です」


 ・委員長  大沢社長

 ・副委員長 北沢営業部長

 ・選手代表 イズミ/アキラ/サクラ(自身が関わらない試合を担当)

 ・観客代表 烏山(週刊WW記者)


「このメンバーで全試合を評価するということか」

「はい」


 月6興行で、1興行当たり10試合。

 毎月60試合を評価することになる。

 シングルとタッグが半々とするならば、評価選手数はのべ180人だ。


「はい。数が多いと思われると思いますが、選手代表のみなさんは、通常から全試合をチェックしていますのでなんとか対応できると言ってくださってます」


 そして烏山も無償で引き受けてくれた。


「記者としても、評価委員会に入ることで箔が付くと喜んでくれています」

「なるほど。現金な奴だが、彼らしい」

「大沢さんと北沢さんはお忙しいと思うので、役割分担をしていただこうかと考えています」


 大沢に全体監修、北沢には試合外貢献を評価してもらう案だ。


「北沢さん、行けそうですか?」

「はい。すべての試合を見るのではなく、売上や試合外活動を評価するということであれば、対応できそうです」


 大沢は頷く代田を見て、決心を固めたようだ。


「ミナミ、ありがとう。まずは第一歩だ。5月から、これでやってみよう」

「はい!」


 大沢がミナミに微笑む。

 ミナミは大きく頷いた。

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