第25話魔女の森3
バタバタと女性達が集落の外れに走って行く その後ろをリリエルも付いて行く 結界の外に建てられた小屋に入って
「ルイーズ様 薬が完成しました!!」薬師の女性がガラス瓶をルイーズに手渡す
「ありがとう 迷惑を掛けたわね」
左手で優しく受け取るルイーズ
リリエルはシャルロットとマオを見つけ二人に事情を聞くと「そんな事があったのね!!
こっちも色々あって遅くなっちゃったの」三人で話していると 薬を飲んだルイーズが
突然苦しみ始めた
「なんだよ!! 失敗したのか?」コリスが慌てて叫ぶ
「いいえ 失敗はしてないわ 鑑定でも「解呪薬」になってるし」
リリエルがそう言いながらルイーズに近寄り
ルイーズの身体が黒くなっていくのを見て「これは「解呪阻害」の術が組み込まれてるわ」
リリエルはルイーズの身体から浮き出る魔法陣を見ながら 「解呪阻害」の魔術を無効に出来る術式を組み立てる
「呪術反射」唱えるとルイーズの体が淡い金色の光に包まれ 粒子が吸い込まれていく
光が収まるとルイーズの肌は黒から白になり 苦しそうな表情から解放され 小さく寝息を立て始めた
「あんた!! ありがとう」コリスが抱きついて涙を流す
他の女性達も感謝の言葉をリリエルに送る
薬を作っていた女性はマイナという名前だった マイナは涙を流しながら
「あたい達は 他人から暴力を振るわれ 迫害されて 行き場を無くして死ぬためにこの森に入ったのを
ルイーズさんに助けられたんだ だからルイーズさんの為に出来る事を皆で頑張ろうとしてきたんだが 結局役立たずだった あんたがいなかったら考えたくも無い事になってただろう
だから あたい達の最大限の感謝をうけとってくれ あんたの為なら何でもする 対価に命を差し出せと言うなら この命を貰ってくれ」
「別に対価なんていらないですよ 私達はクロノス王の使命で伺っただけですし 元より 困っているなら
助けるように言われてますから」
「それより 皆さん根を詰めて作業をされてたみたいですが 食事も碌に摂って無いんじゃないですか?」
集落の真ん中でリリエルが4本の支柱を魔法で作り 鉄で出来た網を乗せる
収納バックから肉や野菜を取り出して焼いていく
「マオ 肉がもう少し要るかもしれないから 採って来てくれる?」
「分かった!!」
マオは森の中へと駆け出していく
マオは木の上に陣取り 獲物を探す
「兄貴と初めて狩りをした時を思い出すぜ」
独り言を言いながら 獲物を探す すると視界の中に一匹の大猪を捉えて
認知した瞬間には大猪の首を落とす事に成功していた
「血抜きをしっかりしないと 生臭いんだよな 昔は平気だったけど 兄貴に解体から料理まで教えて貰って
舌が肥えちまったのかな? 」
ブツブツ言いながら集落に運び込んで様子を見るとまだ肉は足りているらしいので 木に内蔵を取った大猪を吊るして血抜きをする
「これは トワ様が考案された調味料だそうです」リリエルが肉や野菜にソースを塗って焼いていく
「良い匂いね 凄く懐かしい感じの匂いだわ」呪いが解けて結界内に入れるようになったルイーズが歩いて来た
「「ルイーズ様!! 良かった!! もう歩いても大丈夫なんですか?」」
コリス達がルイーズの座る場所を作りながら また泣き始めた
「皆のお陰で もう大丈夫よ それにこの匂いは大好きなの 昔トワ様にご馳走して頂いた時のものと同じ匂いなの ああ 懐かしいわ 呪いも解けて 清々しい気持ちだわ 皆本当にありがとうね」
笑い声の絶えない夜は更けていく
翌朝 シャルロッテ達は 馬に乗って伯爵家に赴き オーガ討伐を報告し 魔女の森近辺の住人の惨状を訴えた
「オーガ討伐 感謝する しかし 魔女の森付近の村が そんな事になっていたとは!!」
伯爵は驚きながらも 改善を約束してくれ 報酬をと言われたが 魔女の森近辺での炊き出しや治療をお願いした
三人は馬と共に魔女の集落に戻り これからの事をルイーズと話し合う
この頃 結界外に倒れている者達を頻繁に見るらしく 薬を卸に行く時も尾行されたり 攫われそうになった時もあるらしい
結界外にあるルイーズの小屋も襲撃にあったが 集落の者総出で撃退したとコリスが自慢げに話した
「たぶん 私達の作る薬が目当てなのでしょう 結界内に入れない事で諦めてくれれば良いのですが」
俯き 溜息をつきながら ルイーズが漏らす
「でしたら 皆さんさえ良ければ 我が国に移住されませんか?」シャルロッテが
ルイーズ達を誘う
「よろしいのでしょうか?」
間をおいて 顔を上げ ルイーズが尋ねる
「元々 ルイーズさんが困っているなら助けるように言われていましたし 国王も移住されるなら 大歓迎だと思います」
ルイーズは集落の皆を集めて移住に対しての意見を募った
「ルイーズ様が行かれるのなら 私達も着いて行きます どうか 私達を見捨てないで下さい」
話し合いが終わり移住が決まる
「でも 私達のような者を受け入れて下さるのでしょうか?」
コリスが不安そうに聞いてくる
「お兄… いえ国王は正しい心のある方なら どんな方でも受け入れます 現に私達も戦災孤児で 私は人族ですがマオは獣人族 りリエルはエルフです それでも分け隔てなく接してくださいます」
うんうんとマオとリリエルが頷く
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