第41話 チームでラーメン。
俺は柚子香を揶揄うのが楽しくてついやり過ぎた。
去年の冬に「17歳の性欲を舐めるな。妄想力も舐めるな」と言った。
俺はそれを男子高校生に限定していたが甘かった。
女子高生もだった。
「内春さんが何でも入れるって言ったわ!」
「何を入れるの!?」
暴走した女子2名の会話は水にインクを垂らすように一瞬で広がると、教室中がピンク色の妄想にかられてしまう。
阿鼻叫喚の絶叫の中、柚子香は俺に頼まれると何でも入れると話が出周り、柚子香はそれを否定して「お茶よ!」と言ったが、「お茶も!?」となってしまう。俺が慌てて「柚子香、傷口が広がる。黙ってろ」と言ったが、それすら拾われて「傷口ぃぃいっ!?」、「広がるぅぅっ!?」という騒ぎになってしまった。
俺も口を開けないと困ってしまう中、柊は気にせずに渋谷晴子に「晴子さん美味しいです」と言う。渋谷晴子も周りを気にせず「良かった。自信なかったけど柊さんに美味しいって言ってもらえたら、頑張って淹れた甲斐がありました」と返すと、もうこれで阿鼻叫喚は柊に移る。
また妄想女子達は「頑張って入れる!?」とか言って盛り上がってやがる。
収集つかないので柚子香に「逃げるぞ」と言って、まだ冷静な受付の子に「これ以上居ると、教師が来て大ごとになるから、俺と柚子香は逃げるよ」と言って柚子香の手を引いて逃げてしまう。
だがまあ居心地は悪い。
去年の写真が未だに出回って居るのだろう。どう見ても新一年の奴らにまで、「あの写真の」とか指さされる。
もう忘れてくれ。
結局居場所がないのを逆手に取り、堂々と歩く事にして、3年がやっている相性占いなんかにも顔を出して、柚子香と俺の相性占いとかをしてもらう。まあ結果は悪い事は言わないのだろうが順風満帆。向かう所敵なしと言われて俺達は嬉しい気持ちで微笑みあってしまった。
また尊いとか聞こえてきたが無視だ無視。
俺達は時間の許す限り2人で校内を回る。
うるさいところでは、はとこ同士。
そうでない所は、婚約者として過ごす。
去年とは違う楽しさがある。
柚子香は「来年は飲食店がやれるはずだから来てね」と言って3年の教室を回る。
「クレープ屋とかか?楽しみにしている」
「生チョコ屋さんとかどうかな?」
「あれは俺だけが食べたいから嫌かな」
「うふふ。ありがとう雄大」
来年か、少し楽しみになってきた。
去年は本当に散々だったからな。
そう思った時、去年散々だった一因の、張り合ってきた奴をまだ見てない事に気付いて柚子香に聞いてみる。
「風香?そういえば最近見てないわね。彼氏とうまく行ってるのかしら?」
「気にしてないのか?」
「ええ、クラスも変わったし。突っかかって来られなければ関係ないわよ」
まああの手の手合いと関わってもいい事はないから放置が1番だな。
「さて、ホームルームがあるだろ?外で待ってるよ」
「うん。ありがとう雄大。帰ったら…」
甘えるような柚子香の言い方に「2人でいような」と言うと、また周りが絶叫したがもう知らん。
ちなみに柊だが、渋谷晴子共々担任からお叱りを受けていた。
騒がせた原因の大半は俺と柚子香なのだが、現場にいない事もあり、逃げ遅れた柊と渋谷晴子は担任から怒られてしまい、帰り道に文句を言われる。
俺が「わかった。夜ラーメンに餃子も付けてやるから機嫌直してくれ」と言うと、柊は「晴子さんにもだよ」と言ってツンとした顔をする。
「はぁ?渋谷さんは遠くに住んでるだろ?」
「ラーメンの為に皆で集まるんだよ」
…何それ。
俺が引いていると、渋谷晴子は「彼氏さんも私は雄大さんとお呼びしますから、柚子香さんや柊さんみたいに晴子とお呼びください」と言ってきた。
まあそっちのがチームらしい。
俺が「んー、まあ慌てると素に戻ると思うけど、わかったよ晴子ちゃん」と言い、そのままラーメンの流れになった。
てっきり柚子香が嫌がるかと思ったら、ノリノリで着いてくるので「柚子香、なんで駅そばは嫌がって、ラーメンは着いてくるんだ?」と聞くと、「雄大の勧めるご飯は美味しいとわかったからよ」と言われた。
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