第9話 やはりイエスがキリスト(救い主)でしかない

 人間の罪ーエゴイズムというのはどこまでも計り知れない。

 自殺も自殺ほう助も罪だという。

 かといって、食っていくためにはなにをしても構わないといった考えは通用しない。いや、現代は金のためなら、オレオレ詐欺も厭わないというパターンである。


 昔、山〇組の伝説の大親分田岡一雄氏は、孤児だったという。

 高知県出身で不倫の子供として生まれたが、母親は五歳のときに亡くなり、それ以来は神戸の親戚に預けられたという。

 そこでは学校にも行かせてもらえず、力仕事ばかりやらされていたという。

 そのせいだろうか。

 田岡氏は、親がいて、帰るべき家があって、学校に行かせてもらってそれでなおかつ、非行に走るなどというのは、考えられないことだったという。

 ましてや、暴走族などとんでもない理解不能。

 派手や革ジャン、高価な改造バイク、田岡氏にしてみれば、ぜいたくでしかないという。「親がいるのに、なぜ暴走族などになるんだろう?!」


 話を元に戻そう。

 僕はゆあさんに言った。

「ホスト君のやさしさなど、その場限りの営業トーク。なかには婚約届までもってくるホスト君もいるという。

 だから、ホスト君の言うことに振り回されてはならないよ」

 この発言には、現役ホストの内田佳紀もうなづいた。

「ビンゴです。やさしい甘い言葉にすがりついてはならないよ。

 自分の幸せは、自分が死に物狂いで努力して勝ち取るしかない。努力が報われなくても、がんばったという自信にはなるよ」

 その通りだな、といっても、僕は今までの人生において、死に物狂いで努力したという記憶はない。

 ただし、元アウトローから現牧師である父親は、死に物狂いでアウトロー時代の自分を自己改革した。

 元アウトローが常人と同じ言動をとり、常人のような生活をするには、想像を絶する努力が必要だという。

 しかしそのことも、父親曰く神にすがったからだという。

 一度洗礼を受けると、神は決して人間を、お見捨てにはならない。


 思い起こせば、僕も元アウトロー牧師の父親も、そして現役ホストの内田佳紀も母親の佳子も、神の御心によってハッピーエンドという結末を迎えた。

 僕は思わず、父を真似て手を組んで祈った。

「天にまします我らの父よ。どうか父とネクストドアの活動をお守り下さい。イエスキリストの御名によって祈ります」


 ハレルヤ


 (完結)

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

元アウトロー牧師の息子だが彼女を立ちんぼから救わなければ すどう零 @kisamatuma

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る