第16話 清い関係のままで

※今回かなり暴力表現•性表現

 残酷•不快な表現が多めです。

 苦手な方は御注意下さい。

 長いです。


自分は愛敬あいけい高校こうこうで生徒会長をしている

護堂ごどう清十郎せいじゅうろうといいます。

周りからはセイ会長やゴドー会長と

呼ばれています。

自分はこの学校が大好きです。

名前のとおり【愛】を【うやまう】学校です。

生徒達は幸せそうに友人や恋人と過ごし

先生達は優しく見守ってくれています。

生徒会室の窓から楽しそうに下校する

生徒達を見ていると

「セイちゃん嬉しそうだね。」

副会長のかすみ伊織いおりちゃんが

話しかけてきました。

「とても平和な光景だなぁと思って。」

そう言って二人で微笑ほほえみ合った。

伊織ちゃんは幼馴染みで許嫁いいなずけです。

家同士が決めた関係ですが伊織ちゃんとは

小さい頃から仲が良く私も伊織ちゃんも

喜んで受け入れました。

世間せけん一般いっぱんの生活を知るためだったけど

 この高校に来て良かったねセイちゃん♡」

「本当ですね。」

「もう、また敬語になってる。

 二人きりの時は辞めてって

 言ってるのに。」

「ごめん、クセでつい•••」

今でこそ生徒会長と副会長の立場ですが

家としての関係は伊織ちゃんの霞家かすみけ

我が護堂家ごどうけが守るという立ち位置です。

この関係は昔からで本来は主従関係しゅじゅうかんけい

当たるのですが次期じき当主とうしゅになられる

伊織ちゃんのお兄さんと私の姉が

結婚した事で色々と変わってきました。

なら自分と伊織ちゃんもくっつけば

もっと家同士の繋がりは強くなるという

思惑おもわくがあるのでしょうが

こっちとしては願ってもない事です。

色んな困難を乗り越えて結ばれた

義兄にいさんと姉さんに感謝ですね。


そんな事を考えていると

「また何か別のこと考えてるでしょ?」

伊織ちゃんがほほふくらませます。

生徒達からはクール美少女と評判の

伊織ちゃんですが二人きりの時は

昔からこんな感じです。

「いやぁ義兄さんと姉さんが

 結ばれなければ自分達も幼馴染みのまま

 あるいはあるじ警護けいごのまま

 だったのかなぁって」

「そうかもね•••

 でも私はセイちゃんのお嫁さんに

 なりたいってずっと思ってたから

 もしかしたらなにか行動してた•••かも?」

「嬉しいな•••

 自分は警護でも良いからそば

 いられれば•••

 なんて事ばかり考えてたよ。」

「お互いに好きだけど噛み合って

 なかったんだね。

 セイちゃんは私の事好きなのかなって

 自信無かったから本当に嬉しい♡」

「ずっと好きだったよ。

 今でも好きだよ。」

「ウフフ♡

 私も♡」

本当に幸せな時間です。

しかし伊織ちゃんには不安が

あるようです。

「でもゴメンね•••

 うちの仕来しきたりで18歳までその•••

 出来なくて•••」

「気にしなくて大丈夫だよ。

 これからずっと一緒にいるんだし

 急がずにいこう。」

伊織ちゃんの霞家にはいくつかの

仕来りがあり、その一つに

【成人まで純潔じゅんけつであるべし】

というものである。

古い仕来りだが破ると本人だけでなく

いえにもわざわいが起こるというものだ。

今は18歳だが義兄にいさんとねえさんの時は

まだ成人年齢が二十歳はたちだったので

二人(同い年)は成人まで関係は無かった

そうである。

霞家かすみけの仕来りなので伊織ちゃんの

18歳の誕生日には解禁となっている。

「私の誕生日が来たら•••

 ウフフ♡

 今まで妄想してた事を•••

 ウフフ♡」

こんな顔、他の生徒には見せられませんね。


そんな毎日を送っていたある日

生徒の一部が煙草たばこを吸っているという

噂を耳にしました。

今の時代に煙草とは•••

古式ゆかしいですね。

年齢確認もあるのにどこで

買ってるんでしょうか?

そう思いながら確認のため

噂になっている校舎裏に来てみました。

本当に昔の漫画みたいですね。

そこから話し声が聞こえます

3人いるみたいです。

「なぁあの【氷の副会長】の噂

 知ってるか?」

「どんな噂だよ?」

「なんでもあの生徒会長と婚約

 してるってよ。」

「マジかよ。

 でもそれがどうしたんだよ?」

「そういう女を奪うの興奮しねぇか?」

「お前趣味 わりぃよ。」

「そうか?

 俺は興奮するな。

 で?

 どうすんだよ?」

なにか弱味を握れねぇかなって

 考えてんだけどよ。」

「俺そういうの冗談でも好きじゃねぇから

 先に教室にもどるわ。」

一人は帰っていきました。

「なんだよビビりやがって。」

「俺は話に乗るぜ。

 聞かせろよ。」

一人はまともみたいですが

他の二人は救いようがないですねぇ。

気配を消して二人の話を聞く。

護堂家ごどうけしのび末裔まつえいなので

こんな事はお手の物です。

そこからは胸糞悪い話でした。

【盗撮】や【無理矢理】など嫌な

単語ばかり出てきます。

仮に冗談でも許せませんねぇ。

先輩の龍太郎りゅうたろうさんの話が頭によぎります。


※回想中

実戦じっせん武術家ぶじゅつかとして有名で

学校の卒業生でもある龍太郎さんに

稽古けいこをつけてもらった後の会話

清十郎せいじゅうろう、どの仕事どの世界でも

 問題が起こってから対応する奴は三流だ。

 問題にそなえる奴が二流。

 一流は問題を起こさない。

 まぁ想定外の事は山ほどあるから

 絶対は無いけどな(笑)

 •••ただ目に見える問題を放置する奴は

 間違いなく無能だな。」

きもめいじます。」

「お互いに大切な人は守り抜こう。」

「はい!」

※回想終わり


話の内容的に見逃せませんね。

すぐに動きましょう。

その日の放課後、護堂家のもの

住所と通学路を探らせ、すぐに処分します。

最初に話を出した者と話に乗った者は

で隠れて煙草を吸っていた所を

家諸共いえもろとも燃やしました。

ですが殺してはいません。

火達磨ひだるまになって出てきた所を

消火して救急車を呼びました。

警察は煙草からの小火ぼやだと断定し

二人の家族にはかなりの治療費に加え

空き家の持ち主からの損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう

届く予定です。


火事の翌日、例の校舎裏でまともだった

残り一人がぼんやり煙草を吸っていました。

そこに近付き

「今の時代、煙草吸うのも大変でしょう?」

「なんだよ•••生徒会長かよ•••」

ホッとしたような顔をしています。

「お友達二人は煙草のせいで大変な事に

 なったみたいですね。

 一生ベッドからりられないとか。」

「ああ•••」

その生徒の耳の近くでささやきます。

「もし貴方あなたも私の婚約者に

 危害を加えるつもりだったら

 同じように火達磨になっていた

 でしょうね。」

生徒の顔から血の気が引いていきます。

すぐに理解する所を見ると

頭も悪くないようですね。

「煙草は健康にも家計にも良くないですよ。

 せっかく妹さんの為にアルバイトを

 一生懸命頑張っているんですから。」

生徒は歯をガチガチと鳴らしながら

「は、はい•••

 すぐ辞めます•••」

と返事をしてくれました。

良かった。

分かってくれたようです。


放課後廊下を歩いていると女子生徒三人に

声をかけられました。

「「「セイ会長!!!」」」

「どうしました?」

「会長と副会長は婚約してるんですよね?」

「そうですよ。

 古い言い方をすれば

 【許嫁いいなずけ

 ですね。」

「「「キャー♡」」」

突然の大声、ビックリしました•••

「素敵です♡」

「羨ましい!」

「良いなぁ•••」

そんな感じで女子生徒に囲まれて

話をしていると

背中に氷を入れられたような

強烈な殺気を感じました。

振り向くと廊下の向こうから

顔を半分出した伊織ちゃんが

こちらを見ていました。

何故そんな殺気を•••

はっ!

この状況•••誤解です!

あわてて追いかけましたが

伊織ちゃんも心得こころえがあります

あっという間に姿を見失いました。

まぁ行き先に心当たりはありますが•••


生徒会室に戻ると伊織ちゃんがいました。

「セイちゃん、どういう事?

 凄く楽しそうだったね?」

「誤解ですよ•••

 自分達の関係を聞かれただけですよ。」

「嘘!

 あんなにデレデレして!

 それにまた敬語になってる!」

「ゴメン•••

 ただデレデレはしてないよ•••」

「あんなにキャーキャー言われてた

 じゃない!

 セイちゃんは確かにカッコイイし

 最高に素敵だけど!」

「あ、ありがとう•••

 キャーキャー言われてたのは

 自分と伊織ちゃんの関係だよ。

 幼馴染みで許嫁いいなずけなんて

 素敵だってね。」

「••••••そ、そうだったの•••

 ご、ごめんなさい•••

 私を抱けない腹いせに他の女子を

 抱きまくるつもりなのかと•••」

「伊織ちゃんの想像の中で自分は

 どんな男になってるの•••」

「私はセイちゃんしか見てないのに

 セイちゃんは女子生徒を四つん這いに

 並べて順番に」

「そんな事、考えてないって!

 伊織ちゃんの想像力凄いな!

 自分も伊織ちゃんしか見てないよ!」

「本当?」

「本当だよ!」

「じゃあキスして。」

「えっ?

 でも仕来しきたりで•••」

「私ね、よく考えるんだけど

 【純潔じゅんけつ】ってどこまでだろうって

 【からだ】は【処女】だけど【心の処女】は

 もうセイちゃんに破られてるじゃない?」

「心の処女?!

 •••••いやまあ、そうかもね•••」

「でしょ?

 だからお願い!

 キスだけ!

 キスだけだから!」

あせりがすごい!

 分かったからちょっと落ち着いて!

 ここ学校だから!」

「じゃあ今夜 私の部屋でね!

 約束よ!」

そう言って伊織ちゃんは生徒会室を

飛び出していった。

茫然ぼうぜんとする自分を残して•••


その日の夜、伊織ちゃんの部屋で

猛烈なおこなわれた。

伊織ちゃんは

【私、今セイちゃんとお口で

 セ○クスしてるぅ!】

と叫んでいた•••

もうセ○クスって言ってるじゃないですか•••

そんな事を考えながら満足して

寝てしまった伊織ちゃんの部屋を出ます。

すると優しそうな男性から

声をかけられます。

「楽しそうだったね。」

伊織ちゃんのお兄さんの理平りへいさんです。

自分の姉•美幸みゆきと結婚してからは

義兄にいさんと呼ばせてもらっています。

「義兄さん!

 聞こえてましたか•••

 自分達はキスまでしましたが•••

 仕来しきたりは大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だよ。

 自分達も学生の頃はキスしまくって

 いたから。」

「そ、そうですか•••」

「美幸ちゃんとどこまで大丈夫か

 色々試していたからね。

 二十歳はたちで結婚するまでは

 童貞と処女だったけどそれ以外は

 口でもお尻でもしてたよ。」

「そ、そうなんですか•••

 き、聞きたくなかったですね•••」

「今は美幸ちゃんが妊娠中だから

 お尻で」

「に、義兄さん!

 その辺りで御勘弁ごかんべんを•••」

「ああ!

 ゴメンゴメン!」 

予想外のダメージを食らってしまいました。

すると義兄さんは真剣な顔になり

「セイちゃんに話があるんだけど

 今から大丈夫かい?」

「はい。

 大丈夫ですよ。」

別室に移動し話を聞きます。


応接室では

「最近また半グレの連中が増えてきた

 みたいでさ【競技場きょうぎじょう】に連れていって

 くれないかな?」

「分かりました。

 おまかください。」

「よろしくね。」

義兄さんからの依頼、頑張ります。


半グレみたいな人間は本当にすぐ

繁殖はんしょくします。

ウジャウジャと増えてきてわるさを

しますので定期的に【捕獲ほかく】します。

以前は【駆除くじょ】していたのですが

何かに使えないかと考えた【霞家かすみけ】の

人達ひとたちが一般人が近付けない場所に

【競技場】という施設を作りそこで

様々さまざまな【競技】をさせています。


今回捕まえた半グレ共も調査したら

女性に対し強引に関係を持ってそれを

撮影するような奴らだったので

【競技場】行きとなりました。


土曜日の夜、捕まえた奴らを連れて

【競技場】に来ると【場長じょうちょう】と呼ばれる

責任者のかたが待っていました。

護堂ごどうさんの所の若旦那わかだんな

 追加ついか持ってきてくれて

 ありがとうございます。

 先日の【競技】でかなり数が

 減っちまいまして」

「その話は聞いていますよ。」


ここでは連れて来た【愚か者達】に

様々な【競技】をさせています。

某漫画で有名な【鉄骨渡り】をはじめ

【爆弾鬼ごっこ】【真剣しんけん黒ひげ危機一発】

【人間缶蹴り】【熱湯水泳大会】など他にも

色々とあります。

そしてそれらは全てけの対象として

会員かいいん】の皆様を楽しませています。


「【人喰ひとくぐまから生き残るのは誰だ?】

 ってのをやったんですが、この熊が

 きがくて参加した

 15人全員が喰われちまいまして•••

 まぁ観客は大盛り上がりでしたが。

 追加で22人もありがとうございます。

 【会員】の方達かたたちも喜びますよ。」

「今度、お年寄りを狙った詐欺さぎ集団も

 捕まえに行きますから身元みもと罪状ざいじょう

 確認が取れたらすぐに連れて来ますね。」

「お待ちしてますよ。

 時間はかかって結構ですので

 確認はしっかりお願いします。」

勿論もちろんです。

 冤罪えんざいや人違いなんて

 絶対にあってはならないですから。」

「それが一番の理由ですが

 二番目の理由は【競技】の最初に

 罪状を流すと盛り上がりますからね。

 【人間は自分が正義だと思った時に

  もっとも残酷になる】ってやつです。

 熱狂が違いますよ。」

「それはよく分かりますね。

 自分達も相手が悪党だから何をしても

 良いと思ってますしね。」

まったくです。」

「「ハッハッハッ!!」」

二人で笑い合った後

「このあとどうされます?

 人気にんきの【全裸ぜんら闘牛とうぎゅう】がありますが

 見ていかれますか?」

「あの性犯罪者限定の【競技】ですね?

 見ていきたいですが、そろそろ

 戻らないと婚約者がおこりそうで•••」

霞家かすみけのお嬢さんですね?

 仲のよろしい事で。」

「ではまた来ます。」

「はい、仕事以外でも遊びに来て下さい。

 若旦那ならいつでも特等席を

 用意しますよ。」

「ありがとうございます。

 それでは。」

そう言って【競技場】をあとにします。


霞家の屋敷に戻ってくると伊織ちゃんが

ほほふくらませていました。

「遅いよセイちゃん!」

「ゴメン伊織ちゃん•••••

 なんで制服のままなの?」

「セイちゃんとしたい事があって

 こっち来て!」

連れて行かれた先には電車の内部ないぶ

再現された部屋がありました。

「ここは?」

「電車のなかを再現したの!」

「それは分かりますが

 何故なぜこんな事を?」

「セイちゃんと【痴漢ごっこ】しようと

 思って!」

「•••はい?」

本当に意味が分かりません。

伊織ちゃんは続けます。

「今日、お義姉ねえさんとお出かけ

 してたの!」

「それは知ってます。

 姉さんからも聞いてますし。」

「また敬語!」

「ごめん•••

 それで話の続きは?」

「その時セイちゃんとキスした話を

 したの。」

なんだか嫌な予感がします•••

「それで、お義姉さん達は学生の頃

 どうしてたのか聞いたら

 【お口】や【お尻】でしてたって!」

やっぱりその話•••

「学生の頃から【本番】以外は

 なんでもしてたって!

 じゃあ私達もなんでもやろう!」

「それで電車の中で【痴漢ごっこ】なの?

 伊織ちゃんって痴漢されたい

 願望でもあるの?」

「誤解しないで!

 セイちゃんに痴漢して欲しいの!

 セイちゃんだけだよ!

 ゾンビが出る作品が好きな人でも

 ゾンビのいる世界に行くのは嫌でしょ?

 サバイバルゲームが好きな人でも

 本当に戦争になったら嫌でしょ?

 そんな感じ。」

「分かるような分からないような•••」

「私は車で送り迎えして貰ってるから

 電車に乗った事ないけど中は

 こんな感じ?」

「自分もあんまり乗った事ないけど

 こんな感じだよ。

 吊革つりかわまで•••

 凄いな•••」

「友達が電車で痴漢された話を聞いて

 許せない!って思ったけど

 セイちゃんに痴漢されてるのを

 想像したらもう••••••

 我慢出来ない!

 セイちゃん早く早く!」 

手を引かれながら部屋に入ります。

これでも伊織ちゃんは生徒から

【氷の副会長】

他校の生徒からは

愛敬あいけい雪姫ゆきひめ

と呼ばれるクール美少女なんですよね•••


ちなみに伊織ちゃんのお友達に

被害を与えた【痴漢】は捕まえて

【競技場】に送りました。

500㎏をえるうし相手に【全裸】で

【闘牛】をしているそうです。


いや凄かった。

【痴漢ごっこ】していたら自分も

興奮してしまい【アレ】を

伊織ちゃんに【お口】でして貰いました。

「セイちゃんのせいちゃん

 美味おいしかったよ♡」

「伊織ちゃん•••

 それが言いたかったんだね•••」

「ウフフ♡

 漫画や同人誌で勉強してたの♡

 •••でもゴメンね【お尻】はまだ

 練習中で•••

 ゆびがやっと入るくらい•••」

「いや別にそんな•••」

「無理をすると危ないよって

 お義姉ねえさんが教えてくれたの。

 あと、【する時】はお腹の中を綺麗きれい

 しておかないと、お義姉さんも

 最初の頃は【中身なかみ】がって

 大変だったってっ」

「伊織ちゃん!

 もうそのくらいで•••」

また知りたくない事を知ってしまった•••

大和撫子やまとなでしこ評判ひょうばんだった姉さんが•••

いや、考えないようにしよう•••

愛し合う二人がたのしんでいただけだ•••

いや、いまもか•••

あのおっとり優しい姉さんが

義兄にいさんの前で【しり】を広げ•••

駄目だ!

考えるな!

と思っても頭が勝手に考えます。

ウウッ何故なぜこんなに苦しまなくては

ならないのでしょう•••

しのびの修業で動揺どうようしないため

こころ】の修業はしてきましたが

これはちょっと•••

一人で悶絶もんぜつ、していると伊織ちゃんが

「そう言えばお父さんがセイちゃんと

 話をしたいって言ってたよ。」

醍醐だいご様が?」

「もう!

 お義父とうさんでしょ!」

「その呼び方まだ慣れなくて•••」

霞家かすみけ当主とうしゅの醍醐様からの

はなしとはなんでしょうか?


醍醐様だいごさまもとへ向かうと義兄にいさんも

一緒でした。

「やあ清十郎せいじゅうろう君。

 久し振りだ。

 良く来てくれたね。」

「醍醐様、御無沙汰ごぶさたしております。」

「お義父とうさんで良いよ。

 もうきみ伊織いおり許嫁いいなずけなんだから。」

「あ、ありがとうございます。

 まだ抵抗ていこうが有りまして•••」

「まぁ少しずつ慣れていけば良いさ。

 美幸みゆきちゃんも最初はそうだったしね。」

貫禄かんろくのある風貌ふうぼうとは裏腹うらはら

非常に気さくなかたです。

「自分達 姉弟きょうだいは婚約させていただいた事

 毎日、心から感謝しております。」

「信頼出来る相手と婚約させたいのは

 親なら当然の事さ。

 名家めいか良家りょうか御子息ごしそく御息女ごそくじょ

 なんて言っても裏ではわるさしてる

 奴はゴロゴロいるからね。

 それに引き換え君達姉弟はうちの子供達を

 一途いちずに想ってくれていたから

 【家の結び付き】なんて大義名分は

 あるけど、まぁ想い合ってる者達が

 結ばれるのが一番さ。

 霞家かすみけ婚姻こんいんを結びたかった

 一部の人間がガタガタ言ってたけどね。」

「ありがとうございます。」

頭を下げると義兄にいさんが

「父さん、そろそろ」

「ああ、すまんすまん。

 清十郎君を呼んだのは大仕事おおしごと

 頼みたくてさ。」

「自分に出来る事ならなんでも

 お申し付け下さい。」

「ありがとう。

 君のおとうさんには別の仕事頼んでて

 手が離せなくてさ。」

醍醐様から大仕事をまかされました。


任された仕事は【うら猟友会りょうゆうかい】でした。

【猟友会】は【害獣がいじゅう】を狩りますが

【裏猟友会】は【害人がいじん】を狩ります。

【競技場】の【会員】の中には自分でも

手をくだしたいというかたは多く

そんな方達かたたちためにこの【裏猟友会】が

開催されます。

いつもは護堂家ごどうけの当主である父が

現場げんばの責任者でしたが今回は

自分が指揮しきらせていただきます。


参加費用は【三千万円】ですが毎回すぐに

定員ていいんたっします。

最終確認もねて【会員】の方達に

挨拶あいさつをしてまわります。

「やあ護堂さんの所の息子さんだね?

 今回は君が責任者かい?」

「はい。

 現場指揮を執らせていただきます。

 何かあればすぐに御連絡ごれんらくを。

 •••前回と【じゅう】が違いますね?」

「そうなんだよ!

 前回は【猟銃りょうじゅう】だったから今回は

 【クレー射撃用の銃】を

 使ってみようと思ってさ!

 【猟銃】も持ってきてるから

 【害人】相手に撃ち比べてみたいんだ!」

「それは良いですね。

 今回も楽しんで下さい。」

「ありがとう!」

他の【会員】の方にも挨拶して回ります。

【銃】の他にも【ボウガン】や【ゆみ

【投げナイフ】【投げ斧】の方もいます。


そうしていると開始時間となりました。

皆様の前で【開始の挨拶】を

させていただきます

「本日はお集まりいただき

 ありがとうございます。

 前回同様ぜんかいどうよう皆様の【御協力ごきょうりょく】により

 開催のはこびとなりました。

 いつものように日本で悪事あくじはたら

 【外国人】をこの敷地内に【五百人】

 解放かいほうしています!

 GPSを体に埋め込んでいますので

 皆様に配布はいふしたタブレットで

 位置•身元•罪状が確認出来ます!

 それでは【裏猟友会】を

 開催 いたします!」

空に向かい号砲ごうほうを鳴らします。

雄叫おたけびを上げて皆が走り出します。

狩り場はやまもり

含めた広大こうだいな場所です。

バイクやくるまに乗り込み走り出します。

タブレットで【会員】同士どうしの位置も

分かりますが万一まんいちの事故にそな

自分達も見回みまわります。


「やぁ護堂さんの所の息子さん!

 楽しませて貰ってるよ!」

このかたは投げナイフの達人たつじんです。

「相変わらず見事な腕前うでまえですね。」

目の前には○国人が針鼠はりねずみのようになって

ころがっています。

「こいつは日本でも本国でも性犯罪を

 繰り返していたんだな。

 まったく忌々いまいましい奴だ。

 被害者22名と同じ数だけナイフを

 食らわせてやったよ。」

「被害者の方は救われると思いますよ。

 ただ確認されてるだけで22名ですから

 本当はもっと被害者がいたんじゃ

 ないでしょうか•••」

胸糞むなくその悪い話だ!」

そう吐き捨てながらナイフを次々つぎつぎ

引き抜きます。

旦那様だんなさま

 そんな仕事は私達が!」

周りの御付おつきの方達があわてますが

「いや良いんだナイフを引き抜く感触も

 好きなんだよ。

 代わりにナイフの血とあぶらいて

 くれるかい?」

「かしこまりました。」

「護堂さんこれで参加費用【三千万円】は

 安いよ。

 【一億】でも喜んで出すよ。」

「ありがとうございます。

 ただ目的は日本にほん浄化じょうかですので

 金銭きんせんは二のつぎ三のつぎですよ。

 その代わり皆様にはちから

 していただければさいわいです。」

「うむ。

 私で良ければ喜んで力を貸すよ。

 また参加したいからね。」

「これからもよろしくお願いします。」

そう挨拶してその場を離れます。


「やぁ護堂さん!」

おのを手にした筋骨隆々きんこつりゅうりゅうの男性と

遭遇そうぐうしました。

この方も常連じょうれんの方です。

「今、迷惑移民共を狩りまくってましたよ!

 こいつら一般の方に迷惑かけまくって

 いるらしいですからね!」

「そうなんですよ。

 傷害•強盗•殺人•悪質な交通事故

 そして婦女暴行•••

 どうしようもない連中れんちゅうですよ。

 同じ国から来た真面目まじめに生きてる

 移民の方達からも嫌われてる奴等やつらです。

 移民全員の評判ひょうばんが下がりますからね。

 この連中は捕まえても不起訴ふきそになって

 出て来ますから皆様に狩っていただくのが

 一番ですよ。

 ドンドン狩って下さい。」

「ありがとう!

 しかし同じ国の人間からも嫌われてるか•••

 どこにでもいますね、そういう奴は••••••

 そうそう話は変わりますけど

 私は【投げ斧】ですが直接ちょくせつあたま

 たたきるのも大好きなんですよ

 さっきも三人の頭をかち割りました。

 次回は【近接武器部門きんせつぶきぶもん】も

 作ってもらえませんか?」

いですね!

 【ナイフ】や【素手すで】で狩っている

 方もいらっしゃいますからね。」

「相手にも武器を持たせて勝てば

 賞金を出して解放とか言えば喜んで

 向かってくるでしょう。

 是非ぜひ検討けんとうお願いします。」

霞家かすみけの当主様に相談しておきますよ。」

そんな会話をしてその場を離れました。


そのも見回りをしましたが

目立った問題も起こらず無事に五百人を

全員狩り終わりました。

皆様にも喜んでいただけて何よりです。

無事終了の報告をしたら

醍醐様も父も喜んでいました。


今日は伊織ちゃんの誕生日•••

の前日、時刻は夜の十一時五十七分

二人共裸でベッドの上です。

「あと三分さんふんで私は18歳!

 いよいよ•••

 ウフフ♡

 いよいよ!」

「伊織ちゃん•••」

ここ数日、伊織ちゃんの興奮が凄いです。

学校ではいつものクール美少女ですが

家ではこんな感じで先日はとうとう

伊織ちゃんの【お尻】で•••

本人は【拡張かくちょう】を頑張ったと言っていました。

自分達は【本番】以外はなんでも

やっていると思います。

純潔じゅんけつ】とは一体いったい•••

もう定義ていぎが分かりません。

そんな事を考えていると

「セイちゃんもうすぐだよ!

 もうすぐ私達 ひとつになれるよ!」

そう言いながら伊織ちゃんが

自分の【アレ】を触ります。

「いやもう何回も一つになってるような•••

 休みの前日は裸で一緒に寝て」

「それは【本番】じゃないでしょ!

 いよいよ本当の意味で一つに

 なれるんだよ!

 あー早く早く!」

「ちょ!

 ちょっと!

 握ったまま上下じょうげうごかさないで!」

「準備しておいて!

 日付ひづけが変わったら

 すぐに始めたいからね♡

 私は準備出来てるよ!

 ほら見て♡」

雰囲気ふんいきなにも無い•••

 まぁ今更いまさらか•••」

「セイちゃんるよ!

 ほら早く上に乗って!

 三、ニ、一、てっ!」

その夜、自分達は無事にむすばれました。

年越としこしの瞬間みたいな結ばれかたをしたのは

世界でも自分達だけでしょう。

伊織ちゃんが満足まんぞくなら良かったですが•••


目がめるとお昼になっていました。

今日はお休みで

「このまま一緒に寝ていたい♡」

と伊織ちゃんが言うので

隣には伊織ちゃんも寝ています。

汗を流してから寝たかったのですが

それも伊織ちゃんが

「このままが良いの!」

と言ったのでお互い体がベタベタで

カピカピです•••

早く汗を流したいですが先に風呂に入ったら

伊織ちゃんは絶対に怒るでしょうね•••

そんな事を考えていると伊織ちゃんが

目を覚ましました。

「おはようセイちゃん♡

 初めての朝だね♡」

最近は何度も一緒に寝てますし

朝でもないんですが、それを言うのは

不粋ぶすいですね。

「伊織ちゃん汗を流そうか。

 気持ち悪くない?」

「気持ち良いよ♡

 流すの勿体もったいないなぁ♡」

「いや•••

 それはちょっと•••」

「ウフフ♡

 じゃあ一緒にお風呂入ろ♡

 背中流してあげる♡」

二人でベッドから立ち上がると

「見て見てセイちゃん!

 シーツに赤い染みが出来てるよ!

 漫画みたい!

 これ記念に取っておこうよ♡」

「伊織ちゃん•••

 洗濯はしようね•••」

二人でお風呂に向かい汗を流します。

霞家のお風呂は広いので二人で

ゆったりと入れます。

「セイちゃんありがとうね。

 色んな事に付き合ってくれて。

 【許嫁いいなずけ】になれたけど【仕来しきたり】で

 学校の皆みたいには出来ないから

 ずっと不安だったの•••」

「それはなんとなく分かってたよ

 小さい頃から一緒にいるしね。

 【肉体関係】だけじゃなくて

 他の皆みたいに学校の帰りに

 寄り道も出来ないし護衛ごえい無しで

 お出かけも出来ないからね。」

「うん•••

 セイちゃんは大丈夫って思ってても

 やっぱり不安だったから•••

 でも今、凄く嬉しい♡

 これからもずっととなりにいてね♡」

「死ぬまで隣にいるよ。」

「死んでも隣にいてよ♡

 私もそうするから♡

 私が死んだ後に他の子と一緒に

 なったらのろっちゃうから♡」

「伊織ちゃんが言うと本気なんだなって

 思うよ•••」

「ウフフ♡

 セイちゃんが先に旅立ったら

 追いかけようかな?」

「いや、生きててよ•••」

そんな会話をしながら伊織ちゃんは

自分の大好きな笑顔を見せてくれました。

その笑顔を守るためなら自分はこれからも

なんでも出来ると思います。


         完

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