第4話 夫婦との出会いと修行
勇者は最近悩みがあり、それは剣を使った戦闘方法がわからない事、魔族や魔王との戦闘では必要不可欠な近接戦闘をどうにかしてできるようになりたいと思いながら生活していた所に、湖の側で男が1人で剣の素振りをしているのを見つけた。
しかし勇者はこの世界の言語を知らなかったので、男から少し離れた場所で神様に電話する事にした。
女神「もしもし、お久しぶりです。」
勇者「急で申し訳ないのですが、この世界の言語がわかるスキルを作ってくれませんでしょうか?」
女神「そうですねー、スキルを作るにはまだあまり前回から成長されていませんし…」
勇者「そこをなんとかお願いします女神様、どうしても必要なんです、できれば魔族とも話ができるようになりたいです。」
女神「人間はわかりますが、なぜ魔族とも話がしたいのですか?」
勇者「たとえ戦う相手だったとしても、話してみたいんです。」
女神「わかりました、どうしても話したいようなので今回はあなたに自力で話せるように努力してもらいます。この本を読んで勉強してください。」
すると勇者の左手に、明らかに女神が書いたと思われる人類語と魔族語と書かれたノートと新品のノート5冊、それとシャーペンと消しゴムが持たされていた。
女神「足りなかったら言ってくださいね。」
通話終了
それからは同じ場所で、毎日スキルの練習と一緒に人類語と魔族語の勉強をした。
しばらくして、ある程度理解してきた頃、勉強だけでは限界を感じ実際に話す事を決意した。
勇者「こんにちは」
男「お前は誰だ!」
勇者は頭を下げて
勇者「私に剣を教えてください」と言った。
それから勇者は男の住処で一緒に生活する事になった。男はヘレス、妻はメリザと一緒に森の中に隠れて住んでいた。
『鑑定』(レベル2)
ヘレス 男 人間
スキル『剣術』
メリザ 女 人間
スキル『火』『水』『調理』
メリザの話によると元々ヘレスは王国の騎士団に所属していたが、貴族に無実の罪を着せられ捕まりそうになりながら王国から逃げ出した。
メリザはヘレスの事が好きで、ヘレスの後を追った。
そして魔物に襲われそうになっていたメリザをヘレスが助けて一緒に暮らす事になった。
そんな2人にとって俺は、親が国の外に捨てた子だと思ったらしく、過去の事は聞かれなかった。
夫婦との生活は幸せだった。
ヘレスが剣術の稽古をつけてくれて、稽古終わりにヘレスが木の実か魔物を狩って来てメリザが調理して食べる。
近くに不思議と魔物が寄り付かない湖があるので1人ずつ水浴びをする。
勇者は3人分の衣服をヘレスに借りた服を着て湖に行き、洗濯して『風』で乾かしていた。
ヘレスとの剣の稽古は大変だったがとても楽しかった、元王国騎士団なだけあって教え方が上手かった。
お陰で女神に頼らずに『剣術』のスキルを手に入れる事ができた。
段々と稽古後に余裕ができた勇者は魔物を狩って3人分の食糧を調達するようになった。
ついでに今まで着ていた熊の魔物の皮は腐ったので捨てた。
そんな楽しい時間が長く続いたある日、いつもと同じようにヘレスと剣術の稽古をした勇者は魔物を狩るため住処を離れて魔物を探していると、狼の魔物の大群に襲われた。
数が多く『シールド』と『聖剣化』で身を守り、『火』や『風』の斬撃で数を減らして長い間戦い続けた。
やっとの思いで倒し切り『アイテムボックス』に魔物を入れて帰ってみると、住処も狼の魔物の群れに襲われていた。
メリザは亡くなっていてそれをヘレスが血を流しながら食べられないように必死に守っていた。
勇者はすぐに『聖剣化』を使って魔物を倒して、それを見て安心して倒れたヘレスに駆け寄った。
勇者「大丈夫ですか?」
ヘレス「あんたが…無事でよかった…大切に使ってくれ。」
そう言ってヘレスは自身の剣を勇者に渡して息を引き取った。
勇者は「はい…」と返事をして涙を流した。
2人を亡くした悲しみは夜が明けるまで続き、勇者は何かに気付いて決心した。
翌朝、勇者は2人を並べて埋葬して、その前で手を合わせた後
勇者「今まで本当にありがとうございました!」
と悲しみをこらえながら元気に言って頭を下げ、ヘレスの形見の剣を持って魔王城に向けて歩き出した。
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