第2話 サングラス

「おはようございます。おはようございます・・・・・」


耳元に響く聞きなれない機械音に目が覚める。


「!?」


目を開けると細かい文字が物凄いスピードで羅列される。


「2023年11月11日AM6:00。八間渡 尊(ヤマトタケル)様身長・・・・・体重・・・・脈拍・・・・血圧・・・・・全て異常無し。おはようございますタケルさん。」


普段起きない時間に目が覚めたと思えば聞こえる幻聴・・・・・俺は再び目を閉じる。


「おはようございます。タケルさんおはようございます。おはようございます・・・・・」


「だ~~~うるせ!!」


しつこい機械音に再び目を覚ます。周りには当然誰もいない。驚いた母親が部屋を開け俺が起きていることに驚いているくらいだ。だから誰もいない・・・・・はずだ。


「おはようございますタケルさん」


しかし機械音は止まらない


「だぁ〜〜〜さっきから誰だ!」


「私です。ハチと申します」


『ハチ』と名乗る機械音。辺りを見渡すがそれらしき物は何処にも無い。


(…………俺の幻聴だよな?)


「いえ、幻聴ではありません」


「!?」


俺がふと考えたことに対して返答する機械音に俺は動揺する。


「昨日拾って頂いたではありませんか!」


「拾った?……………あぁぁ!!」


俺は昨日珍しいサングラスを拾った。そしてそのサングラスは掛けて以来外せなくなっていた。


「なんで外せないんだよ!このサングラス!?」


「タケル様を所有者として登録したからです。」


「はぁ?」


「これから私はタケル様のサポートをさせていただきます」


「必要ないんだけど」


「いえ、必要になります」


「……………」


ハチとか言う機械音の謎の自信に溜息をつく。


「…………まぁいいや。それよりこれ、外せないの?」


「はい。私が使命を終えるまではタケル様から離れる事はありません」


(使命ね・・・・・)


「なんだその使命…………」


「タケル様。間もなく登校時間です」


ハチとか言う機械音な話を遮られる。時間はいつもより30分早い。


「まだ大丈夫だ」


「いえ、タケル様の予定される時間で登校しますと遅刻する確率が80%です。今から出発しましょう」


「俺はいつもその時間で間に合ってんだよ!いつもアイツが起こしてくれるし」


「あいつとは?」


「お前は知らなくていいんだよ!」


………………。


「ったくよ〜」


結局いつもより早く俺は家を出た。あのあと煩い機械音は俺の脳内でひたすら騒ぎやがり、俺が折れた形だ。


「……………」


「タケル様。どうされましたか?」


「……………」


「普段起こして頂いているなら今日は起こして挙げては如何でしょうか?」


「!?」


俺の思考を読まれた気がして釈然としない。すると


ガチャ…………


隣の家の扉が空いた。


(アイツいつもこんな早く家出てるのか?!)


「よっ!」


メイの反応を期待し俺は自慢げに声をかける。


「…………タケルか!?ここは何処だ」


意味不明な反応に俺は冷ややかな視線を送る。


「お前なんだその反応…………って、なんでそんな格好してるんだ?!」


目の前にいるメイは制服では無く、何故か剣道袴の姿で鞘に収まった刀を左肩に掛けていた。

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異世界の君達へ ザイン @zain555

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