第27話お風呂

商店街の突き当りに大きな建物がある

「ここは 何ですか?」アリスが聞いてくる

「ここは 公衆浴場だぜ 皆で入れる大きい風呂だ」マオが得意げに説明するが

「「風呂?」」 皆 ピンと来てないようだ

「何をする所なんですか?」マオの説明に戸惑いながらアリスが再度問いかける

「まあ 行けば分かるって!!」マオは説明するのが面倒になったらしい


 女湯の脱衣所に入り 「ここで 服を脱いでくれ」マオに言われ 魔女達が困惑する 「え!? 何故服を脱ぐんですか? 何か企んでませんか?」批難がましい口調で魔女達が騒ぐ

「何も 企んでねえよ 風呂に入るときは服を脱いで 裸になるんだよ!!」

マオが乱暴な口調で言い放つ

 それに驚いたのか 魔女達がモゾモゾと服を脱ぎ始めた

[マオさんって 女の子ですよね?]

「まあ 付いてないから女なんだろうな」

アリスとコリスが小声でマオを見ながら話している



「よーし じゃあ風呂の入り方を教えるぜ」

マオがまた魔女達を見回し 得意げに話し始めた

(私達だって お兄ちゃんに孤児院につれて行かれるまで知らなかったのに 特にマオは水を怖がって マリアさんを困らせていたのに もう忘れたのかしら?)

シャルロットが昔を思い出しながらマオを見ていた


「最初にそこにある桶で湯を汲んで 体にかけて埃を洗い流す」

マオが桶に湯を汲んで自分の体にかける

 真似して魔女達も湯を汲んで体にかける 「「「あったかあ~い!!」」」


 「そしたら ゆっくりと湯舟の中に入ってくれ」

マオがが湯舟に浸かり目を閉じ 「あ~~」っと吐息を漏らす

魔女達も湯舟に浸かり 「「あ~~」」っと吐息を漏らす

「暖かい!!」「何 これ!!」 「気持ちいい~」

魔女達が感動じながら 手足を湯舟の中で伸ばしている


「これは 良いものですね!!」呪い返しの薬を作っていたマイナがりリエルに言うと りリエルは目を閉じたまま

「先程も言いましたが 私達3人は戦災孤児で 私は襲われた村から 逃げる途中で 奴隷商に捕まり そこであの2人と知り合い 共に逃げたのですが 体力が無くなり 手頃な洞窟を見つけシャルロットの隠蔽魔法で入口を隠し 暫くそこで暮らしていたんです 洞窟の中なので暗いし 春前だったので寒いし お腹は減るし 凄く悲しい気持ちになって 泣きたかったんですが ここで泣いたら2人に迷惑をかけてしまうと思い 我慢しました 何より 2人も同じ気持ちなんだろうなと分かってましたから そんな時に ニィ…  ゴホン 失礼 国王が私達をトワ様の孤児院に連れて行ってくださったのです そこで私達も初めてお風呂に入ったのです 湯舟に浸かっていると 体も心もポカポカして あの苦しかった悲しみも湯に溶けていくように無くなりました お風呂に入るたびにあの安心感が蘇ってきて 私はお風呂が大好きなのです どうか 皆様も心に傷があるのなら癒されてください」


「心の傷も治してくれるなんて 最高ですね!! 私達も皆 心に傷を持っていますので 活用させて頂きます」目を閉じてマイナが呟く


「じゃあ 次の段階だ!!」ザバンと湯舟から上がりマオの指導が再び始まる

「体が温まったところで 浮いた垢をタオルで擦り落とすんだ 背中は誰かに擦ってもらうといいぞ 一人でやるときはこうするんだ」マオはタオルを背中にまわして上下に擦り始めた


「「わかったわ」」

魔女達がタオルで体を擦りなじめた 中には先に背中の流しあいをしてる者達もいる

「気持ちいい~~」

「夏は井戸で水を浴びて 冬はお湯で絞ったタオルで体を拭いてたけど こんなに汚れが溜まってたなんて!!」

「お風呂最高!!」


「垢を流したら もう一度湯舟に浸かって 体の芯まで温まるんだ」

マオに言われ 魔女達が再度湯舟に浸かる


 風呂から上がり 火照った体で次に向かったのは食堂だった

皆で一つのテーブルにつき ランチを人数分注文する

食事が皆の前に運ばれて 「マオさん これは何ですか?」コリスがパンを見て尋ねる

「何って パンだよ」マオは呆れたようにコリスに答える

「えっ!? パンって普通黒くて固いですよね なんで こんなにフワフワなんですか?」 他の魔女も パンを手に取って柔らかさを確かめている


「これは 国王が作り方を国民に教えた製法で作られたから 他のパンとは食感も味も段違いに美味しいんです」シャルロットがマオの説明の下手さに助け舟を出す

「国王様が!!」

「あんな 綺麗な顔なのに パンも作れるなんて!!」

「所作も美しかったしね」

「そういえば あのお風呂にはいつでもはいれるのですか?」

マイナがパンを飲み込みりリエルに尋ねる

「午後の鐘から夜の鐘の間は 入れますよ」

食の細いりリエルは食事を終えて お茶を飲みながら答える

「あの大量のお湯はどうやって?」

「ここでは 基本子供は働かないで学校に行く事を決められています ただ学校が終わった後は 親の仕事を手伝ったり 何かの仕事をする事は認められています お風呂を火魔法で温めるのは子供たちの魔法強化にもなりますし いいお小遣い稼ぎにもなりますので 大人気なんですよ」


 ワイワイと喋りながら 食事を始める

「美味しい~~ パンも料理も最高~~」

相変わらず食事時は賑やかな魔女達だった


 汚れを落とし お腹も膨れたところで 今日の宿泊所になる建ったばかりの孤児院に案内し 森の中での住む場所は明日話し合う事にして解散する


孤児院には 一部屋に二つのベッドがあり 其々分かれて荷物をおいた













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