勇者の夢 第5話
次の日の朝、勇者達は出発の準備をしていた。
空を飛ぶ一匹の鳥の魔物が鳴くと、森の中から2人の強そうな魔族が現れた。
『鑑定』レベル8
勇者 男 人間
スキル『火』『水』『風』『シールド』『回復』『剣術』『身体強化』『鑑定』『他言語理解(人語)』『アイテムボックス』『聖剣化』『運命』
ステータス スピード、スタミナ、魔力が高い
HP、攻撃力、防御力が低い
武器 聖剣
状態 忘却、●●
アラン 剣士 男 人間
スキル『統率』『剣術』『身体強化』
ステータス 攻撃力、スピード、スタミナが高い
HP、防御力、魔力が低い
武器 剣
状態 ●●
クイネ 魔術師 女 人間
スキル『火』『風』『シールド』
ステータス スタミナ、魔力が高い
HP、攻撃力、防御力、スピードが低い
武器 杖
状態 ●●
ラスト タンク 男 人間
スキル『シールド』『盾術』『身体強化』
ステータス HP、防御力、スタミナ、魔力が高い
攻撃力、スピードが低い
武器 大楯
状態 ●●
ホルス レンジャー 男 人間
スキル『察知』『鑑定』『弓術』『風』『他言語理解(人語、魔族語)』『魔力形成』
ステータス スピード、スタミナ、魔力が高い
HP、攻撃力、防御力が低い
武器 弓
状態 ●●
レイン 聖女 女 人間
スキル 『回復』『水』『光』
ステータス スタミナ、魔力が高い
HP、攻撃力、防御力、スピードが低い
武器 杖
状態 ●●
バレット 拳闘士 男 魔族
スキル『身体強化』『拳闘術』
ステータス HP、攻撃力、防御力が高い
スピード、スタミナ、魔力が低い
武器 ガントレット
状態 ●●
バーン 魔剣士 女 魔族
スキル『火』『剣術』
ステータス HP、攻撃力、スピード、魔力が高い
防御力、スタミナが低い
武器 剣
状態 ●●
魔族の2人が魔族語で何か話しているようだが、勇者にはその言葉を理解する能力が無かった。
代わりにホルスが魔族語で2人と話した。
結果、互いに戦闘態勢をとる事となった。
会話の内容はアランの『統率』スキルを通じて、なんとなく理解できた。
バーンが、今すぐ戦いを始めようとするバレットを止めながら「何をしに来ているのか?」と聞いて、ホルスはバレットに少しビビりながら2人への対応を考えるが、魔王を倒すための大きな壁となる存在の2人に、敵対する返答をして戦闘は始まった。
バーンの大きな『火』魔術が勇者達に放たれた。
それを、先頭に立っているラストが大きく広げた『シールド』で防ぐ。
それを見たバーンは『火』魔術を『シールド』の前で爆発させた。
爆発した『火』魔術は土煙を上げ、その中からバレットが現れて強力な一撃を繰り出した。
バレットの攻撃は『シールド』を破り、ラストの持つ大楯で受け止められた。
勇者はバレットの動きが止まるタイミングでラストの後ろから回り込んで、『聖剣化』を使ってバレットを攻撃した。
バレットはその数回の剣撃をガントレットで受けた後、勇者に反撃しようとするとそこにラストが大楯を構えてのタックルをして勇者への反撃を阻止し、そこから数回の攻防を繰り広げた。
一方バーンは『火』魔術を放った後、レインやクイネが居る後方へ回り込んで攻撃を仕掛けるがアランが行く手を阻んだ。
アランとバーンは少しの間、互いに一歩も引かない剣の戦いをした後、バーンが後ろに跳びながらアランに『火』魔術を放ち爆発させるがクイネの『シールド』がその攻撃を防いだ。
クイネの『シールド』は爆発した『火』魔術を防ぎきるが、ラストと比べてレベルが低く割れてしまう。
着地したバーンは土煙の中に入り、追撃のためにアランに攻撃しようと近付いていると、煙の中で見えにくいはずなのに、ホルスの『魔力形成』で作られた矢が『風』を纏い、矢の周りの土煙を晴らしながら飛んできた。
驚いたバーンは咄嗟に剣で防ぐが、矢は剣に当たるとすぐに形を失い、周囲に『風』を起こした。
その『風』は残っていた土煙を全て晴らし、バーンに隙を作った。
そこにクイネが自分達の安全を考慮したサイズの『火』魔術を放ち、バーンの前で爆発させた。
土煙が晴れると、全身に火傷を負いながらバーンは耐えていた。
アランは剣を構えて『身体強化』を使い、弱っているバーンに向かって走り出した。
バレットはそんなバーンの危機に気が付き、助けるために『身体強化』を使った。
勇者とラストに近付き両腕で左右に振り払って、あの時のようにバーンに向かって走るが、そこへ再びホルスの『風』の矢が飛んできた。
その矢はバレットの目の前で形が崩れ、『風』を起こし足止めをした。
バレットは『風』で少し妨害されるが、バーンに近付けた。
しかし、その時にはアランがバーンの目の前で剣を振り始めていた。
バレットはギリギリでバーンの前に付き、アランの剣を受け止める事ができた。
だがその直後、バレットの体を勇者の光輝く聖剣が貫いていた。
勇者はバレットに振り払われた直後に、『身体強化』を使ってバレットの後を追っていた。
だが、『身体強化』のレベル差でバレットに追い付く事はできなかったけれど、ホルスの『風』の妨害でバレットがアランの剣を受け、動きが止るとほぼ同時に攻撃ができた。
勇者はバレットに刺さった聖剣を引き抜いた。
大量の出血で一瞬バレットの力が弱まるが、ガラスにヒビの入るような音がすると、バレットは最後の力で剣を押し返しアランに死力の一撃を振るった。
離れた場所でそれを見ていたラストは恐ろしい魔力のオーラをバレットから感じたので咄嗟にアランを『シールド』で包んだ。
しかし、その『シールド』は軽々と破られて大ダメージをアランに与えてふっ飛ばした。
バレットはその攻撃を最後にオーラは消えて力尽き、その場に倒れた。
バーンは火傷による全身の痛みの中、バレットの力尽きる光景を目の前で見ている事しかできなかった。
薄れ行く意識の中でバーンは心の中で強く願った。「私はどうなっても良いから、ここに居る人間達を皆殺しにしたい。」
その時、バーンの中で何かが割れた。
無意識に発動された極大な 火 はバーンの全てを犠牲にした魔法だった。
それは 火 魔法と言うよりも、巨大な隕石が落ちてくるような光景だった。
バーンは魔法発動と同時にその体は消滅し、周囲の木々は枯れて砂漠と化した。
頭上から迫るバーンの極大 火 魔法を前に、ホルスが自身の魔力のほとんどを『魔力形成』で作った一矢に込めて放った。
その矢は 火 魔法の中に飲み込まて、おそらく中心に近い場所で爆発させた。
火 魔法は球体を保てなくなり、大爆発が起こった。
爆発の直前に勇者達は動く事ができないアランにできる限り小さく集まって、内側からクイネ、勇者、ラストの順番に『シールド』で少し広めに周囲を覆い、レインは仲間を信じて重傷のアランに『回復』を使った。
爆風の中、ラストの『シールド』にヒビが入り、砕けた。
ラストはクイネと勇者の『シールド』が割れる前に、再び『シールド』をクイネの『シールド』のさらに内側に発動させる。
それを3人で繰り返し『シールド』を発動させる事で、どうにかバーンの魔法をラストの『シールド』最後の一枚にヒビが入りながら耐え切った。
バレット、バーンとの戦いは終わり勇者達は魔力をほとんど使い果たすが全員生き残った。
爆発前に比べて狭くなった『シールド』にもたれかかって安堵する。
爆発音により全員の鼓膜が破れていて、レインの『回復』を待ちながら互いの目を見て勝利を喜び合った。
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