第35話アデル王国と召喚勇者
リリエル達三人の里帰りの後 三人はマリアートに頼んでリリエルの転移魔法でそれぞれの里に戻り 救済の祈りをしてもらった 亡くなった村人やマオの母親の為に
マリアートは救済の祈りを捧げ 鎮魂した
今でも 日に一度は彼女らは墓参りに行き 供養している
シャルロットは 家を建てアルとキャロと一緒に住むつもりだったが 結局アジムさんと 今まで通り炭焼き小屋に住む事をアルとキャロは選んだ
森の一番奥から登校する二人に途中からエルフの子や黒猫獣人の子が合流して
結構な人数で集団登校している 学校が終わるとシャルロットはアルとキャロを連れて飲食店へ行き その日のあった事なんかを聞きながら 軽い軽食を摂る それが今のシャルロットの楽しみだった
リリエルはマリアートの側使えとして 一日中くっついてまわり 「救済」「鎮魂」 の祈りの習得に頑張っている
マオは自由気ままに動き 魔女の森や黒猫獣人達の所に顔を出していた
そんん日々の中 門番がアデル王国の召喚勇者が面会を希望していると連絡してきた
「別に 構わないよ」クロノスが答えると
「そ それが 勇者様達が国内に入れないのです」門番が言い難そうに言う
「じゃあ しょうがないね お帰り願って下さい」
「かしこまりました」
少しして再び門番から連絡があり「王様 勇者が暴れております いかがいたしましょう?」
「三聖女はいるかな?」今日のメイド当番の女性に言うと「呼んで参ります」と部屋を出て 「お呼びでしょうか?」三人揃って部屋にやってきた
「忙しい所 悪いね 南門で勇者が暴れてるそうなんだ 行って取り押さえて牢にでもぶち込んで欲しい 後三日間は食事も水も与えないように門番さん達に言っておいてくれる?」
「「「分かりました」」」三人が出て行くと フヨフヨとマリアートが現れ
「また 面倒な奴らが来たのう」嫌な顔をしながら呟く
「召喚勇者のイズミ様が来たというのに この国の扱いは何だ?」喚きながら門前町の商店を壊していた そして教会を見つけると 中にズカズカと入り込み 祭られているマリアートの像を見て「何だ? この国は邪神を崇めてるのか?」叫んで 初めてマリアートが認めたエドの作った像を剣を振り上げて壊そうとする
ドンッ マオが横から来当たりしてイズミを吹き飛ばす
ゴロゴロと転がったイズミは歪めた顔でマオを見る
「貴様!!何者だ?! 俺様が勇者イズミと知ってのことか!! 」イズミの仲間の三人もポカンとと見てる
「何が勇者だ 町や皆に迷惑かけやがって」
マオが叫びながらイズミを投げ飛ばす
「グボェ」変な声を出しながら教会の椅子に叩きつけられる
「拘束」リリエルが唱えると蔦が身体を縛り付ける
イズミを抱え上げてマオがポカンとしているイズミの仲間三人に「お前等も付いてこい」と言い イズミを含む四人を門に備えている牢屋に放り込む
目を覚ましたイズミは状況が分からず 仲間の三人にどうなったのかを聞き
「何で こんな事になってるんだよ!!」仲間に向けて叫ぶ
沈黙している仲間を見ながら今までの事を振り返る
召喚される前は 日本で暮らしていた キツイ仕事場で上司からも後輩からも邪険に扱われ 家に帰ればブクブクと太った 昔の面影も無い嫁にネチネチと小言を言われ何もかもが嫌になっていた そんな時会社帰りに足元が光り目を開けると見覚えのない薄暗い部屋にいた 目の前には白い髭を生やした老人が立っており「ふむ 召喚成功じゃな」と言いながら俺に手招きしている
(もしかして 異世界召喚ってやつか?)俺は少しウキウキしながら老人の方へ行く「付いてまいれ」と言うと老人は先に歩き始めた
(そうか!! これから王に会って 巨乳の魔導士が魔力を測定する玉に触らせ 俺の魔力を測り 凄いとか規格外とかチヤホヤされるんだな ちょっと試してみるか?)「ステータスオープン」言葉にしてみたが何も起こらない 何故だ?
「何を やってるんだ?」先を歩く爺さんが止まって振り向きながら訝し気に言う
「いや 自分のステータスを見ようかと思って」俺が言うと
胡散臭そうに俺を見ながら「そんな事 出来る訳ないじゃろ!!」と一喝された
連れて来られたのは謁見の間ではなく応接室みたいな部屋だった 巨乳の魔導士もおらず 顔も体もブヨブヨとした身なりの良い太った男だけだった
「よくぞ 来たな 勇者よ」太った男が偉そうに言う
「一体 ここは何処だ? 何故 俺を召喚した?」巨乳魔導士もいないので イラつきながら聞く
「今 この大陸は魔族によって侵攻を受け 危機にさらされている 魔王に対抗するには異世界の勇者が必要なのだ そこでお前にきてもらったのだ」
「俺が この大陸を救うのか?」
「そうだ お前が救うのだ 救国の勇者になるのだ」
言われて悪い気はしないが 俺のステータスとかどうなってるんだ もし魔法とかもあるなら俺は使い方も知らないぞ?
次の日から力量を測る名目で摸擬戦をさせられた 一日目に手の皮が破れ血で滑って剣を持てなくなると 俺を召喚した爺さんがきて 「治癒」で治してくれた 三日もすると手の皮は破けなくなり タコが出来始めた
魔法も爺さんに教わりながら 少しづつ覚えていった 強くなっている気はするが
実感は伴わない
二月程すると 俺は戦場に送られた 魔族とはいえ見た目はほぼ人間と同じだ
初めて魔族を切り倒した時 手の感触 血を吹き出しながら倒れる魔族を見て 腰を抜かし 動けなくなった 倒れた魔族の後ろから別の魔族が現れ 俺に切りつけてきた 咄嗟に身を躱したが頬を薄く切られ 流れた自分の血を触って見てここが今の俺の「現実世界」だと思い知った 殺らなければ殺られる 恐怖心から後は無我夢中で敵を切り倒した 何度か戦場に出るうちに慣れてきて もはや人や魔族を殺す事に何の抵抗も無くなった もう勇者としても恥ずかしくない功績もあるだろう そう考えていた時にブヨブヨのおっさん(アデル国王)に呼ばれた
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