第12話 回想
王国軍と魔族軍の戦争は接戦の末に王国軍が勝利した。
しかし戦死者も多く、生き残った兵士や冒険者達はこれ以上戦う気力はほぼ無く、王国にとってギリギリの勝利であった。
この戦争で活躍した5人の精鋭達は後に[人類を救った5人の英雄]として語り継がれ、伝説となった。
ルークとマナの戦いから少し経ち、息切れも収まった勇者はその場に起き上がった。
するとそこへ一羽の鳥の魔物が、空から勇者を目掛けて突っ込んで来た。
それを見た勇者は何かに気付き、手に黒いオーラを纏わせて小さく黒い斬撃で消し去った後、ゆっくりと魔王城の扉に近付いた。
勇者が扉を開けようと触れた時『火魔術』が爆発したが、咄嗟に『シールド』でこれを防いで魔王城に入った。
勇者は魔王城の中を迷わずに一番奥の部屋に向かって歩き、少し緊張しながら昔の事を回想する。
日本 4月 朝
男はどうしても欲しいアニメDVD(特典付き)のために歩いてバイトに行く途中で、高校の時から片思いしている人が進行方向に居る事に気付いた。
そこへ操作の効かなくなった暴走車が車道を逸れて好きな人に向かって突っ込みそうになった。
男は咄嗟に走り出した。その時の男は『好きな人を助けたい!』という一つの思いだけで動いていた。
男は間に合わず車がその人に衝突する直前に2つ偶然により奇跡は起こった。
1つ目はその時、異世界の女神様が自身の管理する世界に来てもらう才能のある人を探すためにその場を見ていた事。
2つ目は見ていた女神の魔力がその場に少し漏れていた事。
これにより、漏れた魔力が男の強い思いに反応して魔法が発動した。
『身体強化』(小)
身体能力のみが一時的に上昇する魔法。
男はゆっくりと動く世界の中で自分だけが急に速く走れるようになり、驚く間も無く好きな人の前に到着し庇い2人は車に轢かれた。
瀕死の重傷を負った男は意識を失った。
重傷を負いながら少し意識を残した女は一緒に倒れている男を見て衝撃を受ける。その男は高校の時に一目惚れした人だった。
段々と死に近付いて行く男を見ていた女は薄れていく意識の中で(彼に死んで欲しくない!)と強く思った。
すると、再び奇跡は起こった。
『回復』(小)
少しだけ傷や疲労を癒し治す魔法。
それにより男の命は少しだけ延命されたが、このままでは死ぬのは時間の問題だった。
その時、女神が白い空間に呼び『回復』魔術を使って助けて、目覚める前に『●●』と『忘却』を使用して、事故の記憶だけを忘れさせた。
その後、男は目覚めて女神の願いを聞く事になる。
そんな事を思い出しながら、男は魔王が居る部屋の前に到着した。
魔王は周りに魔族が居ない事を確認した後、付けていた仮面を外した。その人物は日本で男と一緒に車に轢かれた女性だった。
魔王はスマホで、女神様にどうしたら良いのか聞こうとしたがやめた。
そして異世界に来た時の事を思い出す。
男と同様に助けられた女は白い空間で目覚めた。
そこへ女神が現れた。
女神「初めまして私はある世界の女神です。」
女「…!」
女神「あなたにしか頼めない事があってお呼びしました。私の世界に行って、そこに居る者達をまとめる王になってください。」
女「無理です、そんな能力ありません。」
女神「大丈夫です、あなたに必要な能力を与えます。困った事があったらスマホで私に連絡してください、いくらでも相談に乗ります。」
女「…」
女神「それと、あなたを呼んでいる者達は今、敵国との戦争が始まる直前で、このままでは滅亡してしまいます。もしもあなたが王になると決断してくれれば、その戦争に勝利するための力も差し上げますし、さらにあなたが勝つ事ができたら私のできる限りどんな願いも叶えます。」
女は断る口実が無く、女神の提案を受け入れた。
女神は女の種族を人間から魔族に変えて魔王となった。
魔王は女神に「どんなスキルが欲しい?」と聞かれたが何も思い付かなかったので女神が向こうの世界で魔王に最低限必要なスキルを渡し一般のスキル覧を魔王に見せ1つ1つ説明しながら使う魔術を決めた後、魔王は異世界に送られた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます