デリュージョンロード

@informed

第1話 妄想上の自分

誰しもが自分の思い描く理想を持っているように。なりたい自分の姿を思い描くいている。


『妄想』 それは自由であり、平等な世界。両手の上に収まる、脳という小さな世界で、幼い頃からもう僕は【最強】を作り描いていた。


テレビで見る格闘家であれ、もはやアニメや漫画の主人公にさえ戦いを挑むことも許される。


当然の事だ。なぜなら妄想なのだから...


多くの人々は、妄想として終止符を打つのだろうが、僕のは一時の感情で収まってしまう熱病などでは決してない。


最強を非現実的なもので終わらそう。ではなく、現実のものにしたくてたまらない。という激しく燃え上がるような感情が溢れ出してやまない。


僕、乱馬凌牙は中学一年生だ。中学生だが、戦いに関しては強い大人とだって対等だという自負がある。


最強になるための努力は惜しまなかった。


筋力トレーニングに始まり、格闘技、果ては山での実践的な妄想の敵との白熱したバトルをく繰り広げる。


幸運にも家は田舎で山も近い、最高の環境だ。


ま〜あえて不服に思うことがあるとするなら……


山仕事に来る大人たちが笑いながらこっちを見てくるくらいだろうか。


あと数年もすればその何か楽しげにも感じる笑いも、腫れ物を見るような白い目で見られるのかと思うと悲しく感じる。


中学生という事実は妄想では打ち消すことは出来ないからな...。


そんなこと思いながら山中を歩いていると、洞窟のようなものを見つけ足を止めた。


「なんだよ...これ」


今まで何千とこの道を行き来してきたが初めて見るその洞窟。


違和感への恐怖と好奇心とが交差する。


辺りは薄暗くその異様さに拍車がかかって見える。


持ち合わせていた懐中電灯片手に恐る恐るその洞窟へと足を運び奥へと進んでいく。


どのくらいだっただろうか。体感にして1時間くらいだろうか。一直線に、何事もなく進んでいた時。


奥にうっすらドアのようなものが見える。


洞窟にドアなんて...

奇妙なその光景に恐怖心は無かった。というと嘘になるが、そんな気持ちよりもそのドアに対する好奇心が勝っていた。


ドアの前まで近づくと何やら怪しげな文章が刻まれていた。


懐中電灯の光をそのドアの文字へと当て、読んでみるとこう書いてあった。


《デリュージョンロワイヤル》


この世界は強さこそ正義

  強さこそがルール

強さが世界の全てを決める。

「魔法」「武器」「知恵」

考えられる全てを尽くし【最強】を手にできる

のはただ一人



夢のような設定に心が踊りながらも、どこかの厨二病をこじらせた大人の仕業かなんかだど整理をつけようとしていた。


ドアを開けたところで何が起きるわけでもないと心では思っていながらもドアノブに手を伸ばした。


握り玉タイプのドアノブを回してドアを押すとドアの向こうから眩い光が……


意識がもうろうとしながら洞窟でのことを思い出す。


ん?


この山って1時間も歩けるような規模だったか?分岐する場所もなく、平坦な一本道ってのもおかしくないか?


なんて事を思いながら僕の意識は途絶えた。







______________________________


初投稿です。始めたばかりですが良かったらコメントなどお願いします。

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