第50話 うだうだ言うな!
PMIといっても、正直何をしたらいいかわからない。
教科書を読んでも、イマイチぴんと来ない。
ガバナンス体制構築が必要?
タマちゃんに相談のチャットを送る。
『今更何言ってんのよ。本来は契約前から計画し始めるものよ?まったく。今更だけど、さっさとQoRのメンバーに直接相談しなさい』
……尤もというか元も子もないというか直球のアドバイスチャット。
そしてメールも入れてくる。
『ミナミは不器用だから、変な策など立てずに、正直に直球勝負の方がいいと思うよ。ほら、これを印刷して、直接会いに行っておいで』
(……タマちゃん、最近、一言多いよね?)
そう思いながらも、タマちゃんが送ってくれたメールの添付ファイル『PMI項目表』を印刷してみる。
フェーズがいくつかに分かれている。
① M&A検討中:DD、契約交渉中
② PrePMI:最終契約締結後、クロージングまで
③ PMI :クロージング後
(……買収完了がクロージングだったわよね。てことは……現状はすでに③ってこと?)
ミナミは恐る恐る①と②の項目を見る。
みっちりと記載がある。
経営管理(ガバナンス)に始まり、人事(リテンション)、経理財務税務、IT、法務、総務、事業……
(本当はこんなにも実行していなければいけなかったんだ……)
ミナミの顔から血の気が引いていく。
『うわー、全然やってこなかった。すっかり抜けているわ。どうしよう……』
『だから、さっさと直接相談して進めなさい』
『今からで、間に合うかな?』
『間に合うか合わないじゃなくて、やるしかないの!うだうだ言わずに、早く行け!これ以降未読スルーするからな』
『そんなー、しくしく……』
以降、本当に未読でスルーするタマちゃん。
(こんなところはきっちりしているのよね……)
ミナミが慌ててイズミに連絡をすると、幸い新宿のシェアオフィスに出てきてくれると回答が返ってきたため、急いで電車に乗り込むのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます