013 レベル6

さて、昼休憩が終わり、午後の探索を行う。


本日3度目の探索は小兎136匹、兎12匹とまずまずの結果だった。4度目の探索は小兎139匹、兎15匹、5度目の探索は小兎143匹、兎14匹と、午後の探索で合計小兎418匹、兎41匹と中々の成果となった。


そして、本日最後の探索を終えると僕のレベルは6に上がっていた。これまでに僕は1400匹の小兎と98匹の兎を狩ったので総獲得経験値が1890となった。


レベル6に必要な総獲得経験値は1890。僕は丁度レベル6に必要な経験値を稼ぐことができたのだ。これは僕の計算が少し杜撰だったな。レベル6からは必要な経験値が増加し中々上がりにくくなるのだが、効率的な狩りによって想定以上に経験値を獲得することができた。


レベルアップで獲得したSPスキルポイントは全て【歩法】に割り振ることにする。これで歩法のレベルは6となった。現在の獲得スキルとレベルは以下の通りだ。


獲得スキル

【短剣術】Lv1

【投石】Lv2

【奇襲】Lv1

【歩法】Lv6

【索敵】Lv3

【危機察知】Lv1


【歩法】のレベルが10になるまでSPを投資しようと思っており、その後は【脚力強化】を獲得するのが無難だろう。いや、レベル1でも取得した方が恩恵があっただろうか?


慎重にと言っておきながら軽率だったかもしれない。とは言え、【脚力強化】は飽くまでも移動時間の短縮にしかならない。僕が今後、蹴りを用いた攻撃をするようになれば戦闘にも使用できるかもしれないが。


いや、改めて考えるほど【脚力強化】のメリットは大きかったかもしれない。【歩法】の恩恵もかなりのものだが、やはりそれと並ぶほど【脚力強化】は有用である。取得すれば走行速度が上昇する他、歩行での体力消費の軽減などの恩恵があるが、転じてそれは逃走の成功率や移動時間という無駄な時間の短縮につながる。安全を求めて探索を行う以上、格下の階層でレベリングを行うことは必須であり、その時の効率が上がることは僕の目標達成に近づくことになる。ただでさえ、一般人に比べて成長速度が遅いため、効率はこれから考えていくべき課題のひとつなのかもしれない。


最近、探索が...いや狩りが順調に進んでいたからこそ、少し慢心があったのかもしれない。【歩法】に最近のレベルアップを注ぎ込んでいたのも思考をロックしてしまっていた要因だろう。レベル5に上がった時はしっかりと考えた上で【歩法】を選択したが、先ほどは流れで【歩法】にポイントを注ぎ込んでしまった。勿論、【歩法】も有用なため最終的にはレベル10にするつもりであった。そのため、ポイントを無駄にした訳ではない。【歩法】は歩行動作にステータスの全てを適応するために必要なスキルである。このスキルがレベル10になれば僕のステータスの敏捷が十全に移動へと適応される。ステータスが上昇するほどその恩恵は大きくなっていくだろう。しかし、そう考えると【脚力強化】は定量増加だったはずだ。レベルが上がるにつれて相対的に効果量が低下する。うん。やっぱり【歩法】のレベル10まで上げてしまって良い気がする。将来的なことを考えると【脚力強化】よりも【歩法】の方が有用だ。ポイントの無駄遣いは出来うる限り控えた方がいい。【脚力強化】の取得は保留としよう。


さて、今日の探索は終わった訳だが、今後の予定について考えよう。僕がレベルアップするために必要な経験値は、以下の通りだ。


7レベル 1920EXP(総獲得経験値3810EXP)

8レベル 3840EXP(総獲得経験値7650EXP)

9レベル 7680EXP(総獲得経験値15330EXP)

10レベル 15360EXP(総獲得経験30690EXP)


僕は今日、約1000EXP入手した訳だが、あと2日同じペースで潜ればレベル7、追加で4日潜ればレベル8、さらに8日潜ればレベル9、そこから2週間ほど潜ればレベル10である。計1ヶ月でレベル10になれそうである。


とはいえ、この試算は毎日潜ることが前提であり、毎日同じペースであることが前提である。レベルが上がれば効率は上がるので、実際はこれよりも短くはなるだろう。問題は、休みなくダンジョンに潜ることで支障がないかというところだが、レベルアップの恩恵か今のところ体に支障をきたしてはいない。それどころか日に日に調子が良くなっているまである。


うん。これはレベル10になるまで一階層で狩りを行うべきかもしれない。1ヶ月の間、同じフロアで借りを続けるのは効率が悪いかもしれない。しかし、一切の危険を冒さず転職可能レベルまで上昇するのは見過ごせない。転職をすればステータスは据え置きで、能力値が上昇することになる。転職を重ねるごとにレベルアップが遅くなる欠点はあるが、それ以上にメリットもある。一つの職業だけではソロでやっていくには手数が足りない。様々な状況に対応できなければソロではやっていけないのだ。


初級職に転職するか下級職に転職するかは難しいところだが、現時点では初級職に転職するつもりである。レベルアップに必要な経験値が1.1倍になってしまうが、様々な職業を経由するメリットは大きい。それこそ、術士から派生する魔術士と戦士から派生する剣士を経験すれば魔剣士という職業に就けることが分かっている。成長速度は鈍化するがその分、強力な職業の入手に繋がるのだ。だから僕は同じ初級職間で転職をするつもりである。まあ、飽くまで現時点の話なのだが。


ちなみに、素直に下級職に転職するとそもそもレベルアップに必要な経験値が初級職の2倍なる。その分、大幅に能力値が伸びるが、流石に初級職を色々跨いだ方が最終的に能力値が伸びるだろう。


それはさておき、今後の方針は決まった。一階層でレベル10まで上げる。1ヶ月弱拘束されるが、何や感やで三週間ほどで終わるだろう。


僕は、受付で買取を済ませた後、家に帰った。その後は食事を摂り、シャワーを浴びて、次の日のために早めに寝るのだった。

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