第52話 雄大の告白。
食事中だったが俺たちには関係なかった。
それこそ柚子香の母親達はそこまで見越してのハヤシライスだったのだろう。
途中で食事を止めて、ハヤシライスの口なのにそのままキスが始まり再開される。
また数回して風呂に入って居なかったことに気づき、風呂に入れば柚子香もついてくる。
風呂場で気持ちが高まればそのまま服も着ずに柚子香の部屋まで駆けていった。
1ダースは使わなかったが一箱は使ってしまう。
気付けば夜明けが近い時間で、柚子香は粘ったが力尽きて眠っている。
裸のまま眠る柚子香を見て、少し動くと柚子香が起きかけるが「まだ寝てて」と言うと柚子香はすぐに夢の中に戻る。
俺はスマホを取り出すと、俺の横で眠る柚子香が写り込むように写真を撮ってから、ムービーに変えて柚子香が映り込むように自撮りで「柚子香。寂しくなったらコレを見て。でも要らなくなったら容赦なく捨てて。こんなムービーに囚われる事はない。柚子香、幸せになって。俺は柚子香の幸せの為に頑張る。でも他の幸せがあればそっちを選んで」と言った。
本当はここで終わらせるつもりだったが、終わらせられない自分がいた。
数秒の間の後で、言うべきか言わないべきかを悩む俺は、「……ごめん。待ってて欲しい。こんな俺の事でも待ってて欲しい。顔に傷がついてごめん。守りきれなくてごめん。柚子香、愛してる。柚子香、大好きだ。直接言えなくてごめん。本当は柚子香が結婚できる年になったら言うつもりだったんだ。でもその年に会うのは難しそうだから今ここで言うよ。柚子香、大好きだ。愛してる」と言ってから柚子香の顔にキスをしてムービーを止めた。
俺も柚子香に覆い被さるように抱きついてうたた寝をする。
起きると柚子香は唸っていて「ごめん。トイレか?」と聞くと、「違うわよ。雄大の寝顔を撮りたかったのに、スマホの充電が切れてたの」と言って忌々しそうにスマホを見る。
「昨日は充電忘れてたな。俺も30%しか残ってないや」
俺のスマホでツーショットを撮って、柚子香のスマホは充電をさせる。
柚子香は「まだして欲しい」と朝から言い、俺は朝から柚子香とする。
残り4日と思うと昨日まであった余裕は無くなっていて、それを感じた柚子香は「もっと」と言い続けてくれた。
昼が過ぎても帰って来ない誉達を心配した俺達は、充電を終えた柚子香のスマホを見ると、「帰って良くなったら言ってよ」と柊からメッセージが来ていて、「ごめんなさい。今見た」と送ったら、「遅っ!誉お婆様が夕飯も外食にするから、お風呂だけ洗うようにだってさ」と返ってきて、俺達は裸のまま夕方まで過ごしてしまった。
そして風呂に入り風呂を洗ってハヤシライスを食べていると、誉達が帰ってきて「おや、一番風呂とは偉くなったねぇ」と笑う。
「俺たちは昨日の残りを洗いながら入ったんだよ。だから一番風呂は誉婆ちゃんだよ」
「おや、それは悪かったね」
誉は柚子香を見て優しく微笑むと、柚子香は涙目で頷く。
誉はそれを見てから俺を呼んで「雄大、一つ教えておくよ」と言った。
「何さ?」
「この家は防音が効いているからね」
それは音も声も洩れにくい仕様だから、今晩もどうぞご自由にと言う事で、俺は赤くなりながらも「はい。ありがとうございます」と返事をしたら、「またこの日々に戻りたいかい?」と聞かれた。
「まあ。この日々というか柚子香の元には帰ってきたくなった」
「そりゃあ良かったよ。曾孫は仕込んでくれたかい?」
俺は真っ赤になって「婆ちゃん!?柚子香は学生だよ!」と言うと、誉は「固いねぇ…」と言って笑う。
「それこそ手の届かない場所で、柚子香と子供に何かあったらなんて思ったら、戦えるものも戦えなくなるよ」
「なるほどね。それも一つだね」
誉は少しだけ意地悪く笑うと、「柚子香、雄大には断らせないから、寂しさで潰れないように思う存分おねだりしておきな」と言う。
柚子香は「はい」と言って俺の手を引いて部屋へと向かった。
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