第4話 自称親友の厨二病

「妄想オタクが来る。相談内容はどうしたら佐倉詩音は俺と親友になってくれるか」


「解決した。なってやれ」


「虚言でクラスから浮いてる」


「任せておけ」

 まひろの手に負えるのか。中々に難題だぞ。


「探偵部とはここの事かな?」

 眼帯をして、グローブをつけた幅の大きいクラスメイトだ。


「あぁ、そうだ」


「我が名は高宗庵和治こうそうあんかずはるこの世では高嶋永一と呼ばれている」


「高嶋さんのお悩みはなんですか?」


「同じ気配を感じるのだ。ここの部員の佐倉詩音と我は前世でつがいだったことを先日の落雷で思い出した」


「結婚されていたと」


「佐倉を目の前にすると高宗庵の血が騒ぐ。この世に生まれる前に佐倉と私は出会っている。確かめたいが逃げられてしまう。やはり我を見て恥が出たのだろう」


「三日ください。高嶋さんの願いを解決します」


「高嶋ではない。高宗庵だ。三日?」

 低い声が部室に響き渡った。ちなみに僕はまひろがどこからか持って来たソファの陰に隠れている。


「三日でちぎりを結んだつがいを我の前に召喚しょうかんするというのか」


「そう言っている。だが、条件がある」


「高宗庵を前にして条件だと、平民が無相応ぶそうおうの振る舞いではないぞ」


「ここは現代であんたは依頼者だ。この話を無かったことにしてもいいんだぞ」


「のもう」


「どんな形やどんな重さでもいいか?」


「あぁ、契りを結んだ相手ならどんな形でもげよう」


「三日待て」


「ここは一先ひとまず帰らせていただく、さらばだ」


 高宗庵を見送ったまひろは肩や首を回した。


「もっともらしい言葉を選ぶのは疲れるわ。もう仕事したく無いけど、もうちょっと頑張ってあげる」


 部室をまひろは出て行ったが、念のため鍵は内側から閉めた。


 二日後、探偵部に三つの人形が届けられていた。瀬名先生が作った物だろう。


「昨日言った持って来た?」


「レモンの汁なんてどう使うんだ?」


「これは香水で、これは洗濯したやつ。ここにレモンをかけて。さぁ、高宗庵見抜けるか」


 次の日、放課後に高宗庵はやってきた。念の為にソファの後ろに隠れた。

「高宗庵、この三つのどれかに契りが入っている」


「ただの人形ではないか」


「形状や重さには口を出さない約束だ。あとそうだな、契りを交わした番は念を込めた後に佐倉から消えたから、追っても意味は無いぞ」


ソファの裏でまひろに惚れそうになった。


「我の心眼しんがん。暗黒のレクイエムを使うとこの匂いを追う事ができる。そうだこの匂いを知っている。よし、これが彼女が封印されし、魔道具だ」


「丁寧に扱い長く待て、夢で会いに来ることもあるだろう」


「探偵、無礼ぶれいをした申し訳ない」


「許すが、去れ」


 高宗庵が出て行き二人とも息をついた。

「ハーゲン二つな」

 まひろは俺の方を振り向き、伸びをした。

「うちの洗剤と相性がいいらしい。行くぞ契り」


 本日の探偵部の営業は終了しました。またのご依頼お待ち申して上げております。

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