バナー広告に反撃を

@mooning

第1話 よくあるNTR体育教師に鉄槌を

自分はとある高校で体育教師をしている

三十代後半の男だ。

ある日顧問をしているうちの水泳部

エースの女子が部活終わりの公園で男と

キスをしているのを見つけた。

すぐにスマホを取り出し写真を取る。

良い写真が撮れた。

思わず笑みがこぼれる。


次の日、部活後にそのエース女子を

指導室に呼び出す。

「今日、呼び出された理由が分かるか?」

その問いにエース女子は

「分かりません。」

と答えた。

「この写真を見てみろ。」

そう言い昨日、撮影したキスをしている

写真を見せる。

「不純異性交遊の証拠だ。分かるな?」

エース女子は顔を真っ青にしていた。

「これが表沙汰になればお前も

 相手の男も退学だ。

 調べたら相手の男は幼馴染みで

 この学校の生徒だ。

 随分と成績優秀だそうだな?」

その問いにエース女子は

「そうです•••

 でも私達まだキスしかしてません!

 だから退学なんて•••」と

反論してきた。

そうかこいつ処女か。

下卑た笑いが出そうになる。

だが必死にそれを堪えて

「キスだけでも不純異性交遊に

 違いはないだろう?

 退学は避けられないぞ。」

そう言いながら顔を顰める。

エース女子は泣きそうな顔になっていた。

「俺もお前を退学になんてしたくない。

 この水泳部のエースだしな。」

そう言いながらエース女子に近付く。

ビクッとして距離を取られるが構わず

「分かっているだろう?お前が少し言う事を

 聞いてくれればこの事は黙っておく。」

そう言ってさらに近付く、エース女子は

「嫌です•••彼ともまだキスしか

 してないのに•••」

と涙ぐみながら後退る。

「お前が我慢すれば彼氏も助かるだろう?

 将来有望なお前達2人を俺も退学に

 したくないんだよ。」

そう言いながら手を伸ばす。

しかしエース女子は

「嫌!絶対に嫌ぁ!」

と叫び。

俺を突き飛ばした後、荷物も持たずに

部屋を飛び出していった。

想定外だった。

すぐに言う事を聞くと思っていたが•••

まぁ良い。

明日になれば考えも変わるだろう。 

そう思い、俺はエース女子が残していった

荷物を漁る。

スマホは無かったが使用済みの

水着が出てきた。

明日から楽しみだな。

そう思い水着を玩びながら自分の

スマホを手に取る。

L○NEは知らないので部内で交換していた

電話番号からメッセージを送る。

[どうするのが良いか一晩よく考えろ。]

これで明日には言う事を聞くように

なるだろう。

そう思いながら明日からの日々に

想像を巡らせていく。


次の日学校に来ると学年主任の教師が

飛んできてすぐに校長室に来るようにと

怒鳴りつけた。

学年主任と一緒に校長室に入るとそこには

校長と教頭、そして青筋を浮かべた強面の

男と眼鏡をかけた真面目そうな男がいた。

まず教頭から

「今日呼び出された理由は分かるかね?」

と聞かれる。それに対し

「分かりません」

と答えると溜め息を吐きながら

「君はエース女子さんを脅迫して

 関係を迫ったそうだね?」

と聞いてきた。

一瞬で血の気が引いた。

「いや•••それは•••」

と言いかけるが何も

言葉は出てこない。

それに対し強面男が

「今更逃げられると思うなよ!もう全部

 娘から聞いてるんだよ!」

と怒鳴る。

この強面男はエース女子の父親らしい。

そして隣の真面目そうな男は

幼馴染み彼氏の父親で弁護士をしていると

自己紹介された。

「昨日息子が下校時エース女子ちゃんを

 待っていたら泣きながら

 抱きつかれたそうですよ。

 そして貴方に脅迫された事を

 震えながら話したそうです。

 可哀想に。」

そう言いながら真面目そうな男も青筋を

浮かび上がらせる。

「その後、息子はエース女子ちゃんを

 家に連れてきて両家を集めて事情を

 話しました。

 当然話を聞いた全ての人が怒っています。

 貴方は不純異性交遊を理由に

 不純異性交遊を迫った。

 ふざけていますね。」

そう言いながらスマホを取り出す。

そこには昨日エース女子に送ったメッセージ

の写真があった。

「昨日貴方がエース女子ちゃんに送った

 モノを写真に撮らせてもらいました。

 脅迫罪の証拠です。

 昨日はエース女子ちゃんが

 動揺していたので一晩休ませました。

 そして今朝息子と妻達が付き添って

 警察に行っています。」

そう言うと今度は強面男が

「[学校の名誉が]とかぬかして握り潰そう

 としてくるかもしれんから警察には先に

 被害届を出させてもらったぞ。」

と校長達を見ながら告げる。

しかし校長は首を振り

「そういった対応をする学校もあるかも

 しれませんが我が校はこの件を

 揉み消すつもりはありません。

 未遂とは言え心に傷を負ったのは

 間違いないですから。」

そう言いながら呆然としている自分に向け

「君は自分が何をしたか

 分かっているかね?」

と冷たい目で問いかける。

「確かに不純異性交遊は教育者として

 目を光らせていなければなりません。

 望まない妊娠などあっては

 いけませんからね。

 しかしそれを脅迫材料に関係を

 迫るなど言語道断!」

普段温厚な校長が一喝する。

隣にいた学年主任も青筋を浮かべ

「貴様のような卑劣な人間と机を並べて

 いたと思うと虫酸が走る。」

そう言って睨みつけてくる。

自分はまだこの状況が受け入れられずに

「いや•••自分はまだ何も•••」

と言い訳にもならない事を口にすると

強面男がソファから立ち上がり

「当たり前だ!

 何かしてたら今頃テメェの命は無えよ!」

と叫ぶ。真面目そうな男も

「小さい頃から仲が良かった2人が

 高校に入って恋人になったと聞いた時、

 我々家族だけではなく近所の方達も

 大層喜んで祝福してくれました。

 その尊い2人の関係を汚そうとするとは

 親として弁護士として人間として

 絶対に許せません。」

冷静に見えるが眼鏡の下の目が赤く

血走っている。

そうしていると、いつの間にか

席を外していた教頭が警察官2人を

連れて校長室に入ってくる。

そして「この男です。」と

自分を指差す。

手錠をかけられ2人の警察官に挟まれた時

「スイマセン!

 絶対にもうしません!

 許して下さい!」

と絶叫する。

しかし真面目そうな男がソファから

立ち上がり

「体育教師さん。

 私は仕事柄貴方のような

 人を沢山見ています。

 そしてそんな人は貴方のように

 [スイマセン。]

 [反省しています。]

 [もうしません。]

 と判で押したように同じ事を言います。

 そしてまたやります。

 必ずやります。

 だからこそ容赦しません。」

そう言われながら2人の父親と

校長•教頭•学年主任に睨まれ蔑まれながら

校長室を出てパトカーに乗せられる。

登校中の生徒達が目を輝かせて

スマホを向けてくる。


その日は大騒ぎとなり今後の生徒達の対応

マスコミ対策そして自分の処遇と一日が

職員会議で潰れ生徒達は午前中が自習で

昼には帰らされたらしい。

警察署で取り調べを受けている間も

外は大騒ぎとなりスマホが普及した時代に

学校も箝口令を出さなかった為、

事実はあっという間に世間に広まった。

すぐにマスコミが嗅ぎつけ学校は会見を

開くこととなったが、幼馴染み彼氏の父親が

同席し校長室での会話を録音した物を公開し

学校側の対応に不満は無いと発言した事で

世間からの怒りは自分一人に

向けられる事となった。

妻と娘が1人いたが当然離婚となり

2人は出て行き、家族•親戚•友人•知人全てに

縁を切られてしまった。

学校でも調査が行われ他に被害に遭った

生徒がいないか徹底的に調べられた。

こんな事をしたのがエース女子が初めて

だったので他に被害生徒はいなかったが

男子生徒からはパワハラ。

女子生徒からはセクハラの証言が

次々とあがった。

取り調べが終わっても自宅に帰る事は

出来なかった。

エース女子に対する脅迫罪だけだと

思っていたが、幼馴染み彼氏の

父親は相当な凄腕らしくエース女子への

婦女暴行未遂や先程のセクハラ•パワハラも

生徒達を説得し傷害罪等として次々

刑事事件としているらしい。

そう担当の弁護士から教えられた。

担当弁護士は

「あの先生は業界でも有名ですから。

 私のような並の弁護士では束になっても

 勝ち目は有りません。

 そもそも闘いたくないですし。」と

まるでやる気が無い。

そのまま留置場で生活し

初公判の日を迎えた。

自分の知っている人間は誰も

来なかった。

罪状を否認しなかった為

量刑はすぐに出た【懲役1年】の判決

体に触れてもいないのに懲役?!

と思ったがあまりにも悪質ということで

1年とはいえ懲役を喰らうことになった。

担当弁護士は(そりゃそうでしょう。)と

言わんばかりの顔をしている。

エース女子の父親も大きさはそれ程では

ないがこの辺りでは根を張っている企業の

経営者をしているらしい。

その辺りも影響したのかもしれない。

そして自分は受刑者となった。

次々と訴訟を起こされ懲役は1年では

終わらないだろう。

あの時、徹底的にやると言われたが

本当に徹底的にやられている。

それに懲役が終わって外に出てもどこにも

居場所は無いだろう。

顔も氏名も何もかも流出してしまっている。

あの時バカな事を考えなければ今も平穏に

暮らせていただろう。

NTRなど考えなければ•••

自分はなんて愚かなんだ•••

今日も一日独居房で過去の愚行を

悔やみ続ける元体育教師であった。


        完

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