第42話 二度目のクリスマス。

柚子香と過ごす二度目のクリスマス。

去年とは違い、俺はノリノリのウキウキで12月を過ごす。

バイト先はイベントに疎い倉庫整理のバイトなのでクリスマスも何もない。

しかも運良く土日に被ってくれていて、平日勤務の方が喜ばれるバイト先からは入ってくれとは言われないで済む。

まあどうしてもと言われたら土曜日に入って、日曜日は柚子香と過ごすがその心配もなかった。


俺は早々に大学も決まり、後はのんびりと高校生活を過ごすだけだ。


今年は24日をウチにして、25日を誉の所で過ごす事にした。


23日の夜に柚子香を迎えに行きたかったが、年内最後の習い事があるから迎えに行けない。

誉から「バカだねぇ。24日をウチにしていたら泊まれたのにね」と言われたが、流石に柊が追い込み中なので邪魔はできない。

柊に受験がなければ、また渋谷晴子と4人でイルミネーションを見に行くことも考えていたが、流石に周りが許しても、柊は自分から「残念だけど無理だよ。もし行ったら写真見せてよ」と言って辞退していたので、4人の計画は無くなった。


まあ、来年があるから大丈夫だろ…ん?

来年…柚子香と渋谷晴子が受験じゃないか。いつになったら行けるんだ?



まあ23日は会えなくても問題はない。

前の週の17日は誉の弟で、俺の爺ちゃんの兄にあたる白鷹の祖父の法事があって、柚子香とは一日一緒にいたし、お互いに辛かったら愚痴を言い合ってお互いにご褒美をあげようという事にしていたので、18日はお互いの欲望をぶつけ合った。


今の俺にはその時の写真がある。

そう。俺は夏に買った水着を部屋で着てもらい、ポージングをしてもらってコレでもかと写真を撮る。

中には数枚お気に入りに参加する事になり、よく愛でている。


柚子香のご褒美は俺にとってもご褒美だった。

柚子香は時計が映り込むようにしてムービーにしている中で、時間を忘れて長時間のキスをしたいと言ってくれて延々と30分もキスをしていた。


まあそれで終わるわけもなく「柚子香、おかわり」と言うと、「嬉しい。私もよ」と言ってもう30分キスをして柚子香は、「これを寝る前に見て雄大に逢えない日を耐えるわね」と言っていた。


俺といえば写真ならまだしも、動画に自分が映り込むのはなんかなぁとなってしまう。

キス顔の柚子香の動画なら欲しい。

うん。今度頼もう。


24日は朝一番に迎えに行くと、誉が「まったく…」と言ってから、「柚子香、雄大が柚子香に会いたくてたまらなくてもう来たよ」と声をかけると、メイクもバッチリの柚子香が「雄大お待たせ」と現れて、誉が「こっちもかい?まあいい、楽しんでおいで」と送り出してくれた。


1日かけて2人で過ごして、夕方にはまたあのイルミネーションを見に公園に行く。

去年と違うのは荷物がない事、俺たちの仲が本当の仲になった事だろう。

それだけで去年と見えている景色が全く違う。



恋人達の鐘に並ぶと、前を歩くカップルが「本当、この鐘の呪いは本物だね。私、直人と別れたいって時もあったのに、また今年もここにきてる」、「呪いって…。祝福されてんじゃねぇの?ってか紗栄子マジ?」、「マジー。だって理解しまくりのありまくりなんだもん。直人の行きたい所が遊園地でも、私の行きたい水族館にしてくれるしさー」と言って話している。


それを聞きながら柚子香が「祝福だって」と言ってくる。「ならずっといられるな」と返すと「うん」と言ってニコニコとしてくれる。


俺達はこれからもいられるように今年も鐘を鳴らす。

係員さんに写真を撮ってもらうと、今年もキスの波が起きていた。

誰か定期的に囃し立てるのか、キスの波の中、俺と柚子香は堂々とキスをして柚子香に、「去年よりショボいかも」と言ってイヤリングとネックレスのセットを渡す。

柚子香は「こんな素敵な所で貰えて嬉しいわ!」と言って俺に抱きついて、「今年も私からのプレゼントがあるのよ。でも夜ね」と言ってくれた。


俺はそれが何なのか気になって仕方なかったが夜を楽しみに待った。


夜になると柚子香はリボンを取り出して自分に結びつけると、真っ赤な顔で「プレゼントは私よ」と言う。

多分今年も渋谷晴子の考えだろうが、俺は話に乗っかる事にして、柚子香に飛び付くと「サイコーのプレゼントだ!ありがとう」と言ってコレでもかと写真を撮って愛でる。


真っ赤な柚子香は「違っ!」、「ごめんなさい」、「晴子の」と言うが、聞こえないフリをして「このプレゼントは俺のものだ!」と言って抱きしめると、柚子香もプレゼント設定に乗っかってきて普段以上にイチャイチャする。


実際柚子香のくれたプレゼントはベルトで、「今のベルトはボロボロになっていたから」と言ってくれる。

まあ予備はあるのだが、気に入ったものを長く使うので、俺のベルトはこれしかないように見えてしまうのかもしれない。


柚子香は俺の膝の上で「これからも柚子香といて。ずっとよ?いなくならないでね」と言われて俺は「勿論だ。今晩もずっとくっついていような」と言って早々と寝る支度をする。


今年は母親も大人しく、避妊具を渡して来ないと思ったら柚子香に渡していて、柚子香は「雄大…、叔母様が使いなさいって…」と言って新品の避妊具を見せてきた。


柚子香は「わざわざ買ってくれたのかしら…。使わないとダメ?」と言い出したが、俺は「それは父さん達が使う為に買った奴だから平気だよ」と言って部屋の外にポイ捨てしてやる。


あの母親は廊下で未開封の避妊具を見て「ナマ!?」とまた騒いだが、ガン無視してやった。


「おじさま達も…するのよね?」

「そうだな。まだアラフォーだしな」


柚子香は考え込むと黙り出す。

何を考えているかわかる。


「夫婦円満の秘訣だろ?柚子香は40になったらしなくなるのか?」

「えぇ?わからないわ。20年後の事なんて考えつかない…」


「まあな。だが俺は自分にその気があれば何歳でもしていいと思うぞ。柚子香は?」

柚子香は少し考えながら、「そうね。私達も幾つになってもしましょう!」と声高に言いやがった。


間違ってはいないがなんか照れた。

俺は照れ隠しで抱きしめてそのままベッドに連れて行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る