第12話 トンカツうどんは推奨できない
河出は細身なのでなんでも似合う。スーツも試し、たぼたぼのオーバーシャツやタイトなジーパン、ダメージジーンズもやや色っぽい。
耐熱皿は小さくて良かった。大きいものはあの部屋ではもてあますだけだ。
世界的童話のウサギさんがプリントされているマグカップを河出は見ていた。欲しいのかもしれない。ペアカップなんて言ったらどんな反応をするだろうか。そんないたずら心が
河出がトイレに行ったのを見送ってマグカップと耐熱皿をレジに持って行った。
「カップは包装されますか?」
レジのお姉さんは異様なまでににこにこ笑っている。
「両方ともお願いします」
「耐熱皿も紙で巻いておきますね。少々お待ちください」
「お前、トイレに行かなくて大丈夫か?」
トイレから帰ってきた河出のタイミングに安堵した。あと少し早かったら、バレていた。それではドッキリにならない。
河出が荷物を受け取っても妹夫婦へのお祝いと言えばごまかすことは容易だろう。
「いっちょ行って来ますね」
トイレであそこを触っても濡れていなかった。今日は何ともないんだな。こんなデートシチュエーションを女の子と過ごしたい。でも河出に開発されたい。今日はただのショッピングだ。ここは性的なことを発散するとポリスだ。
「おーまたー」
「これ受け取ったぞ。なんか多いな」
「妹夫婦に祝いでやろうと思ってさ。収入源は少ないけど、昼を五回我慢すればいいだけだ」
「いくふべは妹想いなんだな」
それからアイスを食べ、フードコートでうどんにトンカツを入れたらどうなるか実証実験をした。美味しくはないが、とり天の豚バージョンだと思えば食べることは出来た。
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