第24話魔女の森2

小屋の中では 魔女の森の一人が薬の調合をしていた

「なかなか上手くいかないわね」汗を拭きながら独り言ちる 周囲には薬草や魔石をすり潰している者もいる



「ルイーズさんは こちらです」走って戻ってきたコリスがシャルロットとマオ達を案内する


 結界の外に作られた小屋の中に女性が臥せっていた 小屋の周りには頑丈な石塀が作らており 獣や魔獣から守っている


「ルイーズさん 連れて来たよ」コリスが言うと

「わざわざ 申し訳ありません トワ様のお知り合いというのは 本当ですか? あの方はお元気でいらっしゃるのですか?」

右半身が煤けたような肌をした女性がか細い声で問いかける


「私達はラリウス王国国王クロノスの使者として参りました 王を育てられたのがトワ様です そして残念ながらトワ様は神の元へ旅立たれました」


[ああ そうなんですね トワ様!!」

左目から涙を流し 嗚咽するルイーズ


「私は ここから北のにあるマリグという村に生まれました 両親は私が幼い頃み死んでしまい 年の離れた兄が育ててくれました

兄は少しぼんやりした所がありましたが一生懸命に働いて二人でどうにか生きていましたが ある日村長の息子のハジルとその手下の三人と一緒に兄は釣りに出かけ 

兄だけ帰って来ませんでした ハジルが言うには川に落ちてそのまま流されてしまったそうです

私は何日も兄の帰りを待ちました ですが兄は帰って来ませんでした」ルイーズは手を震わせながら言葉を紡ぐ

「辛い思いをされたんですね」シャルロットが優しくルイーズの右手に手を重ねる




「私が兄の事を諦めようとした時 ハジルが家に乱暴に入ってきて 私を辱めようとしたんです

「お前と良い事したいと思っていたのに いつも あの木偶の坊が邪魔しやがるから 川に突き落としたんだよ」

私を組み敷きながらハジルが息を荒くして叫びました それを聞いた時 暴れる私の手に兄から貰った小刀が触れたので

握りしめてハジルの左肩と左目を突き刺したのです 叫ぶハジルと自分のした事に気が動転して そのまま村を飛び出し 行く当ても無くこの森を彷徨っている時に魔物に襲われ 間一髪の所をトワ様に助けていただいたのです

「君には錬金術の才能がある」トワ様が仰って 私に錬金術の手ほどきをして下さり

 ここに結界を張ってもらいここで薬草を作り生きるようになったのです」


「何か 困りごとはありませんか?国王から養父の遺言だから困っているようなら 助けになるように言われております」

シャルロットが聞くと


「誰かに呪いをかけられたようで どの薬草を使ってもこの右足から広がる麻痺と皮膚の壊死が完治いたしません 

10日前ほどに薬草を卸しに行った時に 誰かに掛けられたようで 呪いのせいで結界内に入る事も出来ず 皆に迷惑をかけております」


「教会には相談されたのですか?」


「コイデ神教会では 解呪出来ないそうです」ルイーズが俯いたまま答える



「やっぱり あいつ等は役立たずだな」マオが小声で独り言ちる


□ □ □ □ □


 転移魔法でシャルロット達と別れた場所まで戻ってきたリリエルは 足跡を辿りながら魔女の森の住処を探し出し村の中に入って行く

 一つの小屋に何人か集まって作業をしているみたいだ シャルロットとマオは何処だろう?思いつつ小屋に入ってみる


「あの~ すみません こちらに人と黒猫の獣人が訪ねてきませんでしたか?」

薬品に魔力を注いでいる女性が頭を上げ

「その二人なら ルイーズ様の所にいるはずだ」そう言うと直ぐに薬品の入ったガラス瓶に視線を戻す


(ああ あのやり方じゃ駄目だ)そう考えながら魔力を注ぐ女性をボンヤリと見ていたりりリエルは女性に話しかける

「お姉さん 魔力を外から内に向けると魔力のカスと言うか澱みたいのが中心に残るので内から外へ向けるイメージ

で流すと不純物はガラスを抜けて出ていきますよ


「えっ? そうなのかい?」女性は額に溜まった汗を拭うと 言われた通りに中心から外に向けて魔力を流し込んだ

少し時間が経った頃「出来た~!!」叫んで女性が立ち上がった



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