一章 非日常は突然に
一章①
王宮からの馬車を降りたアメリアは、
門を入ってすぐに
その庭園を
人に見せるための表の庭園とは打って変わり、こちらは
まずは実用的な畑。食用のバジルやディル、サラダに使うチシャの葉やプチトマトが実っている小さな畑は料理人たちが管理しているものだ。
そして温室。野生では
さらにその奥。
農具などが置いてある倉庫を
築五年。夏は
……ここがアメリア・パーシバル
作業用の机の上には小型の
手が届く
薬や
部屋着に
その湯を使ってネトルとカモミールのハーブティーを
「……やっぱり、パーティーは苦手……。学会や発表会の方がましだわ」
白衣さえ羽織って立っていれば格好がつくような場とは
(それは、私が
この家で血の
アメリアは父が
妹のリンジーとは一歳しか年が違わない。正妻の座は良家の出だった
しかし、五年前の冬――アメリアが十二歳の時に母が病で
いきなり家族の一員になった「
冷たく当たられ、
アメリアは机に積まれた研究書を手に取った。
この部屋にある本のほとんどはセドリックの父、セスティナ
アメリアは王家の
アメリアが「
医者の家系であるセスティナ公爵家の一人
薬学の家系であるパーシバル伯爵家の長女、アメリア。
植物を
アメリアが論文を出せば出すほど、研究に打ち込めば打ち込むほど、彼はアメリアに冷たく接するようになっていった。
おそらく彼が求めているのはもっと
セドリックの半歩後ろを歩き、常に彼に称賛と尊敬の目を向け、
年中ぼさぼさ頭で薬草
(私もセドリック様のことは苦手だし、嫌われていたって別にいいけど)
家のための
ただでさえ仲の悪い二人が結婚したところでまともな家庭なんか築けそうにない。ギスギスした、
しかし、再三
王宮での一件は頭の
カタカタ、カタカタと聞こえる
本から顔を上げて首を
「……風?」
それにしては小刻みだし、一方向からしか音は聞こえてこない。どうやら窓を
(外に
気になったアメリアは音が聞こえる窓のカーテンを開けた。
「まあ……」
そこにいたのは可愛らしい野リスだった。
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