第2話 金髪チャラ男の末路


俺の名前は青三しょうぞうと言う。

父親が某アクション俳優が大好きで

この名前になったらしい。

そんな俺にはとても大切な可愛い

彼女がいる。

高校に入ってから同じ図書委員をしている

可憐かれんちゃんだ。

名前の通り清楚で可憐な女の子だ。

本の趣味は合わないが本好きとして

気が合って人のいない図書室で語り

合っていた。

そして高二の春、俺から告白して

OKをもらい。今に至る。


夏休み明けのまだ暑い金曜日の放課後

教室で可憐ちゃんを待っていると何とも

言えない顔をして戻ってきた。

「どうしたの?」と問いかけると

「職員室の帰りに金髪チャラ男くんに

 声をかけられたの。」

そう言って

可憐ちゃんは事情を話し出す。


職員室帰りニヤニヤした金髪チャラ男が

「可憐ちゃん、これ見てよ。」

と声をかけてきたらしい。

名前で呼ぶなよ馴れ馴れしいな。

と俺は思ったがそこには俺とのキス写真が

あったらしい。

実はこの夏休みでキスからその先まで

俺達は全て経験している。

お互い初めてだったが大いに盛り上がり

二学期が始まってからも誰もいない図書室

などで隠れてキスをする事もあった。

流石に本番まではしてないが

その写真を撮られたらしい。いつの間に•••

そしてその写真を持って可憐ちゃんを

脅そうとしたそうだ。そして

「この写真ばら撒かれたら困るよね?

 だったら言う事聞いてくれる?」と

陳腐な台詞を吐いたらしい。

「少し考えさせて。」

とその場を去ろうとすると

「連絡先交換しとこうよ。」

と連絡先を交換させられたとの事だ。

それで遅かったのか•••

「連絡先を交換したのは、やりたい事が

 有るからなんだけど協力してくれる?」

その問いに俺は

「勿論!」と答えた。


準備があるからと可憐ちゃんは家に帰り

その夜、約束の時間に可憐ちゃんの家の前で

可憐ちゃんが出て来るのを待っていた。

「ごめんなさい。準備に手間取っちゃって」

そう言いながら大きい荷物を持って

可憐ちゃんが出てきた。

「荷物持つよ。それと御両親大丈夫なの?」

と聞くと

「今日から日曜日まで両親居ないのよ。

 だから元々、青三君お泊まりに誘おうと

 思ってたの。丁度良かった。」

と笑う。

それから警察等に見つからないよう慎重に

目的地に向かう。

その道中、可憐ちゃんの計画を聞く。

全く予想外の計画だった。


そうこうしている内に目的地の公園に

着いた。大きい公園だ。

奥に入っていくと計画通り呼び出された

金髪チャラ男が公衆トイレ近くにいた。

静かに近付き「おい」と声をかけると

ビックリして振り向いた金髪チャラ男の

腹に蹴りを入れ、一撃で昏倒させる。

父親が大好きな某アクション俳優の影響で

空手や柔道などを習っていた。

本当はジークンドーを習わせたかった

らしいが•••

頼まれた通り公衆トイレの裏に運んで行く

そして金髪チャラ男のポケットから

スマホを取り出し顔認証でスマホロックを

解除する。

写真フォルダから俺達のキス写真を探すと

すぐに見つかった。

夕日に照らされる図書室でキスをする俺達。

消すのが勿体ない位、良い写真だな•••

撮影したのがコイツじゃなければなぁ•••

そう思いながらも他に盗撮っぽい写真も

多数有ったので写真フォルダを全消去する。

バックアップも無いようだし。

まぁ自業自得だ。

そして可憐ちゃんにスマホを渡すとすぐに

何かを操作しだす。

その間に計画の通り準備をしていく。




【ここから先、人によっては

 不快な表現が有ります。御注意下さい。】




まず金髪チャラ男の衣服を脱がし裸にする。

そして近くの木に尻を突き出すようにして

固定する。

体だけで無く両手足もロープとガムテープで

動けないようにガチガチに固める。

そして口にタオルを詰め込み猿轡を

噛ませる。足下に蚊取り線香を焚き

虫除けスプレーを振りかける。

最後に隠しカメラをセットして完成だ。

「こっちは出来たよ。」

可憐ちゃんに告げると

「こっちも書き込み出来たわ。

 あとは待つだけね。」

と言いながら可憐ちゃんが笑う。

少し離れた場所にブルーシートを引き

こちらも蚊取り線香を焚く。周りから

見えない茂みの中なので虫除けスプレーも

大量に振りかける。

そして2人で公衆トイレの裏で立ったまま

裸で尻を突き出すような格好をしている

金髪チャラ男を見張る。

暗闇の中でも分かる位に可憐ちゃんの目は

ギラギラしている。

「あんまりそんな目で他の男を見ないで

 欲しいんだけど•••」

と告げると

「誤解しないで。

 アイツに興奮してるんじゃないの。

 この状況に興奮してるのよ。」

「興奮はしてるんだね•••」

興奮し過ぎて口調が変わってる•••

アイツって言ってるし。

それもこれも可憐ちゃんの趣味のせい

なのだが•••


清楚可憐を絵に描いたようなお嬢様の

可憐ちゃんなのだが、その趣味嗜好は

男同士がアレコレする作品が大好きな

いわゆる○女子という方なのだ。図書室でも

「戦国時代から江戸時代にかけて衆道と

 いうのは立派な趣味だったのよ。」

とか

「古代ローマ等では同性愛は子供が

 出来ない分、異性愛よりも純粋で尊いと

 されていたのよ。」

とか熱弁を振るっていたのである。

そしてそういった投稿掲示板もチェック

していて、この公園は有名なハッテン場と

言うものらしい。

怖いので来たのは初めてらしいが•••

先程、金髪チャラ男のスマホで書き込んで

いたのはその投稿掲示板で内容は

【○○公園の○○近くの公衆トイレ裏で

 尻出し待機してます。無料で大丈夫ですが

 ゴム•ローションは持参でお願いします。】

というものだったらしい。

俺達は今、金髪チャラ男を真横から見る

ような位置に居る。

金髪チャラ男が突然、頭を上げ周りを

見回している。

目を覚ましたらしい。

動けない事に戸惑っていると

5分もしない内に作業着姿の男が

現れ金髪チャラ男の尻の前でズボンを

下ろすとゴソゴソした後

猛烈にピストンを開始した。

「ンーー!ンーー!」必死に何かを叫んで

いるようだが猿轡のせいで興奮している

ようにしか聞こえない。

作業着姿の男はその声に興奮したのか

さらにピストンの速さが上がる。

そして体をのけ反らせるように腰を

金髪チャラ男の尻に押し付ける。

モノを引き抜いた後、耳元で何かを言って

ズボンを上げて去って行く。

すぐに次の男が入れ替わりでやって来る。

いつの間にか公衆トイレの周りには大勢の

人だかりが出来ていた。

金髪チャラ男は何かを叫びながら

失神と覚醒を繰り返している。

スーツ姿の男も終わった後、耳元で何かを

言っている。

何だ?と思っていたら可憐ちゃんが

「あれ[ありがとう]って言ってるん

 じゃない?」

と教えてくれた。

順番も「どうぞどうぞ」と譲り合っている。

あの人達、結構紳士?なんだな。

と呑気に思っていたら。可憐ちゃんが

「ねぇ青三君。私達もしようよ。」と

ウットリしながら言ってきた。

かなり興奮しているみたいだ。

「ちょっと待ってて。」と言って周りの

茂みの中を確認する。

アイツに写真撮られたのが始まりだしな。

幸い周りには人はいなかった。

まぁあっちがお祭りだからか。

お泊まり用に部屋に置いてたゴムを

可憐ちゃんが持って来ていた。

もしかしてこれも想定してたの?と

思ったけど聞くのは野暮だよな•••

そう思いながら俺達もイチャイチャを

開始する。


気付けば二時間が経っていた。

向こうのお祭りも終わったようだ。

何周かしてた人もいたようだが皆

満足して帰っていったみたいだ。

寝ている可憐ちゃんを起こさないように

再び周りを見回して安全確認した後

大きめのカッターナイフとティッシュ

ゴミ袋を持って気を失ってる金髪チャラ男の

近くに行く。凄い臭いだ。

ゴム持参と書き込んだらしいけど生でも

ヤラれてるみたいだな。

ポッカリ空いた尻から色々垂れてきてる。

それとこれは大便の臭いだ。

本来は腸内を綺麗にしてからじゃないと

大変な事になると可憐ちゃん言ってたな。

結構飛び散ってるみたいだけど、あの人達は

気にならなかったのか?

むしろ興奮するとか?

そんな事を考えながら金髪チャラ男を

固定していたロープやガムテープを

切っていく。

ドサリと地面に落ちる金髪チャラ男の

猿轡を外しゴミ袋に入れ口元に手を近付け

呼吸を確認する。

よし生きてるな。

いや死んでないだけかな?

まぁ良いや。

適当にティッシュで体を拭いてやり

衣服を着せる。そして引き摺っていき

そのままベンチに横にする。

「撃って良いのは撃たれる覚悟がある奴

 だけって言うだろう?

人の彼女を肉便器にするつもりなら

自分が肉便器にされる

覚悟を持っておけよ。」

そう呟いて踵を返す。

トイレ裏の片付けを再開する。

ロープやガムテープの切れ端をゴミ袋に入れ

蚊取り線香を消してこれもゴミ袋へ。

最後に隠しカメラを回収する。

そして可憐ちゃんの所に戻ると可憐ちゃんは

もう起きてブルーシートを片付けていた。

「青三君、片付けありがとう。

 こっちもすぐに片付けるから」

「大丈夫?手伝うよ。」

2人で片付け公園を後にする。

帰りも警察等に注意しながら可憐ちゃんの

家に到着する。可憐ちゃんから

「泊まっていくでしょう?

 着替えは前回来たときのが有るし。」

「ありがとう。

 親には友達の所に泊まるって

 言ってたからバイバイって言われたら

 どうしようかと思ったよ。」

そう言ってお邪魔する。

シャワーを借りてリビングに来ると

先にシャワーを浴びてた可憐ちゃんが

隠しカメラの映像を見ていた。

「凄い映像が撮れたわ。

青三君、協力してくれてありがとう。」

そう言いながら悲しそうな顔をする。

「こんな計画立てるなんて酷い女だと

 思ったでしょう?」

と聞かれるが

「いやぁ

[金髪チャラ男に肉便器にされる彼女]

よりも

[金髪チャラ男を肉便器にする彼女]

の方が絶対良いよ。」

そう答えると可憐ちゃんは嬉しそうに

「ありがとう!私を受け入れてくれて!

 初めての彼氏が青三君で良かった!」

そう言って抱き付いてくる。

「でも、さっきも言ったけど

 誤解して欲しくないのは

 私が興奮しているのは

 シチュエーションだから!

 現実の男の人で興奮するのは

 青三君だけだから!」

「大丈夫。それもさっき理解したから。」

そう言って可憐ちゃんを抱き締める。

画面の中で金髪チャラ男が何度目か

分からない失神をしていた。


月曜日になっても金髪チャラ男は学校に

出てこなかった。

聞いた話では明け方、フラフラと帰ってきた

金髪チャラ男はそのまま部屋に閉じこもり

光の無い目で一点を見つめたまま動かなく

なったそうだ。

手足に縛られた痕が有ったため病院から

警察に通報が入ったらしいが本人が何も

話さない為、捜査が出来ないらしい。

まあもしかしたら可憐ちゃんがそうなってた

かもしれないから罪悪感は無い。

可憐ちゃんも

「もし私で上手くいったら第二第三の

 被害者が出てたかもしれないから

 これで良かったのよ。」

と胸を張ってる。

学校でも誰もアイツを気にしてない。

アイツがいたリア充グループのリーダーに

見舞いに行かないのか聞いたら

「行かないよ。別に友達でもないし。」

「えっ!同じグループじゃないの?」

「違うよ!

 あいつが勝手に仲間面してただけだよ。

 呼んでもないのに遊びに行く時

 付いてきて凄い迷惑だったんだよ。」

「あいつキョロ充だったのか•••」

他にも自分より弱そうな人間にばかり

イキがってたり、聞いてもないのに

武勇伝(多分嘘)を語ったりしてたので皆が

いなくなった事を喜んでいた。

あいつ何で人気の無い図書室に居たんだと

思ってたけど居場所が無かったんだな。

そして俺達のキス現場を見て弱味を

握れると勘違いしたのか•••

色々繋がったな•••

そんな事を考えながら帰宅していると

可憐ちゃんが手を繋ぎながら

「何を考えてるの?」

と聞いてきた。それに対し

「いやぁ。恨みなんて買うものじゃ

 ないなぁってね。」

と答えた。

この後、高校を卒業して大学生になっても

社会人になっても俺達は仲良く過ごした。

途中、大学の新歓コンパで女子を酔わせて

乱暴しようとしたヤリサー軍団をゲイポルノ

送りにしたり。

会社に入ってからミスを捏造してその

穴埋めに関係を迫ったセクハラ上司を

ネットの人気者にしたのはまた別のお話。

      

         完

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