「あと3分で〇んち〇が爆発する」を振り返って
「あと3分でちんちんが爆発する」というタイトルの小説を書いて、Webに上げたことがある。
数日ごとにお題と締め切りが設定されるカクヨム上の企画に参加した小説だった。 その企画中のお題の一つに「3分で○○する」と言うものがあったのだ。
あらすじはこうだ。主人公はあと三分で性器が爆発するということを知り、妻や母に知らせ、そして自分の性器に別れを告げる。4000字程度の掌編だった。なるべく真面目に書いたほうが面白いだろうと考え、出来るだけウェットな語り口になるように心掛けた。Twitter上の村上春樹Botとにらめっこをして文体が似るように努力をした。
以前に書いた小説があまり読まれなくて、どうせ読まれないならと半ば投げやりに下ネタに走った話だったが、意外にも他作に比べると読まれて、少し評価され感想ももらえた。
しかし、いざ読み返してみて、現状と照らし合わせてみると実に不謹慎な内容に思えた。実際に病気で性器を失う人や失った人が読むと、ショックを受けたり怒ったりするかもしれない。本当に今さら気が付き、そして自分の浅はかさを恥じた。
とは言っても。
逆に言えば、今であればこの小説が自作として存在するのが許されるのではないか。
もしかしたら性器を失うかもしれない。今まさに自分が体験するかもしれないことだ。当事者であるので他人事にならない。だから、ブラックジョークとして存在してもいい。
不謹慎なこと自体は好きだった。ただ他者の怒りは受け入れるべきであり、そして真剣さも必要だと思っていた。
怒られたのならこうして自分もまた性器を失ったことを開示する。それでも相手が許さなかったら削除する。それでいい。
そう考えると、この作品が自分の中で大切な意味を持っているような気がした。
出来るだけ真面目に書いたほうがいいと考えて書いたので、登場人物達はふざけているつもりはない。そのせいあってが自分自身にとって不快感はなかった。私には妻はいない。それでもこんな風に神妙に性器と別れられたらいいのにと思った。
だが実際には、不安で押しつぶされそうな上、浅ましい思考でいっぱいだった。出来なくなるかもしれないと自慰の回数も増やしたほうがいいかの検討や、前立腺について調べたりした。あまつさえ童貞を捨てるための風俗を検索していた。
ソープは行ったことがなかったが、ピンクサロンは8年ほど前に利用したことがある。前日に店のホームページを探している間に一回精を出してしまったために、上手くいかなかった。時間間際になって嬢が、「あっ出ましたね」と唾液でぬれた部分を指して言いだした。そんなことはまったくなかったが、自分のほうが悪いと思ったのでそのまま頷いた。帰るときのアンケートでは「一生懸命でよかった」と思ってもいないことを書き込んだ。それから店には通っていないし、以後今まで風俗を利用することはなかった。
「あと3分で~」をまた読み返す。やはり悪くはないと感じた。この小説は誠実だ。私がそう決めた。ただ、このしこりが腫瘍じゃなかったら削除することに決めた。
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