第64話 根掘り葉掘り

 ミナミはツツジと相談中。

 ボクシングが参考になるんじゃないかということで、ツツジがスマホで調査を始め、ミナミがメモを取る。


「ボクシングのランキングって、勝ち負けだけじゃないみたいよ」

「へー、ランキング評価委員会があるのね。その委員会が話し合ってランキングを決めるんだって。それをマネしちゃおうか」

「いいんじゃない。でも、評価項目とかあるんでしょ?どんなことを評価するの?」


 ああでもない、こうでもないといい合いながら、ノートに考え方をまとめていく。


 ・試合結果

 ・試合の内容・流れ(しょっぱくないか)

 ・観客の反応

 ……


「うーん、抽象的だなぁ」

「この進め方であっているかもわからないわ」

「私たちだけじゃ、ここらへんが限界だと思うわよ?」

「確かに」

「じゃあ、この後どうしようか」

「ちょっと、私に任せてみてくれる?」


 ミナミはちゃちゃっとチャットを送る。

 相談相手として、思い当たる節があった。


 一段落すると、ツツジがミナミをおちょくり始める。


「で?超いい感じじゃん?『ミナミが手伝ってくれるなら、チャレンジしたいんだ』なんて、もう脈ありまくりじゃん」


 それを聞いて、動きがピタッと止まる。


「え?そ、そうかしら?」

「で?付き合ってって言ったの?」

「ちょ、言ってないわよ。何言ってんのよ。そんなんじゃないわ。ビジネス関係の話でしょ」


 慌てて否定するが時すでに遅し。

 ツツジがぷぷぷと吹き出しそうになっているのを見て、ミナミの顔は真っ赤に染まっていく。


「もう!からかわないでよ。そんなんなら、ツツジには相談しないわよ」

「ははは、悪かったって。ミナミ~」

「……もう」


 そもそも、プロレスの魅力のランキング制について相談しに来たわけで。

 そしたらこれまでの経緯を根掘り葉掘り聞きだされて。

 そして、こんな話の流れになっている。


(……なんで、ぜんぶしゃべっちゃったんだろ、私……)


 後悔先に立たず。

 毎回のことではあるが、懲りないミナミだった。

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