第2話 飲み会の帰りから次の日の朝

飲み会終了後僕はその辺の路上で寝るか、誰かに連れて帰ってもらうことが多かった。幸い友人には一人暮らしが多かったのでそいつらの家まで連れて帰ってもらうことでことなきを得てきた。


しかし今回は違った。酔いが覚めたのは電車を降りたときだった。ここは僕の家の最寄駅である。この駅の周りにはやはり何もなくコンビニも歩いて10分かかるような田舎駅であるが、その分自然は豊かで空気が美味しいのである。きっと最寄駅の安心感と空気の美味しさで酔いが覚めたのであろう。


一緒に帰ってきたのは僕とさっちゃんと、そしてもえかである。さっちゃんは今日萌香の家に泊まっていくらしいがベロベロである。酔い潰れた人間を二人も面倒見ながら連れて帰ってきてくれたもえかには感謝しかない。


すると酔っていても変わらずうるさいさっちゃんが

「よーし飲み直そー、コンビニ行くぞー」

と終電が行った後の駅構内で叫んだ。


(コンビニ、遠いよ)と思った僕だが、もえかもお酒が入って楽しくなっているため乗り気であったため少しだけと思い渋々了承した。


コンビニに行くまでに僕の家の前を通り、ここで帰れたらなと思っていたが家を過ぎ、コンビニでお酒を買った。

近くの公園とかで静かに飲めばいいかと思っていたが、もえかが

「金木くんの家は実家だし迷惑だからうちで飲もうよ」

と言った。

流石に実家で12時を回った後人をあげるのはあり得ないけど、酔っ払い二人を家にあげるのも迷惑ではないのかと思ったがお邪魔することにした。


僕は地の利を活かし最短での道でもえかの家まで二人を案内した。うちは駅まで歩いて5分であることを自慢しながら。この時期は僕の家の向かいに咲いている金木犀の匂いがとてもいいのだと教えながら。


そこからはもえかの家でお酒をまた飲み過ぎた。というのも胃のキャパシティがいっぱいであったため強いお酒を買ってしまったからである。


3人でサークルはどんな感じであるのかや、大学の授業のこと、サークルの男子はだれがイケてるかなど話していつの間にか僕は床で寝てしまっていた。




早朝目が覚めるとさっちゃんともえかが二人で仲良くベットで寝ていた。ここで’僕は思った。

(こんなにも家が近くにあるのにもえかが起きないと鍵を閉められないから帰れない、、、)

僕はこっそりもえかだけ起こそうとした。


(こんな可愛かったのか)僕は素直にそう思った。

僕の悪い癖として人と話すときに目を合わせられないのだ。そのためこれまでもえかの顔をしっかりと認識していなかった。


するともえかは少しだけ目をあけた。


「今何時?」


昨日の宅飲みで仲良くなり敬語なんてのはなくなっていた。


「5時40分」

「早くない?もっと寝たい」

「ごめん、鍵ある?閉めてポスト入れとくよ」


もえかは鍵だけ渡してまた寝てしまったようだ。


僕はもえかの家を出て滅多に見ない明け方の最寄駅を見ながら5分足らずで家に着いた。部屋について窓を開けると金木犀の匂いと夏が終わった後の涼しい風が入ってくる。そして僕は自分の家でまた眠りにつく。




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