勇者の夢 第3話
旅に出た勇者達は、森に入ってすぐの場合で初めての野営をした。
野営の経験が無い勇者とレインのために、一気に森を進まずになるべく安全な所から森の中での生活を始めてくれた。
ホルスに森での狩りと、狩った魔物の解体方法を学んだ。
勇者の『アイテムボックス』は、入れた重量だけ勇者に負荷がかかるが、それを修行だと思ってモチベーションを上げ、積極的に使って体を鍛えた。
夜になると見張りを順番に行いながら寝るのだが、ホルスの『察知』スキルとラストは広範囲の『シールド』で守りながら寝てくれるので、緊張はするものの心に少し余裕を持ちながら見張りをする事ができた。
朝になると、全員揃って勇者が進みたい方角へ進んで行く。
本当にメンタルや体が辛くなった時はレインの『回復』で癒してもらっていた。
そんな生活がしばらく続いた
その中で勇者とレインは森での生活や狩り、戦闘に慣れて行き、勇者達は魔術の練習や身の上話を話し合って信頼関係がさらに高まっていき、なぜだかみんなの考えている事が少しわかるようになっていた。
(鑑定レベル8により、スキル説明に無い隠し効果がわかります。)
『統率』
多数の味方を率いる事ができる、アランの才能と意志から生まれたオリジナルスキル。
〈デメリット〉
味方の人数が多い程、強いプレッシャーがある。
個人(自分)の意志ではなく、集団内の多数意志(味方全員の多数決で多かった意見)によって行動してしまう事がある。
〔隠し効果〕
『統率』のレベルが7になると、自身がとても信頼している相手の思考が互いに少しわかる。(信頼度によって、わかる範囲が変化する)
この効果は信頼している相手が複数人いた場合に、近くに居るスキル所持者を通じて、信頼された相手同士でも互いに思考がわかるようになる。
〈デメリット〉
互いに思考を理解するのでレベルが上がり、わかり過ぎると、この考えは自分なのか誰の考えた事なのかわからなくなる。
このスキルを所持している者が信頼する仲間を増やす程に共有する効果は薄れて行き、一定人数を上回ると完全に失われる。
ある日、勇者達は狩りをしようと魔物を探している時に、狼のような見た目の魔物の大群に鉢合わせてしまった。
狼の魔物は一斉に勇者達を襲って来た。
退路を絶たれ勇者達は必死に防戦するが、状況は悪くなるばかりだった。
長くは耐えられないとアランは判断して、戦いながら全員でタイミングを合わせてラストの『シールド』の中へ逃げ込んだ。
そして少し考えた後、最終手段としてクイネの超高火力魔術『火』の大爆発で周囲の森ごと吹き飛ばした。
魔物はほとんど焼失していて、生き残った魔物をアランやラスト、ホルスが食糧のために狩りに行って、『水』魔術を使える勇者は森が火事にならないように残った火元を全て消し止めに回った。
それから数日後、勇者達は2人の人間らしき死体を湖の近くで発見した。
体のほとんどが魔物に食い荒らされていて、身元がわからなかったが、ラストが近くに落ちていた剣を見て「ヘレスの剣だ」と悲しい声で仲間に伝えた。
ラストの推測によると、もう1人の人間はヘレスと恋仲で、彼を追って王国から出て行ったメリザだと思われた。
不思議な事に2人は王国を出た後、この湖で魔物から襲われずに長い間生活していたようだった。
ラストは2人の仲の良さを一番近くで見ていて、あの時ヘレスを守れなかったトラウマがよみがえり、その日1日のパーティーの空気はとても重かった。
ラストは『シールド』を穴を掘るために使って、全員で2人を埋葬した。
その場所で一夜を明かして、次の日の朝にラストは簡易的に作ったお墓の前でヘレスに涙を流しながら別れを告げた。
しばらくしてラストは涙を軽く擦って、勇者達と共に魔王城に向けて進み始めた。
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