第37話アデル王国の動乱

聖王国に行く前に立ち寄った町の酒場で近くの港町で魔人が出たとの噂を聞いた 

これだ!! 魔人討伐の功績を手に入れて国に凱旋しよう だが魔人は既に討伐されていた

気を取り直して クロノス王を殺す事に集中する

国内に入る事も出来ず 突如現れた三人の女性にコテンパンにやられ投獄された


 クロノス王を見た時 どうあがいても勝てる気がしなかった 何が召喚勇者だ!!現地にあんな強い奴が居れば俺なんかいらないだろう!!

フツフツと静かな怒りが湧いてきた そうだ俺を召喚したアデル国王が全て悪い

あいつを殺してアデル国を奪おう そうなると先ずはクリスを亡き者にしなければならない

細い山道を進んでいる時 突風が吹いて クリスが態勢を崩すの見て後ろから軽く背中を蹴る 奴は底の見えない谷底に落ちていった マルコが「クリス様ー」叫びながら谷底を覗き込む マルコも軽く蹴って落ちてもらう

見ていたリリスに「何か喋ればお前も同じ目に遭うからな」一応釘を刺しとく

「わ 分かりました」震えながら答える こいつは後のハーレム要因だからな

さて次は反国王派の取り込みだな いろいろ作戦を考えながらアデル国への道を急ぐ

クリスに反国王派の話は聞いている 聖王国乗っ取った後に始末して欲しいと言われていたからだ

反国王派の筆頭であるジャレット伯爵に面会に行く

ジャレット伯は少し身構えたように俺を執務室に招き入れた ドアの外に三人 隣の部屋で三人が待機している 話が拗れたとしてもこの人数なら殺して逃げられるだろう

「それで 勇者殿何の用かな?」ワインを口に含みながら尋ねてくる

「いや 実は旅の途中でクリス王子が亡くなりまして 私に王国を任せたいと最後に仰られたんですよ」無念そうな顔で俺が話す

「な なんだと?! クリス王子が亡くなったのか?」驚愕した後 顎をさすりながら沈思する

ややあって「勇者殿 長い話になりそうだが大丈夫かね?」そう言うと机の上にあるベルを鳴らす

「お呼びでしょうか?」執事が入って来て 執事に顔を寄せて何事か言っている

「かしこまりました」言って執事は出て行く

「それで 勇者様はどうしたいんですか?」唇を舐めながら問うてくる伯爵

「どうって?」俺が聞くと

「率直に言って この国の王になりたいかね? それであれば 私にも出来る事が在るかも知れないと思ってね」

 俺は沈黙する 

「王になっても良いとは考えている」

「分かった 一週間後また来てくれるかね」ニヤリと笑ってワインを飲む

「分かった」言い残して俺は部屋を出る


一週間後 伯爵邸に出向くと五人の男と伯爵が待つ部屋に案内された

開口一番「私達の旗頭になってくれるかね?」伯爵が言う

「どういうことだ?」俺が聞くと

「現王には退いてもらって 新しい体制を作ろうかとかんがえている」

伯爵が言うと五人も頷く

「どうやって?」思惑通りだなと考えながらも顔には出さず 聞いてみる

「この五人も含めて六人の私兵をもって内乱を起こし 現王には退陣してもらう 幸い今は 魔族との戦争で王国軍は国内にはほとんどいない 屈強な近衛兵も勇者には適わないだろう 」

「分かった」頷いて俺は出て行く

「これで アレを傀儡にしてこの国も我らの思うままだな」笑いあう六人

伯爵を焚きつけると同時に 今の国に不満を持つ者達に接触し不満分子を集める


時は来た 六人の伯爵 侯爵達の私兵一万と国内の革命軍二千で城を取り囲み 現国王の退陣を要求する 王城を守る衛兵は五百ぐらいなので 戦闘らしいものも無く ただの小競り合い程度で入城し国王を捕らえる

翌日 中央広場に人々を集め国王が魔王討伐の為と言い他国から多額の協力金を募り国民からは同じ理由で高い税を負わせ 全ての金を着服していた事を告げる

処刑台に晒された元国王に国民から罵声と石が浴びせられる


改めて俺が国を治める事を宣言し 解散させる


その夜 反乱軍の貴族や革命軍のリーダーを招き祝勝パーティーを開く

「これからのこの国の未来に 乾杯!!」

乾杯で皆飲み物を口にし 直後にバタバタを倒れる

俺が飲むワイン以外 酒 果実水 全てに毒が入っているのだから 当たり前か


俺の横に侍らせていた女達が悲鳴を上げる

[衛兵 何があった? 倒れてる者達を助けろ]慌てた振りをして声を上げる

「「駄目です 皆さん 亡くなってます」」衛兵達も狼狽している

これで 全て終わったな 内心ニンマリとしながら「宮廷魔術師を呼べ!!」俺が叫ぶと

「宮廷魔術師様達は 戦線で治療応援の為 どなたもいません!!」

衛兵が大声で言うが

知ってる 俺がそうしたんだからな 助けれるような人物は王城にはいない

「原因を調べろ!!」俺が叫ぶが 毒蜥蜴の毒は特殊で毒殺の証拠なんか出て来ない

ここから イズミ帝国の始まりだ 俺は満足してワインを飲み干す


前線から将軍を呼び戻し 話し合いをする アデル王国が瓦解していた事や 俺が皇帝になっている事にも驚いていたが摸擬戦で打ち負かし(将軍は脳筋で力こそ正義 自分より強ければ下に就くような男だ) 忠誠を誓わせた

この魔族との戦争もアデル国王が版図を広げるために進軍したのが発端だ 魔族側もこれに反発し小競り合いから戦争へと拡大し 今では魔族側も版図を広げようと各地に進軍していた 国も民も疲弊しきっており 食料さえおぼつかない程である

徴用した兵士を出身地に送り返し 食料生産に従事させる

 魔族側にも休戦を提案する書状を送る 二年間の休戦協定を結びその旨を協力国に宣言する

多分 魔族国も疲弊していたのだろう すんなり受けいれるとは意外だった

これから二年間の間に人族を統一して 俺がトップになり魔族との決戦に備えなければならない そして いずれ この大陸を統一してやる


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