012 [兎の敵]ラビットキラー

前話を修正しました。

具体的には、レベル5になった大地はスキルポイントを3得ていたのですが執筆時、作者の頭から抜けており歩法のレベルが3と表記されていました。

歩法のレベルは3ではなく4となります。

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4日目2度目の探索はまず【歩法】を試すことにした。レベル4になった【歩法】はレベル1の時とは段違いだった。明らかに動き方が違うのだ。


【歩法】の能力を確認するために走って兎達を狩っていたのだが脚力が上がったわけではないのに以前よりも力を使わずに同じ速度で走ることができる。全力で走ると前の速度の五割り増しで走ることができた。


何故こんなことが起こったのか。それはきっと僕がステータスによって上がった能力を十全に発揮できていなかったからだ。人間たるものある程度、自分の体が動かせる限界が理解できるだろう。


人が自分の肉体を鍛える時、ステータスがなければトレーニング以外に特に鍛える方法がない。素の人間は筋力を上げようとしても急激に筋力が上がることはない。ステータスという力によって急激に能力が上がったことで今の自分の肉体とギャップが生まれ自分では全力だと思っていても十全の力は出せていないのだと思う。


歩法をレベル4にしてコレであることを考えるとレベルが10になれば歩行に関わる動作であれば十全の力を発揮できるのだろう。


やっぱり、知識として知っていることと経験することには大きな差がある。そもそもスキルというのはスキル名に関する行動を最適化するものだ。


例えば【短剣術】を例に出すと取得していない状態がなんの補正もかかっていない状態だ。それがレベル10になると短剣術の達人のようになる。


見習い職業で取得できるスキルでは身体のパフォーマンスを最適化するようなスキルがほとんどになる。これが下級職や中級職で手に入るスキルになると身体のスペックを超えた超常的な補正がかかるようになる。例えば剣を振れば剣の長さを超えて相手を切り付けることができるようになったり、明らかに重力を一時的に無視する動きをできるようになる。


僕が最終的な目標として掲げているドラゴンは今僕が取得しているスキルよりも3段階は上のスキルを保有していると言われている。竜は魔物の分類では王級と言われており、僕が今狩っている最下級と比べると5段階の開きがある。職業で言えば王級職で、有名どころで言えば【剣王】や【魔王】がその筆頭だ。


竜と戦うならば王級職であることは大前提として、本来であれば六人の王級職が集まって討伐するのが王級の魔物なのだ。


僕は特にソロであることに拘りがあるわけではないがマルチにリスクがあることも知っている。人と関わるのであれば個々のやりたいことが同じとは限らない。人によってはダンジョン内でリスクがある行動をする人間も存在する。


大前提、ダンジョンで死ぬのは論外だ。そしてパーティーを結成するのであれば人間関係というリスクが生じる。そして僕の最終目標に期限はない。よって僕は竜の討伐を一人でやるつもりだ。


そうなると只の王級職では竜に対抗することはできないだろう。なので、王級職に複数就くか帝級職である【剣帝】や【魔帝】といった職業につくことになるだろう。


まあ、まだ見習すら脱していない今の状況でこんなことを考えていても意味ないのだが。職業の話は一度、脇に置いておこう。


大事なのは今取得できるスキルは基本的なスキルでドラゴンを倒すような王級者になろうと思えば、このような基礎的なスキルの完全な習熟は前提条件だと言うこと。次のレベルでは歩法にスキルポイントを使うか、脚力強化に使うかは悩みどころである。


そんなことをつらつらと考えながら狩りを続け一時間が経過した。撃破した小兎は142匹、兎は16匹。合計で158匹の兎を撃破したことになる。そして、ステータスの称号欄に[兎の敵ラビットキラー]Lv1が確かに追加されていた。


[兎の敵]の効果は、兎系統のモンスターからのヘイト上昇(微小)、兎系統のモンスターへのダメージ上昇(極小)である。有志の検証によって称号での、極小は1%、微小が2%、微が3%、小が5%、中が10%、大が15%、極大が25%であると言われている。


よって、この称号は保有しているとレベル1毎に兎からのヘイトが2%上昇し、ダメージが1%上昇する。暫くは兎のダンジョンで探索を続けるつもりなのでこの上昇量でも有難い。コツコツとレベルを上げていこう。


さて、今日の昼ごはんはコンビニのパスタにした。そろそろ昼ごはんをどうするかも考えた方がいいかもしれない。毎日コンビニというのもあまり健康的にはよろしくない気がする。


明日から昼休憩を伸ばすのもアリかもしれない。僕はパスタを啜りながらそう思った。

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凡人、ダンジョンに潜るってよ pengin114 @kouteipennginn

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