第2話 蓮華さんの裏の顔

「紅花さん!大丈夫ですか⁉」

「べにばな、さん?だいじょうぶ?」

僕と弟はカラスの大群に近寄っていく。

バサバサッ!

突然カラスたちが方々へ散っていった。

「え?」

「何?」

「…黎人君、弟君、びっくりさせちゃってゴメン!」

「いや、だからこれどういう状況、なの?」

「…ぁあー、ま、まあ、実を言うとわたくし、鳥を操れるんです!」

「ええっ!嘘⁉」

「すごっ!僕とお兄ちゃんがやってるゲームみたい!」

確かに、そんなキャラクターがいたかもしれない。

「紅花さん、本当なの?」

「う、うん。ウィング、来て!」

紅花さんがそう言うと、まだ近くに残っていたカラスのうち1羽が

近くにやってきた。どうやらこのカラスは、ウィングと言うらしい。

「ウィング、ホバー!」

そういうと、ウィングが重力を無視しているかのようにふわふわと動き始めた。

「すごっ…本物だ…」

ふわふわし終わって地面に着地したウィングが、突然口を開いた。

「ったくもー、蓮華、あんたもっとスゲー事出来るでしょうがっ!

黎人に見せてやりなっ」

?????????????????????????????????

カラスが喋った?僕の名前を知っている?なんで?

僕と淳人の周りにクエスチョンマークが飛んでいる。

「あのー、君、喋れたの?」

淳人はただただ口を開けているだけ。

そんな僕たちを無視して、紅花さんはもっとすごい芸を見せてきた。

「皆、集まって!」

バサバサバサバサ!バサバサバサバサ!

四方八方から鳥、鳥、鳥、鳥。

カラスを中心に、スズメやハト、池からやってきたのか鴨までいる。

その鳥たちは、カーカーピヨピヨポーポーグワグワ鳴いているだけで、

どうやら喋れるのはウィングだけらしい。

「行くよーっ!」

グワーッ、カーッ、ピヨッ、ポーッ。

それぞれ鳴き声を上げたと思ったら。

「なにこれっ!」

嘘ではない。

そこにはグルグルグルグル飛びながら回り続ける鳥たちがいた。

「標的は、これよっ!」

紅花さんが指さした先には、一本の巨木が。

グルグルは天気予報の台風の勢力図のように回り続け、あっという間に巨木を取り囲んでしまった。

巨木の姿は全く見えない。

「終了ー!お疲れ様っ」

そう言うと鳥たちはあっという間に飛び去って行った。

「蓮華、上出来じゃん。黎人たち、蓮華はもっと凄い事もできるんだからねっ。

ま、ここじゃできないけど。」と、1羽残ったウィングが言った。

ここじゃできないって、どんな凄技⁉

…と思いながら、僕はウィングと紅花さんににある質問をした。

「あのさ、ウィングって鳥なの?」

「まあ、鳥、ではないね。」紅花さんがあっさり返す。

「鳥型の魔術師、だよっ」

そういうと、鳥型魔術師は僕の良く知った姿に変わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る