第29話山賊退治

「山賊が出て行商人が困ってるだって?」

クロノスがギルドに顔を出すと 今やこの国の冒険者ギルド長になった マミエルが相談してきた

「ランクの高い冒険者を向かわせてるんだけど 尻尾も掴めない状態なの 商人さん達も怖がって 最近物流が滞り気味なのよ」ため息を吐きながら愚痴るマミエル


[そりゃ 困ったな 今 物流が滞ると国の発展にも影響があるな」

二人して考え込んでいると シャルロット達3人がギルドに入ってきた


「そうだ シャルロット マオ りリエル 俺と一緒に山賊退治に行かないか?」

突然のクロノスの言葉に三人共 意味が分からずポカンとしている

マミエルが間に入って「いきなり そんな事言われても訳が分からないわよ」

三人にマミエルが話の流れを説明する

「「「分かりました お供いたします!!」」」



山賊はラリウス聖王国の東にあるベアトップ帝国を結ぶ街道に出るらしく 人数も 拠点も不明だそうだ


ダミーの荷を載せて四人でベアトップ帝国に向かう

晴れた馬車の旅もわるくないと皆思いながらも周囲を警戒し街道を進む

深い森に差し掛かった時 「兄貴 木の上に三人 茂みの中に十人隠れてる」マオがそっと耳打ちする 「みんな 戦闘準備だ」クロノスの言葉に頷く三人


 カコン 障壁をはってる馬車に何かが飛んできて 弾き返されたようだ

続いて カコン カコン カコンと弓矢が当たる音がする

馬も含めて障壁の範囲内なので馬を狙っても無駄なのに とクロノスが思っていると  痺れを切らしたのか茂みに隠れていた連中がワラワラと出てきた


「殺されたくなけりゃ 荷を置いていけ」 どこかの国の甲冑を着た坊主頭の男が

言い放つ クロノス達四人は馬車の前に出て 「お前達が 最近 この辺りで悪さをしている盗賊か?」クロノスが誰何する

四人を見た坊主頭は「多分 そうだ 俺らを知ってるなら 話は早い」

ねっとりと四人を見ながら「人間二人に黒猫獣人とエルフか 俺らが楽しんだ後に奴隷商に売り飛ばしてやる 殺しはしねえから 大人しくしてろ」

マオは結界から出ると 稲妻のような速さで木の上に陣取った弓矢を持つ三人を木から叩き落した「ぐべっ!」「ウゲッ!」「ぶばぁ!」木の根元で三人が昏倒する

「な なんだ !?」威嚇 牽制の矢が飛んでこないのを不審におもった坊主頭が後ろを振り返るが居るはずの弓兵がいない


 坊主頭の隙を見てシャルロットが坊主頭の懐に入り首に剣を当てる

クロノスは拾った木の棒で鼻歌を歌いながら次々と山賊達を倒していく

倒れた奴らと木の根元に昏倒していた三人を一か所に集めてりリエルが「木樹牢」

で閉じ込める

 「じゃあ お前らのアジトに案内してもらおうか? 全部でお前ら何人いるんだ? それと 今まで襲った人はどうしたんだ?」クロノスがシャルロットに替わって坊主頭の首に剣を突きつける

「ふん!! 喋る事なんざねえよ!」坊主頭が虚勢を張る

「そうか 喋るまで 仲間を一人づつ殺していこう」

言うとクロノスはりリエルに一人木樹牢から出させて

「お前は喋るのと死ぬのは どっちがいい?」坊主頭の後頭部を剣の柄で叩き 昏倒させた後 表情を変えずに聞いた


「ふん 喋るわけないだろ!!」坊主頭に続いて虚勢を張り叫ぶ

ブンと音がした時には 山賊の首が落ちていた

「りリエル 次を出してくれ」

「分かりました」りリエルがまた一人だけ牢から出した

「お前も 何も喋る気はないか?」クロノスが剣を首に当てながら無表情で聞く

ガクガクと震えながら山賊は「お 俺は」真っ青な顔でクロノスを見上げる

「勘弁してくれ アジトには案内する 全員で106人が構成員だ 襲った奴らは 男は殺して 女 子供は奴隷商に売り飛ばしてきた」

「そうか じゃあ お前らのアジトに案内しろ」



山賊達を数珠つなぎにして アジトに向かう

「お前ら いい気になるのも今のうちだぜ」坊主頭が悔しそうに呟く

アジトは朽ち果てた昔に建てられた砦だった

「こんな所に砦があったのか? そういえば 1000年前はベアトップ帝国と戦争してたっけ その頃の名残りなのか?」クロノスが遠い昔 アレスだった頃の記憶を呼び戻す


「敵襲だー」見張りがクロノス達を見つけ大声で叫ぶ

砦の上から矢が飛んでくる クロノス達四人には障壁が張ってあるが 山賊達には張ってないので 味方の矢に次々と襲われていた

「火炎矢」砦上にいる弓を撃ってくる山賊達にクロノスが魔法の矢を撃ち 倒していく 騒ぎに気付いて 門が開いて大勢の山賊達が武器を持って出てきた

「人数が多いから 危なくなったら殺していいよ」シャルロットとマオに声をかけて自分も山賊達の真ん中に歩き出し 「雷鳴」唱えると山賊達に雷が落ち 痺れて動けなくなる

「雷鳴」を逃れた者もシャルロットとマオによって倒されていく

りリエルは倒れている者達を樹木魔法で縛り上げていく

「お前ら 何事だ!!」砦の中からオーガほどの大きさの髭面の男が出てきた


 「お前が こいつらの頭か?」クロノスが瞬時に後ろに回り込み大男の膝を蹴り上げ言う

「ウガっ」骨が砕ける音と共に大男が前に倒れこむ すかさずりリエルが縛り上げる



四人で砦内に入り 山賊が残ってないか確認していると 「兄貴ー!! 人が捕まってる」マオが大声でクロノスを呼ぶ

マオの声の方に行くと 鉄格子の中が二十人ぐらいがぐったりしている

「りリエル 頼む」クロノスが言うと りリエルが「回復」を唱える

金色の光が収まると 何人かがモゾモゾと動き始めた

「助けにきましたよ 皆さん どこか痛い所とかありませんか?」

クロノスが優しく問いかけると

「あ ありがとうございます あいつらはどうしたんですか?」

髪を後ろで纏めた女性がおずおずと聞いてくる

「外で縛り上げてます」言いながら 牢を開けて 中の人達を外に出していく

外に出た先程の髪を後ろで纏めた女性が倒れている大男を見て シャルロットの腰から剣を抜き取り 「夫の仇だー!!」叫びながら大男に走り寄り 剣を大男の背中に刺す それを見ていた数人も「この野郎ー!!」「あの人を返せー!!」

と最初の女性から剣を借りて 大男の背中を刺しながら 嗚咽を漏らしてる

「まあ まあ 貴女達もこいつらと同じになる事もありませんよ」

クロノスが優しく剣を取り上げシャルロットへ返す

「ごめんなさい お兄ちゃん」剣を取られた事を恥じてシャルロットが俯く


砦中を捜索して 他に囚われてる人が居ないか確認してると 宝物庫みたいな場所を見つけ中の物全てを次元収納に入れた

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