診療
身ノ程知ラズ
診療
私は医者をやっている
猛勉強の末、ようやく夢だった開業医になることができた
自分で言うのもなんだが地元じゃ名の知れた名医で
中には自分のことを天才と崇める者もいる
と言うのも私は患者を見ただけでどこが悪いのか瞬時に
判断することができる、一部の者からは「神の目」なんて言われたりする
風邪などの軽いものから新型の感染症や肺炎など命に関わる
重い病気も見ただけで分かる
この前はひどい腹痛を訴えていた患者の大腸癌を視認し
早期発見することができた
だからまぁ天才と言われても当然といえば当然なのだ
いつも通り電車で通勤しているある日のこと
前に立っていた人をなんとなく見ていると
今までにないほどの禍々しいオーラを感じた
何か悪い病気に罹っているには違いないがそれが何かは分からなかった
こんなこと前例がない、どうしたら良いのか
天才医師としてのプライドに傷がつくがやむを得ん
私はその人に声をかけ事情を話して触診を始めた
その結果大した病気ではないことが分かり私は胸を撫で下ろし
次の駅で降車した
「それだけですよ刑事さん」
「それだけって…天才だかなんだか知らねえがお前がやったのは
普通に痴漢なんだよ!声かけたって言ったって被害者の方は
何も言ってねぇだろ!ちょっとは反省の意を見せろ!」
「……」
「あとお前無職だろ」
診療 身ノ程知ラズ @mizoken
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