SDカードに入っていたもの。

『あー、声聞こえてるかな?洸。』


そこには何かを話始める彼の姿が映っていた。


『洸。先にいなくなってごめん。


責任を最後まで持てなくて、僕は最低な彼氏だと思う。こんな事言うのもあれだけど、洸には、洸だけは幸せになって欲しい。


そう思ってる。


いつもみたいに笑っていて欲しい。こんな事本当は無責任に言うようなことでは無いっていうのは承知の上で言ってる...。


でも、笑顔でいて欲しい。それは紛れもなく。洸に伝えたかった。』


彼が彼女とどんな生活を送って来ていたのかは分からない。だが、これだけは言える。


彼女のことが大好きで、大切なんだと。


『あと、僕から直接伝えられなかったこと。伝えたい。


今、このメッセージを見てるのはいつ頃なんだろう。時期によっては、辛いかもしれない。傷つけるかもしれない。


でも、聞いて欲しい。』


俺は横目で彼女の様子を見ると、ほんの少し優しい顔をした気がする。


『僕は、選手に選ばれて無いんだ。1度も。


思っていた以上に難しい世界で、何も出来なかった。悔しかった。ただただ悔しかった。一生懸命にやっていても結果を残せないことに。


自分自身に、腹が立って仕方なかった。


洸は、僕と前に遊んだことがあるみたいな話をしてくれたよね。でも、その話多分僕じゃないんだ....。


そうだろ、帝?』


え、?


『昔話したもんな、大切なものを隠すならバスケットボールの中に入れてみたいって。


マジックみたいな事だけど、バスケ好きにはたまらないよなって。』


確かに、話した。


そして、これを見つけたのも確かに彼のバスケットボールの中だった。


けど、俺の話が何故ここで出されるのか分からず、困惑した... 。

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